ニワトリじゃないよ、ハトなんだぜ。ジャワ島の廃墟化したチキン教会が注目を集める
 もしインドネシアのジャワ島の都市マゲランで鳥型の巨大な建物に出くわしても驚かないでほしい。

 この奇妙な建築物は、地元ではもっぱらグレジャ・アヤム(Gereja Ayam)という愛称で親しまれている。
それは現地語で「チキン教会」や「チキンチャーチ」を意味するのだ。

 ただし建造者のダニエル・アラムシャー(Daniel Alamsjah)さんによると、この建物は厳密にはニワトリ(チキン)でなく鳩であり、一般的な教会とも異なるという。

 通称チキンチャーチなのに?と疑問に思うかもしれないが、一時廃墟化していたこの建物がなんと今、観光名所として生まれ変わっているんだそうだ。

本当は鳩。神のお告げで建てられたチキンチャーチ チキンチャーチ、別名 Bukit Rhema(ブキット・レーマ)は現地に住む信心深いダニエル・アラムシャーさんが神のお告げで建てたもの。

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image credit:Liuzhary / WIKI commons

 この建物の説明によると1988年、森の中の丘の上で一晩中祈りを捧げていたアラムシャーさんが「鳩の形の礼拝施設を建てよ」という神の啓示とビジョンを受け、その聖なる造形の具現化に取りかかったという。


 その後のアラムシャーさんはすべてを投げうつほど熱心に作業に没頭。お告げを受けた丘の土地を買い取る算段をつけ、地元の人の助けも借りながらおよそ4年かかってこの建物を建てた。

 当時の世間の反応は不明だが、事情を知らずともその見た目に吸い寄せられる人が大勢いたにちがいない。

 世界広しといえど、その時代にこれほど鳥に寄せた建物などなかったのではなかろうか。

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image credit:Gereja Ayam Matt Smith (Public Domain)

全教派を歓迎したものの廃墟化。その後復活の兆しが アラムシャーさんが「祈りの家」とも呼ぶチキンチャーチは、あまねく人の祈りを歓迎した。
仏教、イスラム教、キリスト教などの教派に関わらず、ここを目指して行脚する者の信仰をすべて受け入れた。

 上の階は宗教儀式、下の階では助けが必要な子どもたちの支援や病で苦しむ人のリハビリなどの慈善活動が行われていた。

 だが残念なことに1990年代まで盛んだった活動は2000年に終わりを迎える。

 実はチキンチャーチは未完で追加の工事が予定されていたが、その費用が高額になり過ぎたため立ち行かなくなったという。

 誰も訪れなくなった建物は空っぽのまま森に残され毎年少しずつ朽ちていった。その積み重ねで廃墟化が進み、恐ろしい外観に変貌した


 その様子は以前もお伝えしたが、なんと幸いにもこのチキンチャーチは今、人がにぎわう観光スポットとして息を吹き返したのだ。

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観光施設になったチキンチャーチは映画のロケ地にも! 生まれ変わったチキンチャーチの中はきれいに片付けられ、この地域にふさわしい観光施設になりつつある。

 内部には古くから伝わる神話や歴史を伝える壁画も飾られている。これらは地元の芸術家が描いたものだ。

 鳥の背中や尾にあたる部屋は小さなカフェができ、昔からあるおいしいおやつを販売している。頭の部分は窓や展望台も兼ねており、大きく開いたくちばしからの眺めにも趣がある。


 さらに頭の上の頂上に出ると鳥を囲む素晴らしい景色がぐるりと楽しめる。

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チキンチャーチ、レマヒル、ボロブドゥール、マゲランインドネシア2021

 またメディアからも注目され、2016年に公開されたアメリカのドキュメンタリー映画「Into the Inferno(イントゥ・ザ・インフェルノ: マグマの世界)」にも登場しているそうだ。

 あれきり朽ち果てしまうのかと思いきや、奇跡の復活を遂げたチキンチャーチ。個性の塊みたいな見た目や味のある顔立ちが頭の隅で気になってたからなんだかちょっとうれしいな。

References:atlasobscura / wikipedia / youtubeなど /written by D/ edited by parumo

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