(新北中央社)北部・新北市の淡江大学で7日、日本の元陸将、小川清史氏がリモート形式で講演を行い、日本の中谷元・防衛相が3月の日米防衛相会談で言及した「一つの戦域」(ワンシアター)構想の核は台湾とその周辺の海域・空域で、台湾が中国に占領されるのを防ぐことにあると語った。

小川氏は2017年に退役。
この日の講演は「最近の日本の安全保障政策」をテーマに、英語で行われた。

小川氏は、中谷防衛相が3月30日に防衛省でヘグセス米国防長官と会談した際、インド太平洋地域の米国や日本、オーストラリア、韓国、フィリピンなどによる「一つの戦域」構想を打ち出したと説明。戦域には朝鮮半島や東シナ海、台湾海峡、南シナ海、フィリピン海が含まれ、中国に対する防衛を強化する狙いがあるとした上で、構想はデリケートなため詳細は公開されなかったと述べた。

中国の侵入を防ぐのは相当困難なものの、可能だと考えていると話した小川氏。台湾は、防衛政策を敵の前進を防ぐのではなく遅らせることを主軸とする「縦深防御」に変更していると指摘した。

また、日本も南西諸島の防衛力強化を始めた他、米軍と昨年2月に行った共同演習「キーン・エッジ」では中国による台湾侵攻や在日米軍基地へのミサイル攻撃、与那国島への攻撃を想定したと説明。有事の際、自衛隊は米軍と共に中国軍に反撃し、台湾を支援するとの見解を示した。

上陸作戦は一般的に、攻撃側に防御側の3倍の戦力が必要とされているが、現時点での中国軍の戦力は台湾と日本、インド太平洋地域に展開する米軍の合計の戦力にわずかに勝っているに過ぎないとした上で、中国が短期間のうちに攻撃を行うのは難しいだろうと述べた。

一方で、中国の習近平国家主席は経済ではなく権力の維持を重視しているため、各国とも次の段階で起こり得る危機に備え始めるべきだと語った。

(呉書緯/編集:田中宏樹)
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