新春早々、「団塊世代」が注目されている。2023年は、その多くが後期高齢者入りするからだ。

今後は急速に、日本の介護や医療のコストが膨らむ要因になると見られ、社会の対策が必要になっている。そんな団塊世代を、改めて励まし、応援するような広告も話題になっている。

1クラス50人以上、激烈な受験戦争

団塊世代とは、「第一次ベビーブーム」の1947(昭和22)年から49(同24)年に生まれた人を指す。作家の堺屋太一さんが名付けた。47年生まれは267万8792人、48年生まれは268万1624人、1949生まれは269万6638人。現在の年間出生数は約80万人なので、3年連続で、1年間に現在の3倍以上が生まれていた。

小中学校では1クラス50人以上のぎゅう詰めが当たり前。高校や大学の定員は急には増えなかったので、高校・大学受験で激烈な受験競争に直面した。50年3月生まれまでが同学年だ。

大半の人がすでに「定年後」の人生を歩んでいるが、今も現役で活躍する著名人も少なくない。47年生まれでは、北野武(ビートたけし)さんや西田敏行さん、48年生まれでは井上陽水さん、上野千鶴子さん、里中満智子さん、舛添要一さん、49年生まれでは村上春樹さん、テリー伊藤さん、武田鉄矢さんらだ。

10代後半から、ビートルズやグループサウンズ、ロック、日本のフォークに親しんだ「脱・演歌」世代でもある。

国家財政を圧迫しかねない

NHKは1月3日、『「団塊の世代」7割が後期高齢者に 介護保険料見直し今夏結論へ』というニュースを報じた。

「ことし、2023年はいわゆる『団塊の世代』のおよそ7割が75歳以上の後期高齢者になる見込みです。介護が必要な人を支える介護保険制度を維持していくため、厚生労働省は来年の制度改正に向けて高齢者が負担する介護保険料の見直しなどについて、ことしの夏までに結論を出すことにしています」

総務省の推計では、まだ団塊世代の約600万人が存命。このうち206万人余りがことし、新たに75歳を迎える見込み。団塊の世代のおよそ68%が後期高齢者になる。

さらに2年後の2025年には、団塊世代の全員が75歳以上となり、日本の人口の2割を後期高齢者が占める見込みだ。

「2025年問題」と言われている。

その結果、医療費の増大が見込まれ、介護にかかる費用もやがて増えることが予想されている。

つまり、巨大な労働人口、消費人口の塊として、1970年代から90年代の日本経済を牽引してきた団塊世代が、納税主体から社会保険の受給者に替わることで、国家財政を圧迫しかねない、というわけだ。

日本のシニア層の活力に

国家の財政面で、いわば「厄介者」に転じかねない団塊の世代――そんな人たちを応援するような新聞広告も話題になっている。

「宝島社」が1月5日、朝日、読売、日経、日刊ゲンダイに同時掲載した企業広告「団塊は最後までヒールが似合う。」だ。

モデルは中尾ミエさん(1946年生まれ)。

毅然とした表情で足を組み、高さ10センチはありそうなピンヒールを掲げている。

広告の意図について、同社は、「かつて世の中を賑わせた団塊世代のみなさんが、後期高齢者になります。そんな団塊世代の背中をもう一度押せたらと思いました。団塊世代が元気になれば、日本のシニア層の活力になります。ミドル世代にとっても、年を取ることに対する不安も減るのではないでしょうか」と説明している。

広告コピーの「ヒール」には、「憎まれ役」「とんがった」の意味もありそうだ。

というのも、団塊世代は学生時代に全共闘運動やベトナム反戦運動に関わり、「世の中を賑わせた」人も少なくないからだ。<J-CASTトレンド>