『ドラゴンボール』『Dr.スランプ』など数々の人気作品を生み出した漫画家の鳥山明さんが、3月1日に急性硬膜下血腫によって亡くなった。68歳だった。

鳥山さんが所属する「バード・スタジオ」は、1週間経った8日に逝去を公表。追悼コメントとともに、すでに近親者のみで葬儀を執り行ったことを報告した。

同じく追悼コメントが発表された集英社「少年ジャンプ」の公式サイトでは、鳥山さんと親交のあったゲームデザイナー・堀井雄二氏(70)、漫画家の桂正和氏(61)、尾田栄一郎氏(49)、岸本斉史氏(49)によるコメントも掲載された。

鳥山さんの突然の訃報に、漫画界の枠を超えて日本だけでなく世界中で偲ぶ声が溢れている。だがいっぽうで、’86年の放送開始からアニメ『ドラゴンボール』シリーズで主人公・孫悟空のCVを務めてきた声優・野沢雅子(87)はコメントできる状態にはないという。

複数のメディアによれば、野沢が所属する「青二プロダクション」は取材に対して「あまりに突然の訃報で、本人も強いショックを受けており、今すぐにはコメント出来る状況にございません」と回答している。

悲しみに暮れている野沢に、SNSでは《野沢さんがシンプルに心配 力を無くさないでほしい》《野沢さんからしたら家族が亡くなったような感じでしょう…言葉が出てこないですよね》と慮る声が続々。

そうした声は“仲間”からも。アニメ『ドラゴンボール』シリーズで主要キャラクター・ピッコロのCVを担当してきた古川登志夫(77)は、同日に更新したXで野沢をこう思い遣っていた。

《マネージャーさんからもたらされた鳥山明先生の訃報……「マコさんに次いで今登志夫さんにお報せするのですが……」真っ先に頭に浮かんだのは「マコさんはどんなお気持ちだったろうか?!」ということだった》

■オーディションで鳥山さんが絶賛「悟空の声はこの人しかいない!」

野沢といえば悟空だけでなく、息子の悟飯、悟天と親子3人のキャラクターも演じ分けてきたレジェンド。’19年6月の本誌インタビューでは、その喜びをこう語っていた。

「親子3代をやれるなんて、こんな最高なことはないです。

同じキャラクターでも子どもから大人になると声優を替えるものなんですよ。台本に自分の名前を見つけたときは本当にうれしかったですね」

『ドラゴンボール』において欠かせない存在だが、昨年9月に出演したラジオ番組『TOKYO M.A.A.D SPIN』(J-WAVE)内では、“孫悟空秘話”を語っていた。

「野沢さんは『ドラゴンボール』のオーディションで、鳥山先生から直々に悟空役に指名されたそうです。当時オーディションでは声優陣の名前が伏せられていたそうですが、野沢さんの声を聞いた先生は『悟空の声はこの人しかいない!』と絶賛したと聞きました。

悟空の一人称である『オラ』を提案したのも野沢さんで、セリフの言い回しは自分なりに考えて表現したといいます。アニメ開始直後には先生に『描いていると、野沢さんの声でセリフが頭の中に出てくる』と言ってもらったそうで、野沢さんは喜んでいました。

そんな野沢さんは、収録での気合いの入りようも本格的。必殺技の『かめはめ波』を出す時は、“スカートだと股が開けないからパンツを履く”と裏側を披露していました。約40年近くも演じ続けてきただけに、野沢さんの心中を察するには余りあります……」(アニメ制作関係者)

先の本誌インタビューでは、「いまや、悟空は私の分身ですね。宝物です!」と語っていた野沢。鳥山さんと築いた絆は、永遠だ――。