戦闘技術に長けた選りすぐりの傭兵を派遣する、世界的に有名な軍事企業10社

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 文明が興って以来、傭兵たちは戦場の帰趨(きすう)を決める重要な役割を担ってきた。

 アレクサンダー大王の遠征から米軍によるイラク侵攻まで、しばしば戦争はいずれの陣営にも心からの忠誠心を持たないであろう雇われの兵士たちの手に委ねられていることがある。


 だが、最も手強い戦闘力であるにも関わらず、彼らの存在が歴史の中で語られることは稀である。

 さて、現在の傭兵は歴史的な存在とは少々変質しているようだ。

 戦闘はずっと私的なものとなって利益が絡み、傭兵は手っ取り早い稼ぎが目当ての荒くれ集団ではなくもっと洗練された多国籍企業に変貌した。

 それでは、世界的にその名を知られる軍事企業10社を見てみることにしよう。
【10. ダインコープ(DynCorp):アメリカ】

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DynCorp International: Our History and Future

 アメリカの戦いというと、愛国心の強い米兵たちが主役というイメージがある。しかしこれは映画などで作られたもので、実際には民間の軍事企業が請け負うことも相当に多い。


 そうした軍事企業は、アメリカがいくつもの紛争に関与していることもあって大きく成長した。中でも有名なのがダインコープだ。

 イラク、アフガニスタン、ボスニア、スリランカ、クウェート、ボリビアなど、各国で米軍の屋台骨として活躍。

 同社のサイトでは法の遵守を旨とする警備会社ということになっているが、ボスニアでの未成年への性的虐待などいくつもの人権を侵害を犯したかどで批判されている。

【9. ガルダワールド(GardaWorld):カナダ】

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GardaWorld Federal Services - Training

 軍事企業だからといって悪だと決めつけるのはフェアではない。中には崇高な理念を持ち、人道支援や復旧支援に携わる民間軍事企業だってある。


 しかし、残念ながら一番成功しているのはそうした企業ではない。最大手とされる民間軍事・警備企業は常に批判が寄せられている存在だ。

 もしかしたら、それはそうした企業がきちんと監視されていないことや、大量の武器を所有していることと関係があるかもしれない。

 もっとも物議をかもす企業のひとつが、カナダのガルダワールドだ。9万人の社員を抱える大企業で、世界でも有数の軍事企業をたくさん所有する。

 だが2015年に買収したイギリスのイージスは、シエラレオネで少年兵を採用してイラクで戦わせたとして批判を浴びている。


 また2012年には、アフガニスタンでガルダワールドの従業員が違法なAK-47(自動小銃)を利用していたというスキャンダルもあった。

【8. オリーブグループ(Olive Group)】

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Olive Group Director of Crisis Response on shift in US hostage policy

 中東は相変わらず混沌としている。イスラム国の勢力は一時より衰えたが、シリア内戦は続いており、まだしばらくは終わりそうにない。

 当然、大半の企業にとって事業環境は悪化している。特に問題となっているのは、企業の私有財産をいかにして安全に守るかということだ。

 オリーブグループは、自爆テロや民兵組織の襲撃などから原油関連企業を守ることに特化した民間軍事・警備企業で、2003年以来イラクで活動している。


 特に重要な業務が現地の情報収集を通じたリスク評価なのだが、ここで紹介する多くの企業と違って悪い評判は少なく、どうやらいい仕事をしているようだ。

【7. MPRI:アメリカ】

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 民間企業から政府まで幅広い顧客を抱えるMPRI(Military Professional Resources Inc.)だが、最大のお得意様は米政府だ。

 イラクやパナマをはじめとする各国の軍事行動に従事してきたが、東欧で共産主義が崩壊していた時代の一件は同社にとって消すことのできない汚点である。

 クロアチアで実施された嵐作戦(軍事作戦のコードネーム)では大勢が暴行や虐殺の被害者となったが、そうした凶行を働いた地元兵士たちはMPRIからの訓練を受けていた。

 つまり、このジェノサイド(集団殺害)に同社は間接的ではあっても関与していたということだ。

 この作戦によって同地域は不安定化し、10万人以上のセルビア人が故郷を追われることになった。


 一方、MPRI側に戦争犯罪を問われた者はおらず、その後も米軍に重宝される有数の民間軍事企業であり続けている。

【6. エリニェス(Erinys):イギリス】

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ABC Interview with Jonathan Garratt founder & CEO Erinys International, Baghdad 2004

 イギリスは多国籍民間軍事企業の一大拠点へと急速に変貌を遂げているが、エリニェスもまたイギリスに本社を置く企業だ。

 イラク戦争勃発以降、多国籍軍から重用されているが黒い噂もまた多い。

 たとえばエリニェスの従業員が現地の法律事務所のクライアントを護衛している最中に、無実の民間人に対して発砲したという事件がある(幸いにも死者は出なかった)。またアメリカ兵の死や捕虜の虐待に関連して訴えられたこともある。

 エリニスの主な業務内容は、戦争後のイラクで私企業や原油施設の警備をすることだ。


【5. ブーズ・アレン・ハミルトン(Booz Allen Hamilton):アメリカ】

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Who are Booz Allen Hamilton, employers of whistleblower Edward Snowden? - BUSINESS BULLETIN

 諜報活動というと国家の諜報機関の専売特許のようなイメージがあるが、実際のところ民間にもこれを得意とする組織が存在し、中には国家以上の能力を備えているところもある。

 アメリカ・バージニア州マクリーン(政治家や政府高官が多く住んでいることで有名)に本社を置くブーズ・アレン・ハミルトンもそうした企業のひとつだ。

 金はかかるが、スパイの訓練、紛争地帯の情報収集、NATO(北大西洋条約機構)向けの軍事シミュレーションなど、政府からのさまざまな依頼を請け負っている。

 米国政府以外にも紛争地の市場に関する情報が欲しい民間団体など、世界中にさまざまなクライアントを抱える。

【4. ユニティ・リソーシズ・グループ(Unity Resources Group):オーストラリア】

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Father seeks justice for Iraq death

 軍事という点でオーストラリアはそれほど目立たないが、じつのところ米軍とNATOの作戦のほぼすべてで重要な役割を担っている。

 そのようなアメリカの強力な同盟国であるオーストラリアで、最大手の民間軍事企業がユニティ・リソーシズ・グループだ。

 アフリカ、南北アメリカ、中央アジア、中東、ヨーロッパなど、世界中で活動しており、主な業務内容はリスク評価、地元軍への助言、訓練、飛行である。

 特に有名なのがバグダッドでのオーストラリア大使館防衛作戦だが、地元民兵との小競り合いも日常茶飯事で戦闘の技術にも長けている。

 社員にチリ出身の元軍人を多く抱えているが、これが世に知られるようになったのは不名誉な事件がきっかけだった。ある兵士が、車を運転していたオーストリア人の教授を制止したが止まらなかったというだけの理由でその人物を殺害してしまったのだ。

【3. STTEP】

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Mercenaries help fight Boko Haram | FT World

 情勢が不安定なのは中東ばかりではなく、アフリカにもまた恐ろしいテロ組織が存在する。

 たとえばボコ・ハラム(ナイジェリアのサラフィー・ジハード主義組織)は、イスラム国よりも長くナイジェリア政府と血で血を洗う内戦を続け、いくつもの民族浄化事件に関与している。

 イスラム国以上に中東地域にとっての脅威であるという意見もあるが、大国の利益と直接相反しているわけではないので大きなニュースになることはない。

 ナイジェリア政府は状況をコントロールできておらず、STTEPのような傭兵企業の手を借りて戦いを続けている。

 その名は「特殊タスク・訓練・装備・警護(Specialized Tasks, Training, Equipment and Protection)」の頭文字をとったもの。

 南アフリカに由来があり、関係者には元南ア軍の精鋭たちが多くいるらしい。

 ボコ・ハラムとの直接的な戦闘も行なっているが、公式にはナイジェリア軍の訓練のみを任務としている。

 ただしナイジェリア情勢には不明な点も多く、実際にSTTEPが行なっている活動もはっきりしない。

【2. ガスプロム(Gazprom):ロシア】

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Gazprom: in the pipeline

 ここで紹介する他の企業とは違い、ガスプロムはもともと傭兵企業だったわけではない。社名の通り、ロシアに拠点をおく世界最大の天然ガス企業である。

 ロシア政府が株式の過半数を所有する半国営企業で、世界中に数々の子会社を抱えている。そして、その中には企業というよりも軍隊のような活動をしている組織もある。

 英国や米国の企業でもそうだが、石油企業は地域の問題に対処するために私設の軍隊を所有していることがある。何を言っているのかは、最近の南米の歴史を調べてみればすぐにわかるだろう。

 ガスプロムもまた私兵を抱え、最近では軍用ドローンも採用されたようだ。シリアに深く関与しており、ロシアが軍事介入して以降、同国内で急速に成長した。

【1. G4S(イギリス)】

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G4S Ordnance Management in Mosul, Iraq

 おそらく初耳だろうが、世界最大(それも圧倒的な)の民間軍事・警備企業で、アメリカ政府が掲げた対テロ戦争で驚異的な発展を遂げた。

 G4Sは、120ヶ国で作戦を展開しており、従業員はじつに62万人にものぼる。あまりピンとこないなら、英軍の3倍の規模と説明すればいいだろうか。

 またウォルマート、フォックスコンに次ぐ、世界第3位の民間雇用主でもある。

 多くの民間軍事企業と同じくイギリスが拠点であり、世界各国のさまざまな事情を抱えたクライアントにサービスを提供している。

 夜間の警備やパトロールといった業務も行なっているが、もちろん危険な紛争地帯でその規模を活かしつつあらゆる任務をこなすことができる。

References:Top tenzなど / written by hiroching / edited by usagi

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