クレオパトラは美しいだけじゃない。9か国語を理解できる才女だった
 クレオパトラ7世(紀元前69~30年)は、エジプト、プトレマイオス王朝の女王で、最後の統治者だった。

 マルクス・アントニウスやユリウス・カエサルとの恋愛が有名だが、ローマのプロパガンダは、クレオパトラを美貌と肉体でその地位を手に入れた誘惑者にすぎないという描き方をした。


 歴史ではあまり触れられていないが、実際には、様々な分野の学問を学び、9か国語の言語を理解できる、教養ある優れた統治者だったようだ。

一流の学者たちから教育を受けたクレオパトラ 歴史はクレオパトラの真価やその成功を過小評価し、淫らな行為ばかりをやたら強調した。

 古代ローマの文献に記述され、現代でも一般的になっているクレオパトラ像は、己の性的な魅力を最大限に利用して、政治的優位に持ち込んだというものだ。

 こうした文献は、クレオパトラが実際は、当時の優れた知識人のひとりだったということにまったく触れていない。

 彼女はヘレニズム世界をリードする一流の学者たちから教育を受け、有名なアレクサンドリア図書館をはじめとするアレクサンドリアの学堂ムセイオンで学んだ。

 ここで、地理学、歴史、天文学、哲学、国際外交、数学、錬金術、医学、動物学、経済学を勉強した。


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9か国語の言語を理解し、薬に関する著書も クレオパトラは、王朝の中で唯一、古代エジプト語を話し、ヒエログリフを読むことができた。また、古代ギリシャ語、パルティア語、ユダヤ語、メデス語、トロゴダタ語、シリア語、エチオピア語、アラブ語も知っていた。

 クレオパトラは、古代の研究室のような場所で多くの時間を過ごしたことが知られているし、薬草や美容術に関する本も何冊か書いている。

 残念なことに、アレキサンドリア図書館が崩壊した西暦391年の大火で、彼女の著作はすべて焼失してしまった。

 有名な医師のガレノスは、彼女の本を研究し、薬の調合法をいくつか書き直している。ガレノスが患者に勧めた薬のひとつに、特別な発毛クリームがある。


 クレオパトラが科学や医学に与えた影響は、キリスト暦になってからもよく知られていた。彼女の死を願う権力者ばかりの世界で、クレオパトラは彼らよりも一枚も二枚も上手だったのだ。

 クレオパトラの死後、エジプトはローマ帝国の属州になり、最後から2番目のヘレニズム国家とアレクサンダーの統治から続いた時代が終わりを告げた。

References:Not Just a Pretty Face: Cleopatra Was a Genius Who Spoke 9 Languages / written by konohazuku / edited by / parumo

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