1つの動画だけではわからない事実がある。ランボルギーニとアウディの追突事故の全貌が後に明らかに
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 9月30日、アメリカ・フロリダ州タンパの交差点で、ランボルギーニ・アヴェンタドールとアウディの衝突事故が発生した。

 その後、ランボルギーニを運転していた男性が追突事故の様子を撮影した映像をあらゆるSNSに投稿した。
アウディの運転手女性が男性を怒鳴っており、彼女は、追突して逆切れした加害者として多くのユーザーから非難されていた。

 ところが、事実はそうではなかったようだ。実際にアウディがランボルギーニと追突したのは事実だが、その前にある出来事が起きていた。

 複数の防犯カメラが全てを捉えていたことで、その全貌が明らかになったのである。

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Matt from Hornblasters gets rear ended in Lamborghini Aventadorランボルギーニとアウディの追突事故が発生、SNSに投稿される 9月30日、フロリダ州タンパのノースセントラルアベニューにある交差点で車の追突事故が発生。その様子を捉えた動画がSNSで拡散した。


 動画を投稿したのは、追突事故の当事者で、ランボルギーニを運転していたマット・ヘラーさんである。

 自動車のクラクションや列車の汽笛を製造するアクセサリ会社『Horn Blasters』の創設者である彼は、この日はレンタルしたランボルギーニ・アヴェンタドールで夕食に向かう途中だったという。

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一部分の映像のみが拡散され、アウディの女性に非難の声が高まる 事故後、アウディを運転していたマディ・ギルソウルさんが車から降りて、少し離れたところに止めたランボルギーニに向かってやってくる姿がヘラーさんにより撮影されている。

 ランボルギーニのサイドガラスを叩いたギルソウルさんは、「買ったばかりの私の車にぶつかったでしょ!」とヘラーさんに怒鳴っている。

 しかしヘラーさんは、「僕の車が君の車に後ろから衝突したってのかい?逆だろ?」と笑いながら言い返してた。

 そんなヘラーさんにギルソウルさんは「何が面白いのよ!あんたが、私の車にぶつかってそのまま走ろうとしたんでしょう!?」と怒っている。


 この動画の最後には、アウディがランボルギーニに後ろから衝突した映像が示されており、当初SNS上でギルソウルさんは「自分が追突したくせに逆切れした女」という形で広まった。

 ところが、真実は異なるものだった。複数のカメラが、全てを捉えていたのだ。先にランボルギーニがアウディの横部をこすっていた 確かに、最初に拡散した動画を見る限りではヘラーさんが被害者のようにも見える。

 だが、追突事故が発生した近くのガソリンスタンドの防犯カメラと民家に設置されたリングドアベルカメラにより、最初の動画で示されていた事故の前後が明らかになった。

 ガソリンスタンドの防犯カメラを巻き戻した形でシェアされた動画では、別の角度から撮影されたアウディとランボルギーニが映っている。


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Lamborghini side swiped Audi first

 アウディは、横断歩道を渡ろうとしている自転車を待っており、停止中だった。

 しかし、真後ろにいたヘラーさんのランボルギーニはアウディを追い越そうとした。

 その瞬間、ランボルギーニはアウディの車体に接触。また横切っていた自転車にも危うく衝突しそうになっている。

 つまり、ギルソウルさんが言うように、先にアウディと接触し傷つけたのはランボルギーニだったのだ。

 その後、怒ったギルソウルさんが追い越したランボルギーニに後ろから追突するという流れとなっていたのだが、この部分だけが切り取られて、ヘラーさんがSNSに投稿したのだ。


 続いてヘラーさんは、近くの民家のリングドアベルカメラの映像をシェアし、このように綴った。

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Matt from hornblasters gets side swiped while over taking a stopped car.
私の車は、左折するのを待っていた数台の車の後ろにあった。最前線の車はなかなか曲がろうとせず、私は待つことにイライラし、クラクションを鳴らして「今曲がれるじゃないか」と知らせた。

だが、私の前にいたアウディの女性は、自分がクラクションを鳴らされたと思ったのだろう。

ついに最前線の車が曲がったが、アウディは信号が青なのに動こうとはしなかった。だから私はイラついてクラクションを鳴らしてアウディを抜こうとした。


左に追い越しをかけた時、彼女の車は前に進み、私が追い越せないように車を私の方へ向けた。

その瞬間、私はアウディの車体と接触したようだが、当初は気付かず後になって気付いた。ランボルギーニの車体にはアウディのタイヤ痕がついていたんだ。

この映像では、アウディがどのように私の車に接触したのかが明らかだ。その後、彼女は私に後ろから衝突したんだ。

2度も追突しようとする彼女の動機がわからないけど、明らかにクラクションを鳴らしたことを不快に感じ、私に追い越されるのが癪に障ったんだろう。


確かに、私はせっかちになっていたしクラクションも鳴らしたが、自分の会社でクラクションや汽笛を製造して生計を立てている身として、こうした暴力ではなく、音を使って相手に伝えるのが最善だと常々学んでいる。
結局どっちもどっち? ヘラーさんいわく、対向車がなかった時に追い越そうとして、前のアウディが方向を変え阻止しようとしたということだが、現場でのギルソウルさんの主張は、自転車の横断を待ってから曲がろうとしていた矢先に、後ろのランボルギーニが追い越しをかけてきて接触されたということだった。

 今回の事故については、ギルソウルさんはSNSやメディアでほとんど主張を伝えていないが、一度だけTikTokで、「あんたが私の車をこすったからやったのよ」と、接触された後に意図的にアヴェンタドールに追突したことを認めるメッセージをシェアしている。

 一方、動画をメディアやSNSでシェアしているヘラーさんは、追突された側の被害者としての主張を譲らない。

 しかし、複数のカメラの映像を見た多くのユーザーらからは、両者の主張について次のようにコメント。
・後ろからアウディが衝突してきただけの映像見て驚いたけど、こういう背景があったのなら、どっちもどっちでしょ。

・サイクリストは赤の信号なのに横断しようとしたってこと?もう、何がなんだか…。

・ここで、このタイミングで追い越しかけるのは違法じゃないのかな。

・アウディが後ろから追突したのは意図的だし、事故ではないから、やっぱり女性に非があるんじゃない?

・追い超しされてこすられた時点で、アウディの女性は警察に通報すればよかったのに。故意に追突したら分が悪くなるだけじゃないか。

・男性は、次から次へと自分が被害者だという「証拠」の映像をシェアしているけど、墓穴を掘っているのも同じ。対向車線で追い越しかけようとして、前のアウディをこすったのは自分だよね?しかも、サイクリストを轢きそうになってる。それでも被害者を演じ、アウディの所有者を誹謗中傷して正当化。訴訟では、彼女が勝つことを願っているよ。

・自分が正しいと主張しているけど、アウディは明らかに曲がろうとしている時に無理やり追い越そうとしているじゃないか。車の運転を最初から学習した方がいいんじゃないか。

・もうちょっと我慢すればこういう事態にならないのに。他人に命のリスクを負わせた男性ドライバーが悪い。

・リングドアベルカメラを見れば明らかだと思う。いい加減自分が先にアウディに接触したことを認めて、これ以上被害者ぶる動画シェアは止めた方がいい。

・これ、アウディの女性が後から追突しなければ、当て逃げして終わってただろうね。

・アウディの女性ももっと賢く立ち回れば良かったものを…。

・どちらも悪い。追い越しかけて先に当たったのは男性だし、追突したのは女性。その事実はカメラから明らかだからね。
 なお、タンパ警察によると、事故当事者2名からの通報は受けていないということだ。

written by Scarlet / edited by parumo

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