(台南 8日 中央社)日本統治時代に南部・台南で初の消防団を立ち上げた日本人、住吉秀松が当時暮らしていた台南市中西区の邸宅が市の暫定古跡に登録された。市文化資産管理処が8日発表した。
邸宅の敷地内に重機が出入りしているとの通報が7日に寄せられ、同処は建物への危険が差し迫っていると判断して急きょ登録を決めた。

同処によれば住吉邸は典型的な日本式の木造建築。初歩的に確認した結果、建物の外観が完全な状態で保存されており、文化資産としての価値を有していると評価した。

邸宅の敷地と建物の所有権を巡っては訴訟が起こされており、同処は所有者が裁判で設置を定められた通路を建設するために重機を手配したと推測している。同処は所有者に解体の動機があるのを確認し、暫定古跡の登録決定後、現場の作業員に作業の即刻中止を求めた。

暫定古跡は古跡とみなされ、破壊した場合には罰せられる。
同処の林喬彬処長によれば、暫定古跡に登録された後は市の審議委員会で古跡の資格を有しているか審査される。審査は長ければ1年かかるという。

住吉は1907(明治40)年に台湾で建設会社「住吉組」を設立し、鉄道や橋などのインフラ整備に携わった。1919(大正8)年には台南初の私設消防団である「台南消防組」を組織し、10年以上にわたって責任者を務めた。台湾では「台南消防の父」と呼ばれている。

(張栄祥/編集:名切千絵)