「ふだんの僕とはまったく違うので。僕が演じる主人公の常雄は“男尊女卑的”な部分を持って生きてきた。

そこは明らかに僕の考えと違うところでした」

今年、大きな節目を迎えている郷ひろみ(66)が主演で挑んだNHKドラマ『定年オヤジ改造計画』(7月25日21時~・BSプレミアム、BS4K[同時放送])。最初に台本を読んだときは役柄について「イメージしにくいところがありました」と話す。

郷が演じるのは、企業戦士として定年を迎えた昭和の価値観そのままの祖父役。第一線で活躍を続ける郷と結びつかない役柄に思える。オファーを受けた理由とは。

「僕の中で恐怖心があっても、それを上回るものがあれば挑戦します。それが今回の常雄役だったのかな」

好奇心や向上心が原動力なのだろう。ここで歌手と俳優では、向き合うときの心境に違いがあるのかを聞いてみた。

「歌を歌うことは演じることだと僕は思っています。今日はどんな自分が表現できるのだろう? と思いながらステージに立っているので、そこは演じることと共通してますね」

そう話す郷。今回の取材場所は偶然にも芸能生活で初の大きな仕事、NHK大河ドラマ『新・平家物語』(’72 年)で使っていたリハーサル室。

「ここのリハーサルスタジオで、僕はほかの人よりも2~3週間早く稽古を始めました。

それぐらいアマチュアだったので。あれから50年もたったんだなあ。今日、自分がこうして存在していること自体、多くの方が支えてくれたんですよね。自分ひとりでは無理だったと思います」

節目を迎えた今も、新たに挑戦したいことはたくさんある。

「こういう世界に生きている以上、自分が興味を持ったものはなんでもやっていきたい。アニメーションの声優も面白そうだし、今の感覚を持った人が僕をプロデュースするとどんなふうになるのだろうと考えることも。僕のイメージをいい意味で壊したものをやりたいなと思っています」

まだ見たことのない郷ひろみを、これから見ることができそう!

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