(台北中央社)蔡英文(さいえいぶん)総統は1日、総統府で新年の談話を発表した。今年5月で2期8年の任期を終える蔡総統は、自身にとってこの8年のキーワードは「世界」だったと振り返った上で「もしこの8年の世界のキーワードは何かと問われれば、そこには必ず『台湾』がある」と述べた。


蔡総統は、この8年に世界の構造は劇的に変化したと言及。ロシア・ウクライナ戦争や新型コロナウイルスの流行、極端な気象の頻発、民主主義と権威主義の再衝突などを挙げ、この8年で民主主義は地政学上で守らなければならない要塞になり、さらには国際的なサプライチェーン(供給網)で搭載しなければならないコアになったと語った。続けて「台湾も本当に変わった」とし、「これまでと違うのは、台湾はもはや忘れ去られておらず、2350万の台湾の人々は世界の変化、ひいては世界を変えることに関わった」と強調した。

また「現状維持の約束を守り、国防強化の決意を示す」と言明。台湾は挑発せず、屈せず、この上なく固い信用によって国際社会の信頼を勝ち取っていくと力を込めた。

談話発表後の質疑応答で、中国の習近平国家主席が先月31日に発表した新年の談話で「祖国統一は歴史的必然」との見解を示したことに対するコメントを求められると「われわれは民主主義国家であり、将来的に中国とどのような関係を形成するかは民主的手続きによって最終的に決定されなければならない」と述べ、民主主義の原則にのっとり、台湾人の共通の意志によって両岸(台湾と中国)関係の行く末を決定すべきだとの考えを示した。


(王揚宇、葉素萍、温貴香/編集:名切千絵)