(台北中央社)民間の研究団体、台湾安全研究センターなどは14日、台北市内で8年後の台湾海峡を時間軸に設定した机上演習を開始した。同センター主任で演習の進行役を務める劉復国氏は、演習の目標は国家安全保障戦略の策定における輪郭を描き、5月に発足する新政権に参考として情報を提供することだと説明した。


机上演習は、中国の習近平国家主席が4期目を続投した場合に任期を終える直前の2032年を想定。武力攻撃とは判断しにくい手法で圧力を加える「グレーゾーン作戦」を重点とし、国家の安全保障やエネルギー、経済、通信などに関してシミュレーションを行った。

劉氏は、米国や日本のシンクタンクが実施する机上演習は、どちらが戦争に勝利するかを見ているが、今回は異なると説明。ダメージコントロールではなくリスク管理を進めるものだとした上で、リスク回避の方法をどのように見つけるかが演習の核心的な趣旨だと述べた。

また、台湾には現時点で国家安全保障戦略がないため、危機が発生した時に各部門が一体になれないと指摘し、策定の必要性を訴えた。

机上演習は15日まで行われる。


(呉書緯/編集:田中宏樹)