両団体はいずれも台湾の南のバシー海峡で第二次世界大戦中に命を落とした戦没者の慰霊に取り組んでいる。交流協会によれば、潮音寺管理委員会は慰霊施設として1981年に建立された潮音寺を管理している。遺品の管理や展示なども行い、バシー海峡での惨劇を後世に伝えている。慰霊祭実行委員会は2015年に台湾在住の日本人らによって設立。潮音寺管理委員会と共同で慰霊祭を開催してきた。
潮音寺管理委員会の鍾佐栄委員長はあいさつで、真に表彰を受けるべきなのは寺を建立した故人の中嶋秀次さんだと言及。戦時中にバシー海峡で12日間漂流した末に生還した中嶋さんが、救助されるまでの間に聞こえた仲間たちの助けを求める声を30年以上忘れられず、慰霊のために寺を建立したと説明した。
慰霊祭実行委員会の渡辺崇之委員長は、特殊な外交問題などを背景に、日本政府はバシー海峡でのみ慰霊祭を行うことができていないとした上で、同委員会が外務大臣表彰を受けたことはバシー海峡における戦没者が初めて国に認められた証明のようなものだとコメント。バシー海峡の存在すら知らない日本人が未だに多いため、委員会の使命はまだ道半ばだとの考えを示した。
今年の慰霊祭は17日に屏東県の潮音寺で行われたという。
(林巧璉/編集:田中宏樹)