最後にもう一度あの料理が食べたい。末期がん女性の願いを叶えるため6時間かけて配達した店主
 今年2月、アメリカのウェストバージニア州に住むヘザー・バウワーズさんは、3年半にわたるがんとの長い闘いの末、最期の時を迎えようとしていた。

 ヘザーさんには最期に一つだけ叶えたい願いがあった。
ノースカロライナ州にあるお気に入りのレストランのポークプレートを食べることだ。

 だが自宅からレストランまでは車で最低6時間はかかる。ヘザーさんの願いを知った親友のメアリー・シモンズさんは、ダメもとでレストランに連絡を取ってみることにした。すると、店主が大急ぎで料理を届けに来てくれたのだ。

末期がんと闘う二児の母が最期に食べたいと願った料理 ヘザーさんにがんが見つかったのは、今から3年半前のこと。その時点で既にステージ4だったヘザーさんは化学療法を受けることになった。


 だが良い結果にはつながらなかった。2人の子供の母親でもあるヘザーさんは、3年半という長い日々を、必死にがんと闘い続けたが、とうとう力尽きる時が来てしまったのだ。

 死期を悟ったヘザーさんは、最期にもう一度、お気に入りの観光地、ノースカロライナ州のアウター・バンクスにあるレストラン「Mama Kwan’s Grill & Tiki Bar」のポークプレートが食べたいと願った。

[動画を見る]

↑ヘザーさんと子供たち。ヘザーさん自身によるFacebookへの投稿より。レストランに連絡を取ってみたところ店主が届けてくれることに 2024年2月23日、彼女の願いを知った親友のメアリーさんは、何とか望みを叶えてやりたいと、そのレストランに電話をかけてみた。


 すると、レストラン店主のケヴィン・シェリーさんは、メアリーさんの話を聞くと、ウェストバージニア州までの料理を届けてくれるという。

 店主の行動は迅速だった。その日の夕方にはもう、ヘザーさんが最期の時を過ごしているホスピスへと車を走らせていたのだ。
お客さんのために長距離ドライブをすることくらい何でもない。この話を聞いたら誰だって同じことをしたと思います。
 そう語るシェリーさんだが、ホスピスまでの道のりは辛く長い道のりだった。
道のりの半ばで、私はラジオを止めざるを得ませんでした。そして自分に言い聞かせたんです。

こんな顔で彼女のところへ行ってはダメだ、アウター・バンクスの明るい日差しを届ける気持ちで行かなくては


[画像を見る]

店主が笑顔と一緒に料理を持って到着 6時間のドライブの末、シェリーさんは無事ヘザーさんにポークプレートを届けることができた。

 運転中に決意した通り、シェリーさんは飛び切りの明るい笑顔で、ヘザーさんのいる部屋に入っていったという。

[画像を見る]

 残念ながら、ヘザーさんは翌日の夜に帰らぬ人となった。この食事が最期の晩餐になったが、それは彼女の最後の願いが叶ったことを意味する。


 30年来の親友の、最期の願いを叶えることができたメアリーさん。取材を受けた彼女は、シェリーさんへの感謝と感動を語っている。
シェリーさんとレストランスタッフの行動は、この世界にはまだ本物のやさしい人たちがいることを教えてくれました。

 より多くの人がこの話を目にすることで、優しさが広がっていくのではないでしょうか。それは希望なんです。

 シェリーさんはヘザーを笑顔にしてくれました。
それは、彼女が人生の最期に浮かべた笑顔の一つだったんです。


[画像を見る]

 なお、シェリーさんはヘザーさんに遠いところから料理を届けてくれただけでなく、このホスピスへ、できる範囲の寄付を申し出たそうだ。

 これがヘザーさんが食べたがった、Mama Kwan’sのポークプレートだ。

[画像を見る]

image credit:Mama Kwan’s Grill & Tiki Bar

 メニューを見ると、お刺身やマグロのたたきといった和食風の料理まで提供されているようだ。そのほかタイ料理やハワイ料理、中華料理などバラエティに富んだメニューが味わえるらしい。

 しかもどれも美味しそう。
さらにこんなステキなオーナーがいるとなれば、ヘザーさんが最期にこのレストランの料理を食べたいと熱望したのもわかる気がするんだ。

 今回の心温まる出来事を伝えるニュースはこちらから。

[動画を見る]

OBX restaurant fulfills W.Va. woman’s dying wish

References:North Carolina restaurant fulfills woman’s dying wish / written by ruichan/ edited by parumo

画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。