(台北中央社)蔡英文総統は1日、台北市内の総統府で新年の談話を発表した。中国の政治介入を防ぐことを目的とする反浸透法案が前日に立法院(国会)で可決されたことについて、同法によって台湾の自由や人権が侵害されたり、中国との正常な経済交流に影響を及ぼしたりすることはないと強調。
台湾の自由と民主主義がより保障されることになるとの見解を示した。

同法は与党・民進党が昨年11月末に提出。この少し前に、中国の工作員と名乗る男性が2018年の統一地方選に際し、最大野党・国民党に資金提供などを行ったことがオーストラリアのメディアに報じられた。

「域外敵対勢力」の指示や委託、資金援助を受けて選挙活動を行うことを禁じる同法。この「域外敵対勢力」は「我が国(中華民国)と交戦する、または軍事的に対峙する国家、政治実体、団体。非平和的手段で我が国の主権を脅かす国家、政治団体、団体」とされている。
国民党はこれに対し、定義があいまいで、中国で活動する台湾企業や留学生らが中国人と接触しただけで処罰の対象になりかねないとして反発。公布後には憲法解釈を申し立てる姿勢を見せている。

蔡氏はこれについて談話で、中国の指示や委託、資金援助を受けたかどうかの判断は裁判官による裁量が必要で、いかなる個人や行政機関が決めるものでないとの考えを示した。

(顧セン、温貴香/編集:荘麗玲)