「衝撃的な知らせでした。23年間に渡って宝塚の振付師として活躍されてきた先生が宝塚との“絶縁宣言”をしたのです。
こう語るのは、ある宝塚関係者だ。
昨年9月、宝塚歌劇団に所属する劇団員のAさん(享年25)が亡くなったことで「宝塚いじめ問題」が噴出してから1年余りが経過した。
「劇団側は事件から2カ月経った昨年11月にようやく記者会見を開きましたが、いじめなどの事実を認めず、謝罪の言葉もないまま公演を続けていく方針であると発表。理事長ら幹部が事件についてまるで他人事のように語る態度には多くの批判が殺到しました。
しかし今年3月に会見で劇団側は一転して14のパワハラ行為を認めて遺族側に謝罪、7月には理事長が劇団の体制改革などについての構想を説明しています。今年は本来であれば歌劇団の110周年という華々しい年だったはずですが、逆に旧態依然とした劇団の体制が明るみに出される形になりました」(全国紙記者)
そんななか劇団側の対応に失望し、宝塚との決別を誓った関係者がいた。長年、劇団の振り付けに携わってきた振付師のK氏だ。
■宝塚と“絶縁宣言”をしたK氏のブログ内容
同氏は今年4月、自身のブログでこう綴っていた。
《事件から約半年…漸く、一応の決着がついた様だ。遺族側の会見を拝見した後、劇団側の会見を見たよ。
前回の遺族側の会見では、妹さんの書面での発言があり、今回の会見では、お母様の書面での発言があった。
大切な家族を、こんな形で失い、哀しみに暮れる中、戦い続けて来られた事に、本当に頭が下がる思いだよ。さぞや辛かったはず…。
一方の劇団側の会見においては…なんと言うか…「誠意」とか「真摯」という、本来ならば「重み」を持つべき言葉が、上滑りしている会見が続き、今回の会見においても尚…「仕方なく謝罪をする」と言う感じが拭いされていなかった…と、私は思った。
「自死」を選択しなければならなかった…こんなに痛ましい事はない。しかし、会見に現れた関係者の中の誰1人からも…真摯で、誠意のある追悼の思いを感じる事を、私は出来なかったよ…。
複数回、笑みが見えた最初の会見、そして、「証拠をお見せ頂きたい」と、遺族側を侮辱する様な発言があった正式な会見…。
私はこの時点で心を決めていた。もう…宝塚には行かないと》
前出の宝塚関係者が語る。
「K氏は郷ひろみさんやSMAP、有名テーマパークのダンサーまでたくさんの人を指導してきた有名な方です。宝塚にも外部の振付師として23年間に渡って全組を教え、いじめがあった103期生の初舞台の振り付けを担当したのもK氏でした。
そんなK氏がブログで宝塚への決別を宣言したことは、宝塚ファンのあいだでも大きな話題になりました。
ブログ公開当時、SNSでは、K氏が宝塚に言い渡した“絶縁宣言”に対してこのような声が上がっていた。
《もう先生の振り付けは宝塚では見られないんですね…》
《先生が宝塚から離れてしまうのは残念だけど仕方ないと思う。103期を大切に想ってくださっていることが何よりの救い》
《こういう当たり前の感性と倫理観を持った誠実な人が内部にもいてくれたことが嬉しいです》
《苦渋の決断、さぞ悔しくて辛いと思う。けれど今も愛をもってくださっているし、私も先生の振り付けが大好きでした。劇団には重く受け止めてほしい…》
現在では見られなくなってしまった同氏のブログの終わりはこんな言葉で締めくくられていたという。
《今はただ…嘘偽り無く、これからの宝塚歌劇団を、良き方向に向かわせる為に、全ての関係者が一丸となる事を、切に…心から願うよ》
四半世紀近くの間、タカラジェンヌたちを我が子のように育ててきた“父”が残した言葉は、劇団関係者の心に届いたのだろうか――。