命綱なし。高さ320mのクライスラービルで高所作業を行っていた作業員たちの映像(1930年)
 アメリカのニューヨークで最も象徴的な高層ビルの1つであるクライスラービルが完成したのは1930年のことだ。

 当時、高さ約320mの世界一高いビルとして名を馳せたクライスラービルは、わずか1年半という極めて短期間で建設された。


 どこよりも高い建物を目指し、完成を急いでいたビルの建設。そんな工事に携わった作業員の命がけの作業動画が話題になっている。

 落下防止の命綱も無いまま、めまいがするほど高い現場で飄々と働く作業員。見てるこっちがヒヤヒヤする。

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Construction Workers on the Chrysler Building, 1929-1930熾烈な建築競争のトップを目指したクライスラービル 当時、ニューヨークではより高い高層建築の熾烈な争いが繰り広げられていた。

 その最中に自動車メーカークライスラー社のために計画された高層ビルは、どこよりも高い建物の称号を勝ち取るために一刻も早い完成を目指していたのだ。

 動画はアメリカのニュース映画Fox Movietoneのカメラが1929~1930年にかけての工事風景をとらえたもので、視聴者に驚異的な高さを伝えるため様々な角度から撮影している。世界一のビルを作った命綱無しの作業員 1928年11月から急ピッチで進められた工事のスピードはすさまじく、半年後の1929年夏頃にはおよそ1週間で4階分という前代未聞のペースで進み、1930年5月の完成時には高さ約320m、77階建てのビルとして一躍脚光を浴びた。

 一方、世界一のビル作りに携わった作業員は目もくらむような高所をものともせず、命綱無しで働いていたようだ。

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 まるでベンチに腰掛けているような気軽さで腰掛ける作業員。こちらも命綱は無く、単管につかまって足を絡めている程度だ。

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 61階でクライスラーの象徴ともいえるイーグルのオーナメントの設置を行う作業員。


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 後ろの柵に体を預けているが、そのはるか下ではニューヨークの街並みの間を豆粒のような車が行き交っている。

 こちらは尖塔を囲む足場に乗ったまま笑顔を見せる作業員。踏み外したら即死を免れない高さなんだけど?

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NYのシンボルとして今も愛されるビル 現代では考えられない軽装備のまま、どこにでも登ってしまう作業員。怖がってたら仕事にならないのもわかるけど、よくこんなに平気でいられるものだ。

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 なお命知らずな作業員のおかげで早々に出来上がったクライスラービルが世界一を誇った期間は1年に満たなかった。

 だがアールデコ様式を取り入れた高層ビルとしても名高く、シャープな尖塔や美しい装飾でも有名なクライスラービルはニューヨークの摩天楼に欠かせない存在として今もなお多くの人に愛されている。

References:geekologieなど /written by D/ edited by parumo

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