台湾の交通環境を巡っては、海外メディアで「歩行者地獄」などと批判され、政府は汚名を返上しようと「歩行者優先」の徹底に向けた取り組みを推進している。2023年には自動車が歩行者を優先しなかった場合の過料を6000元(約2万9000円)に引き上げた他、歩行者の安全の改善を目指す政策綱領を閣議決定し、交通事故による死者数を2030年までに30%減少させる目標を打ち出した。
交通部によれば、昨年の歩行者の死傷者数は前年比498人減の1万7162人、死者は14人減の366人だった。車両が歩行者優先を守らなかったことを原因とする死者は83人に上り、全体の約2割を占めた。
改正案では、自動車運転者が歩行者に道を譲らずに軽傷を負わせた場合の過料を現行の7200元(約3万5000円)から1万8000元(約9万円)に、重傷を負わせた場合の過料を現行の1万8000元から3万6000元に引き上げるとした。また備考として、歩行者妨害によって歩行者が重傷・死亡となった場合、運転者の運転免許を取り消すとの文言が加えられた。
(黄巧雯/編集:名切千絵)