アイドルが愛用しているイヤホンやヘッドホンを覗かせてもらう連載企画「アイドルたちの耳元」。アイドルの皆さんの音楽ライフを紹介するとともに、インタビューの際にプレイリストを拝見し、その日に聴いていたソングリストを教えてもらいます。
今回ピックアップするのは、2022年2月に初の日本武道館ワンマンLIVEを開催するPassCodeの南菜生さんと大上陽奈子さんです。現在開催中の『PassCode Zepp Tour 2021』は各地で大盛況、11月にはTHE ORAL CIGARETTESとMY FIRST STORYとの対バンライブ『VERSUS PASSCODE 2021』も控えています。今田夢菜さんの勇退と新メンバー・有馬えみりさんの加入という体制変更を経て 11月10日に最新シングル「Freely / FLAVOR OF BLUE」をリリース。お二人のミュージックライフをお聞きするとともに、現在進行形のPassCodeのお話をお聞きしました。

PassCodeの耳元

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➖南さんも、大上さんもBlootoohイヤホンなんですね。

大上:私はAVIOTのイヤホンを使っています。
2年前にAVIOTさんとタイアップさせていただいたいたんですが、その時に頂いたものです。音質もいいんですが、バッテリーも持ちがすごくて、1度充電したら2か月ぐらいそのまま使っています。

➖2カ月!? 本当ですか?

大上:はい。普通に使ってて、それぐらい充電しなくても大丈夫です。

PassCodeが目指すのは、声を出せなくても観るだけで楽しめるステージです。


➖それはすごいですねー。自分も使ってみたいです。
南さんはSONYのイヤホンですね。

南:私もAVIOTを使っていたんですが、違う音も試したくなって。いろいろ試聴して、いまはSONYの最新イヤホンの音質がしっくりくるなと思って購入しました。

PassCodeが目指すのは、声を出せなくても観るだけで楽しめるステージです。


PassCodeの音楽ってドラムの音の粒がすごく細かかったり、シンセサイザーの音が多く入っていたりするので、イヤホンによっては潰れて聴こえないことがあるんです。でも、AVIOTのイヤホンもSONYのイヤホンも音の再現性がすごいので、自分たちの曲も気持ちよく聴けますね。

最近よく聴いている曲を教えてください

大上:STUTS&松たか子さんの「Presence I」をよく聴いてます。
この曲がきっかけで、松たか子さんの昔の曲も聴いてみました。声の癒し効果がすごいし、耳が気持ちいいんです。「明日、春が来たら」とか最近まで知らなかったんですが、リリースして20年以上も経って出会えた本当に素敵な曲だと思います。

星野源さんもよく聴きますが、アップテンポな曲よりおとなしい感じの曲が好きです。「そしたら」は、最近の曲の中ではすごくゆったりした気分で聴いてます。

いままで洋楽は聴いていなかったんですが、 Dua Lipaは本当にカッコいいです。
ボイトレの先生がオススメしてくれて練習曲で歌ったのがきっかけです。日本人にはない感じの声質とか発声の仕方が本当に勉強になりますね。

➖Dua Lipaみたいに歌ってみたい気持ちもあるんですか?

大上:曲調が違い過ぎてなかなか落とし込めないんです(笑)。Dua Lipaみたいな歌い方ができるようになったら、PassCodeのどこか一部でも表現できたらいいなと思って研究を続けてます。

南:陽奈子が洋楽を聴くようになってから英語の発音が良くなりました(笑)。 PassCodeは英語詞が多いので、すごく生かすことができてるんじゃないかなと思います。


大上:ありがとう(笑)

➖南さんが一番にあげてくれたのが小田和正さんの「たしかなこと」です。

南:本当によく聴いてます。少し前に大阪城ホールのイベントで小田和正さんのステージを初めて拝見する機会があって、それからずっと聴いてます。

➖自分は割とリアル世代としてオフコースや小田和正さんを聴いてましたが、南さん世代からすると、小田さんはお爺ちゃん世代ですよね?

南:確かにそうかもですね。歌う前のMCとかも小声でぼそぼそと喋っていらっしゃって「歌うの大丈夫なのかな」と心配になるぐらいだったんです。でも、1曲目の「たしかなこと」ですべての空気が変わったんです。
〈雨上がりの〉という最初の一節を歌われた瞬間、たぶん会場にいた全員の人たちは鳥肌がたったと思うんです。

コロナ禍なので声が出せないじゃないですか。でも、会場の人たちの声が聞こえてくる感覚がありました。そんな空気の作り方って簡単にできることじゃないですよね。上手な歌を聴かせたり、共感できる話をして、人を感動させることができる人はいると思うんです。でも、ひと言歌っただけで、会場全体が涙腺が緩むっていうのは初めての経験だったんです。熱狂するのとは、また違う感覚というか。今までも「あのライブよかったな」というのはたくさんあったんですが、一番というのが言い切れなかったんです。でも小田和正さんのライブは、いままで観たライブの中で一番になりました。ワンマンライブに絶対にいきたいです。

出典元:YouTube(SMTOWN)

2曲目は韓国の aespa(エスパ)というグループです。 コンセプトが〈もう1人の自分と対面する〉という難解さがあって、日本ではいないようなスタイルのグループです。パフォーマンスや表情の作り方など、ショーを見ているかのような圧倒さがあります。私達はライブで自分たちに共感してもらって、一緒に歌おうという形でライブをしているんですが、aespaはそれとは逆のことをやっているカッコよさがあります。

➖PassCodeと対バンしたらかなり面白そうですね。南さんといえば邦楽ロックをよく聴いてますが、最近聴いているバンドを教えてください。

南:レギュラーでやっているBSCラジオのスタッフの方が「南さん、気に入ると思うよ」と教えてもらった CVLTEという北海道のバンドです。ライブハウスに行く機会も減ってしまい、なかなか新しいバンドの音楽を発見することが少なくなっていたんですが、すごくハマりました。世界観の作り方も、音楽の作り方もすごくカッコいいので、早くライブを観てみたいなって思うバンドです。それに歳下のバンドなので、自分たちも頑張らないとと思わせてくれますね(笑)。

これまでと、これからのPassCode

➖今年はPassCodeに大きな変化がありました。今田優菜さんの勇退と有馬えみりさんの新加入。Zeppツアー直前のことを想像すると、本当に大変だったのではないかなと思います。

大上:仙台の前は時間がなさすぎたので、ほとんど毎日が練習でした。しかも毎日やるべきいろんな課題がスケジュール化されていたので、それを塗りつぶしていく感じでしたね。1週間前には、今日は通しリハを2回しないといけない、そしてその通しリハの振り返りをしないといけないみたいな、やるべきことが毎日毎日決まっていたので、逆に不安になる感じもなかったですね。

南:7月から3人体制になった時も練習量はすごかったです。1週間でフォーメーションや歌の割り振りもやりました。

➖短期間に2回も大きな変化があったんですよね。

大上:頭が一番こんがらがったのは、3人のフォーメーションにしたすぐ後に4人のフォーメーションに戻したので、ステージでの立ち位置とか歌割りとかどっちだった?という感じにもなってました。

南:「メンタル面とか大丈夫だったんですか」と言われることが多いんですけど、やろうとしてることはずっと変わっていないんです。3人になって活動を続けるのはちょっと難しいかなって思ったこともありました。でもPassCodeを続けるなら「4人が目指していたPassCodeの完成形」というのは明確にあったんです。えみりもそのことを理解して加入してくれたので、一緒に目指していけるんだって思いました。

出典元:YouTube(PassCode official)

2020年1月に、新木場STUDIO COASTで2DAYSのライブをさせてもらいました。その時に収録した『PassCode CLARITY Plus Tour 19-20 Final at STUDIO COAST』で、ラスト曲の「It’s you」が終わってエンドロールを流しているんです。新型コロナで生活が大きく変わった中でリリースされたLIVE映像を見て、いままでのPassCodeは一旦完結したんだなと感じました。対PassCodeという部分ではこの時の気持ちの変化の方が大きかったかもしれません。

PassCodeが目指すのは、声を出せなくても観るだけで楽しめるステージです。


➖ZEPPツアーでは再びライブのお客さんが戻ってきました。ただ、以前と同じライブ空間ではなくなっています。

南:コロナの前までのPassCodeのLIVEはお客さんと一緒になった一体感というのが当たり前だったのに、それがほとんどできなくなったじゃないですか。ただ環境がどんなに変わっても、PassCodeのステージは観るだけで楽しめる!!というところに持っていきたいと思っています。それが実現できたら、以前のようにお客さんと一体になれるLIVEができる日常が戻ってきた時にPassCodeはもっと強くなれるんだと思います。

➖なるほど。昨日のZepp DiverCityのステージに立っている4人の姿に、これまでと違う重みみたいなものを感じていたんですが、南さんの話を聞いて少し理解できた気がします。

南:もちろん今までやってきたことを受け継ぎながら、表現やニュアンスやアプローチ方法を変えることで、見せたいカタチも変わっていく必要があるんだと思います。そして、それをステージ上でも完結できるようにしないといけないなっていう意識があります。夢菜やえみりのこともありますが、コロナの前と後でパフォーマンスのやり方が変わってきている、変わらざるを得ないということに向き合っている気がします。

新体制での新曲 「FLAVOR OF BLUE」「Freely」

➖「FLAVOR OF BLUE」「Freely」は、新旧両体制でレコーディングされました。新曲でこういったレコーディングをする経験ってすごく稀な経験だと思います。この2曲に対してどんな想いがありますか?

南:2人とも辿ってきた経緯が違うんです。「なんでこういったシャウトをしているか?」とか「どういう気持ちで歌っているか?」とか全く違うので比較しようがないんですね。良くなったとか、悪くなったとかという意識もありません。変化はあるんだけれど両方とも違和感なくPassCodeのものとしてしっかり馴染んでいるなと思います。

➖その聴き比べをしてみたいです(笑)。Zeepツアーの1曲目はその「 Freely」でした。

南:コロナ以前のライブだったら盛り上がる曲を1曲目にしていたんじゃないかなと思います。でも今回のZeppツアーではいろんな曲の表現をしたいと思ったんです。例えば「STARRY SKY」はダンスの雰囲気とか曲の見せ方で、お客さんに入り込んでもらえたら嬉しいなという気持ちでパフォーマンスしました。「Freely」もみんなが知らない曲だからこそ、何の先入観もなく感じてもらえたらいいなと思ったんです。コロナ禍はマイナスなだけではなく、PassCodeを見つめ直す機会としてプラスになった面も大きいですね。

出典元:YouTube(PassCode official)

➖ミュージックビデオもいままでのPassCodeと違う印象を持ちました。色彩が豊かだし、情報量も目まぐるしいし。それに南さんは笑っているし、大上さんは新宿の歌舞伎町のど真ん中で踊っているし(笑)。映画のようであり、良い意味での〈混沌さ〉を感じました。いままでにないぐらいに何度もリピートして見てます。

大上:ありがとうございます。深夜の撮影だったので、酔っ払った人がケンカしてたり、少し危ない感じがして怖かったです(笑)。でも出来上がった映像を見たら、歌詞に出てくる「拝啓、大東京」というフレーズにぴったりなネオン街の雑多な雰囲気がすごく出ていると思いました。

PassCodeが目指すのは、声を出せなくても観るだけで楽しめるステージです。


南:監督から送られてきたコンセプトの冒頭にあったのが「安全でなくなった東京の街で、人々の我慢は限界を迎えようとしていた」というテキストでした。前半はそんな混沌とした世界が描かれるんですが、最後はPassCodeがみんなと一緒に「自由になろうよ」と歌うストーリーになっています。

➖「FLAVOR OF BLUE」は、1曲の中で次々に展開されていく楽曲で、もうPassCodeたるPassCodeの曲ですよね。

大上:「Freely」の勢いの強さとはまた少し違って、展開の多い「FLAVOR OF BLUE」はめちゃめちゃPassCode感ありますよね。途中でお経的なパートも入ってくるし。インディーズの時からのPassCodeを含めて、すべてが進化したみたいな曲だなって思います。

南:全体的には激しいサウンドというか強い音が鳴っている曲なんですが、サビの部分だけが静まるんです。それがピンと張りつめていく空気みたいな感じがして、曲全体のコントラストにもなっていると思います。歌っていて本当に気持ちが良いです。

大上:わかる!あの瞬間、ステージでもぞわっとします。

南:2サビの歌い出しのあとにシンバルっぽいドラムの音が鳴っているんですけど、その時も心臓が締まる感じがします。どんな感じになっているんだろ、その時の私たち。外から観てみたいなー、PassCodeのステージ(笑)。

大上:あとサビが始まるパートの振り付けで4人がひとつに固まっていくんです。その時、歌っている南の前に私が座るんですけど、それが合体するロボットみたいな感覚になるんです。それが本当に気持ちいいんです、ガチッとハマる感じが(笑)。

➖そんなに気持ちよくなれる曲なんですね。今度のライブで注意深く観てみます。そしてZeppツアーのあとは2年振りとなる『VERSUS PASSCODE 2021』で、日本武道館や横浜アリーナでワンマンライブを開催した THE ORAL CIGARETTESとMY FIRST STORYとの対バンになりますね。

南: コロナ禍の中でマイファスとオーラルのライブを観る機会があったんです。コロナ以前は、PassCodeと同じようにお客さんを巻き込んでのライブスタイルだったのに、違うスタイルで進化を続けていたんです。それがすごく刺激になりました。胸を借りるというのもありますが、VERSUSを銘打っている以上、観に来てくれた人が「やるやん、戦ってるやんPassCode」って思えてもらえるようにしたいと思います。

大上:コロナ禍の2年間は、ほとんどワンマンやファンクラブイベントだけで、対バンでのライブはほとんどやっていなかったんです。そういう意味ではこの2年間、ホームのお客さんの前だけでのステージだったんです。今回の久々の対バンで、闘志を燃やしながら楽しんでいきたいと思います。あとマイファスとオーラルの良いところは全部吸収するつもりでやりたいです。

南:今回の『VERSUS PASSCODE』では敢えてホール会場を選んだんです。「PassCoeはホールでやるグループじゃないから」みたいなことを以前に言われたことがあって、それがすごく悔しかったんです。それって「PassCodeのライブは止まって観たら駄目ってことなん? じっくり観たらカッコよくないってことなん?」って思ったんです。この2年間、そんな言葉を思い出しながら、自分たちのライブスタイルを考えてきました。いまだったら、座って観ても楽しいライブができるようになってきたんじゃないかなって思います。

PassCodeが目指すのは、声を出せなくても観るだけで楽しめるステージです。


➖おふたりの話を聞いていると、とても意味のある、そして発見のあるライブになりそうですね。すごく楽しみです。そしてそんな想いが3ヶ月後の日本武道館に続いていくわけですね。最後に3ヶ月後の自分たちにメッセージを送ってもらえますか?

大上:自分たちにですか(笑)。日本武道館で自分たちの持っているものを全部出し切れたら、たぶんその次が見えてくると思うんです。女性4人グループって「いつまで続くんだろ」って思っている人もいると思うんです。だから、まだまだ先があるぞって思える日にしたいです。なので「頑張れ!私たち!!」です(笑)。

南:私は日本武道館だからというような気負いはなくて、いままでのライブでも「あ。もっといける!」と感じる瞬間ってあったんですね。そういう瞬間に、改めて自分たちを信じ直せてこれたんだなと思っています。だから日本武道館でもそういった瞬間にまた出会えたらいいですよね。あと、これまでたくさんの人に支えてもらってきたので、ファンやスタッフのみなさん全員が、PassCodeに携わってこれて良かったと思えてもらったら嬉しいです。だからそんな日にしたいです。

➖日本武道館のステージから見える景色、すごくいいものだと思います。今日はありがとうございました。

(KKBOXライター:山本雅美)