ウォリーを探せ!セラピーアニマルのワニが行方不明になり飼い主が必死に捜索
「エモーショナル・サポート・アニマル(ESA)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。介助犬や盲導犬といった物理的なサポートをしてくれるサービスアニマルに対し、メンタル面での助けとなってくれるセラピーアニマルのことだ。


 犬や猫、ミニブタなどの哺乳類が多いのだが、中には鳥類や爬虫類のESAもいる。以前紹介したワニのウォリーも、人々が心の健康を取り戻す手助けをしているESAだった。

 だが4月21日、ウォリーが飼い主であるジョイ・ヘニーさんのもとから突然姿を消してしまったのだ。

州を越えての旅行中、突然姿を消したウォリー ヘニーさんは住まいのあるペンシルベニア州から、ウォリーを連れてジョージア州ブランズウィックの友人を訪ねていた。

 4月21日の早朝4:30頃、釣りに出かけたヘニーさんが戻ってきたところ、ウォリーは専用の囲いの中にいて、変わった様子はなかったそうだ。

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 だがこれが、ヘニーさんがウォリーを見た最後となった。それから1時間ほどが過ぎた頃、ヘニーさんはウォリーの姿が見えないことに気づいた。囲いは破れていなかったし、ウォリーが自力で逃げ出したとも思えない。

 友人宅に用意されたウォリー用の囲いは安全性を確保したつくりになっていて、家の中には出入りできるようになっていたが、外部とは繋がっていなかったそうだ。

 友人の妻によると、囲い近くに設置した人感センサーのライトが何度か点滅したそうだが、彼女は別段気にも留めなかったらしい。

 ヘニーさんは捜索隊を組織して、全力でウォリーを探し続けたが、有益な情報は得られなかった。「ワニを盗んだことを自慢している男がいる」という情報もあったのだが、裏付けを取ることはできなかった。


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近所の住宅の庭を徘徊・捕獲された? やきもきしながら数日が過ぎた頃、どうやらウォリーに繋がるのではないかというニュースが飛び込んで来た。

 友人宅の近所の家の庭で1匹のワニが発見され、住人の女性が自然資源省(DNR)に通報したというのだ。

 時系列で追ってみよう。
・その日の朝の教会で、ワニが近所の裏庭を移動しているという話を住人の女性が耳にする

・その住人女性が正午頃に帰宅すると、自宅の敷地にワニがいて、フェンスの板が2枚突き破られていた

・その女性が地元警察に電話したところ、自然資源省(DNR)を紹介され、許可を受けたワニ捕獲の専門家に連絡を取るように言われた

・ワニ猟師が到着するのを待つ間に、住人たちがワニを捕まえてトラックの中に入れ、食物と水を与えた

・数時間後、住人女性はやって来たワニ猟師と地元のガソリンスタンドで落ち合い、ワニの身柄を預けた

・ワニ猟師は彼女に、ワニは安楽死させられることなく、公表されない場所に移されると語った
 この住人は後になってウォリーの失踪を知り、ヘニーさんに連絡して当時の状況を説明するとともに、写真でそのワニが確かにウォリーだったと確認してくれたそうだ。

 ヘニーさんは住人の協力に感謝したが、ネット上では捕獲に繋がる通報をしたことを責める声も。これに対し、ヘニーさんは以下のように擁護している。
彼女には何の落ち度もありません。ウォリーを見つけるため、できる限りの協力をしてくれました。どうか彼女を非難したり攻撃したりするような行為はやめてください
誰かが意図的に逃がした可能性も ヘニーさんの友人の家から、ウォリーが見つかった住人の家までは、「サッカー場数個分」離れていることが判明した。ヘニーさんは「超怠け者なウォリーが自力で歩いて行ったとは思えない」という。

 友人宅の囲いにもウォリーが自分で脱走した形跡はなかったため、誰かが故意にウォリーを盗み出し、近所に放した可能性が浮上した。
チャンスがあれば、ウォリーを捕まえて野生に返してやる
 ヘニーさんはこれまでにも、こんな脅迫めいたメッセージを受け取ることがあった。
だがウォリーはヘニーさんのもとへ来てから8年間、ずっとESAとして暮らして来て、人間に慣れてしまっている。
ウォリーは人を噛んだことも、何かの命を奪ったこともありません。もしも野生の世界にひとり取り残されたら、彼はきっと生き延びることはできないでしょう


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果たしてウォリーは見つかるのか だが追跡の糸はここで途絶えてしまった。ワニ猟師はウォリーと思われるワニを既に別の場所に放してしまっている。正確な場所はわからないが、住人は捕獲時の会話で、「オケフェノキー湿原のどこか」と言っていたのを覚えていた。

 オケフェノキー湿原はおよそ1,700平方キロメートルにも及ぶ、北米最大の広さを誇る広大な湿原だ。ワニが数多く生息することでも知られており、この中からたった1頭のワニを探し出すのはほぼ不可能だろう。

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image credit:Googleマップ

 さらに大きな問題がある。ウォリーはペンシルベニア州でESAとしての認可を受け、合法的に飼われていたわけだが、ジョージア州ではワニをペットとして飼育することは禁じられている。

 奇跡的にウォリーの発見に成功したとしても、ジョージア州では野生動物であるワニを捕獲することも違法である。

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 ワニをジョージア州内に連れ込んだヘニーさんにも迂闊な面があったわけで、もしどこかでウォリーが見つかったとしても、「飼い主」であるヘニーさんのもとへ戻されるかは、州当局の判断次第なのだ。
私は嘆願書を出すよう言われていますが、正直言ってどうしたらいいのかわかりません。


(ジョージア州の)ブライアン・ケンプ知事にお願いします。私はただ、ウォリーを連れて帰りたいだけなんです
 5月15日現在、まだウォリーが見つかったという報告はない。また、ヘニーさんも弁護士のアドバイスに従って、コメントを控えているという。

 以前カラパイアでウォリーを紹介した記事はこちら。

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 幸せにいっしょに暮らしていた頃のウォリーとヘニーさん。

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Meet Wally: My Emotional Support Gator | BEAST BUDDIES

 果たしてウォリーは見つかるのか、そして再びヘニーさんといっしょに暮らせる日が来るのだろうか。今後の続報を待ちたいと思う。

References:Is Wally the emotional support alligator still alive? Why his handler doubts a reunion /Wally Gator still missing: Neighbor in Brunswick shares new information / written by ruichan/ edited by parumo

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