雅子さまはチトセさんの手を両手で包み込むようにして「冷たくなっていますね」と温められ、「長生きしてくださいね」と声を掛けられた。長時間外で待っていたチトセさんの体が冷えているのを、雅子さまは気遣われたのだ。雅子さまのご様子を隣でご覧になっていた天皇陛下も、思わず手を伸ばされて、チトセさんの手を握られた。
古賀さんは「天に昇るような気持ち。私は本当に幸せ者です」と、喜びを語っていた。
「この時のご様子から、これがご即位された後の国民との触れ合いのスタイルとなると感じられました。雅子さまの国民への寄り添い方を陛下が理解され、ともに国民を励ましたいというお気持ちがはっきりと出ていたのです」(前出・皇室担当記者)
古賀チトセさんは、今年5月14日に亡くなったという。享年101だった。三女の公子さんが、チトセさんの気持ちを話してくれた。
「母は、3年前に雅子さまとお会いしたことを支えにして生きてきたと思います。『雅子さまはお車を降りられて、まっすぐ私の方に歩いてきてくれました。この嬉しい気持ちがわかりますか?』と、なんどもなんども口にしていました。戦前生まれの母にとって、天皇陛下と雅子さまに励ましていただいたことは、きっと天にものぼるような気持ちだったのだと思います。高齢になって、先祖代々300年以上住んできた家が流され、避難生活を送ることになった母にとって、雅子さまの励ましは本当にありがたかったのです」