中国で新種となる巨大な恐竜の足跡を発見。史上最大のラプトルの一種である可能性
 中国南部で、過去最大となる小型肉食恐竜「ラプトル」の一種の足跡が発見されたそうだ。推定体長5mで、映画『ジュラシック・パーク』で描かれていたヴェロキラプトルよりもはるかに大きい。


 中国福建省のロンシャン発掘場で発見されたその足跡の持ち主は、発掘地(福建/fujian)にちなんで「Fujianipus yingliangi(フジアニプス・インリアンギ)」と命名された。

 こうした研究によって、巨大なものから小さなものまで、さまざまなサイズのラプトルが存在しており、環境への適応性が高く、生態の多様性もまた豊かな恐竜だったろうことが明らかになりつつある。

群れで狩りをする賢いハンター「ラプトル」の仲間 ラプトルとは猛禽類のことだが、恐竜の名前として使われるラプトルは、「ドロマエオサウルス科」と「トロオドン科」の小型肉食恐竜を指している。

 その頭骨の化石からは、この仲間が群れで狩りをするハンターで、恐竜の中でもとりわけ賢い仲間だったことがわかっている。

 俊敏で哺乳類に匹敵する知能の肉食恐竜が、集団で襲いかかってくるのだから、狙われる立場の動物にすればどれほど恐るべき存在だったのかわかるだろう。

 ラプトルの仲間はかつて中国で見つかっている。


 有名なものとしては、1993年の映画『ジュラシック・パーク』に登場したヴェロキラプトルが挙げられる。ただし映画のヴェロキラプトルは少々誇張されて描かれている。

 映画のそれは腰までの高さが1mあったが、本物のヴェロキラプトルは50cm程度と人間に膝くらいの高さだ。

 とはいえ大型のラプトルも実在した。北アメリカの白亜紀初期の地層から発見されたユタラプトルは腰の高さが約1.5mあったと推測されている。

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ユタラプトルのイメージ図 / image credit:Fred Wierum / WIKI commons史上最大のラプトルを発見 今回、中国でユタラプトルすら上回るラプトルの足跡が発見された。


 足跡の大きさから推測すると、知られているものとしては史上最大のラプトルだと考えられている。

 中国福建省のロンシャン遺跡で発見された足跡をつけたラプトルは、「Fujianipus yingliangi(フジアニプス・インリアンギ)」と名付けられた。

 足跡の大きさは36cm。ここから推測すると、腰までの高さは約1.8mあったと考えられる。映画のヴェロキラプトルをはるかに凌駕し、巨大なユタラプトルよりも大きい。

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足跡の大きさから推測するとFujianipus yingliangi(フジアニプス・インリアンギ)の腰高は1.8mで体長は5m / image credit:Image Credit: Anthony Romilio

 つま先の形と向きから、おそらくトロオドン科の仲間だろうと推測されている。


 また足跡は8600万~1億100万年前のもので、史上最大のラプトルは白亜紀後期(1億50万年~6600万年前)に生きていたと考えられる。

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中国福建省で発見された史上最大の可能性があるラプトルの足跡 / Image Credit: Anthony Romilio

 オーストラリア、クイーンズランド大学のアンソニー・ロミリオ氏の解説によると、その一方、韓国ではわずか1cmしかないラプトルの足跡が発見されているという。

 このように多種多様な大きさの仲間がいるラプトルは、適応性が非常に高く、また生態系も多様な恐竜だったろうことがわかるそうだ。

 実際、4枚の翼を持つラプトルすら発見されている。

References:Gigantic Jurassic raptor footprints unearthed - UQ News - The University of Queensland, Australia / Deinonychosaur trackways in southeastern China record a possible giant troodontid: iScience / written by hiroching / edited by / parumo

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