その名もまんま「マンタ・レイUUV」だ。本物のマンタのように大きく優雅なボディをしており、水中ではまるで滑空するかのように移動するという。
さらに超大型UUVとしては世界初となるモジュール構造を採用しており、バラバラにしたパーツを基地から作戦地まで運び、そこで組み立てて運用することが想定されている。
今年2月・3月には、南カリフォルニアの海でプロトタイプによる本格的な水中試験が行われ、推進力と操縦性において、見事目標を達成したようだ。
水中無人潜水艇「マンタ・レイUUV」の水中テストに成功 マンタ・レイUUVは、大きな物資の水中運搬を目的とする水中無人ビークル(UUV)だ。
米国の軍需企業ノースロップ・グラマン社によってその開発プロジェクトが発表されたのは、2022年のこと。
当時同社は、その設計はDARPAが思い描く「戦略的サプライズ」に貢献するためのものと述べていたが、約束は守られたと言えるだろう。
2024年2月と3月、南カリフォルニア沖では、マンタ・レイUUV試作機のテストが行われ、無事に目標を達成し、成功を収めている。
マンタ・レイUUVのプログラム・マネージャー、カイル・ウォーナー博士は「マンタ・レイの実物大テストの成功は、モジュラー・パーツから現地で迅速に組み立てれば、すぐにでも運用できることを証明しています」と、プレスリリースで述べる。Manta Ray #UUV prototype completes full-scale, in-water testing off the coast of SoCal. DARPA program exhibits modular, first-of-kind capability for an extra-large uncrewed underwater vehicle. Built by @northropgrumman. https://t.co/BIDfh3cZCD pic.twitter.com/t6dqWB3i33
— DARPA (@DARPA) May 1, 2024
同博士が述べているのは、マンタ・レイUUVが採用するモジュール構造のことだ。このUUVは各種モジュールで構成されており、必要に応じて簡単に組み立て・分解することができる。
本物のマンタのように大きな機体だが、小さなパーツにバラしておけば陸上の運搬も容易だ。
この特徴のおかげで、基地から作戦地まで直接運び、現地で組み立てて運用するという、エネルギー効率的な輸送を行うことができる。
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上部に乗った人間から、マンタ・レイUUVがかなりの大きさであることがわかる/Image credit: DARPA水中を滑空するように移動 DARPAが公開している画像からもわかるように、マンタ・レイUUVは人間と比べてもかなりのサイズ感がある超大型UUVだ。
だがマンタ・レイUUVの詳しいスペックは公開されておらず、現時点でこれ以上のことはわからない。
それでも画像からは、シュラウデッド・プロパルサー(ダクト付きの推進器)、アンテナ、水の流入口、操縦スラスターらしきものがうかがえる。
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大きな物資を効率的に運搬するために開発されたDARPAの新作無人潜水艇「マンタ・レイUUV」/Image credit: Northrop Grumman
またその名の通り、そのシルエットは名前の由来となったマンタそっくりだ。世界最大のエイであるマンタは、イトマキエイ属の「オニイトマキエイ(Mobula birostris)」と「ナンヨウマンタ(Manta alfredi)」を総称したものだ。
非常に人懐っこく、おとなしいため人間のダイバーどころか犬にも大人気だが、DARPAが着目したのはマンタの優雅な運動能力だ。
これにインスピレーションを受けて開発されたマンタ・レイUUVは、浮力を利用して水中を滑空するように移動できるという。
DARPAは現在、米海軍と協力して、最新の無人水中ビークルを次のステップへと進める準備を行っているとのことだ。
References:Manta Ray UUV Prototype Completes In-Water Testing / DARPA’s massive Manta Ray robotic sub hits the sea / written by hiroching / edited by / parumo
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