緒方恵美、約4年ぶりのオリジナルアルバム『劇薬 -Dramatic Medicine-』の発売を記念し、制作に携わった豪華クリエイターとの連続対談インタビュー企画。第1弾のHISASHI(GLAY)に続いて、代表作にLiSA「紅蓮華」(作曲)を持つシンガーソングライター/作詞・作曲家の草野華余子との対談が実現した。


「血を吐きながら」表現することで共鳴する両者。緒方作詞(em:ou名義)、草野作曲の「祈り」の制作プロセスのみならず、その背景にある二人の表現についての考え方や、この対談で明らかにされたそれぞれの表現メソッド、そしてポストコロナの時代のライブエンターテイメントについて語り合った濃密な内容をお届けする。

血を吐きながらモノづくりをする二人の対談
――お二人の対面はいつ以来ですか?

緒方恵美 昨年(2019年)の2月の打ち合わせ以来です。普通の打ち合わせだけだったら1時間ぐらいなんですが、そのときは3時間近く色んな話をして。

草野華余子 私がシンガーソングライターとして悩んでいることを聞いていただいたり、緒方さんの経験の中で苦労されたことを聞かせていただいたりしていたんです。いちファンとしては、小学生のときから(緒方のことを)拝見してはいるのですが、やっぱり楽曲を提供するときは、その方がどういうふうに生きてこられて、どういうお気持ちでステージに立たれているのか。
また、演者のときとライブするときでどういう切り替えのスイッチがあるのかといったことを詳しく伺いたいんですよ。たくさんお話を聞かせていただいたので、帰ってすぐメロディが出てきて、その日のうちに書き上がりました。

――今回、緒方さんが草野さんにアルバムの楽曲をお願いされたのは、どなたのアイデアでしょうか?

緒方 私の制作チームの若手ディレクターの一人からです。最初の制作ミーティングの段階で、草野さんの名前が最初に挙がりました。「ただ、草野さんはノってくれないと書いてくれないかも……」っていう話になって。

草野 それ初耳ですよ(笑)。
こちらからすると「えっ、緒方さんがお話をくださったんですか!?」って驚いて、連絡を聞いて2秒でハイと言いましたよ!

――草野さんの楽曲についてはどんな印象をお持ちでしたか?

緒方 いろんな楽曲を書かれていらっしゃいますが、聴かせていただいた曲のどれにも共通しているイメージでいうと……草野さんって血を吐きながら書く人ですよね?

草野 はい(笑)。

緒方 つまり、自分の血を注入しないといられないタイプ。

草野 そうですね。どちらかというと、脳では書かないというか、ピークまで溜まってから一筆書きで書くタイプですね。「紅蓮華」のときもそうでした。私が曲を提供するときって、その相手の方が出演された作品やライブの動画を拝見して、情報が体に溜まりきったらギターを持って、そこから一発で録音するんです。
野球のバッターで例えるならば、この球が来たらこうやって打つという練習をずっと重ねておいて、インパクトの瞬間は無心で、というスタイルです。

緒方 多分それって、私の“音楽ではない副業”の仕事の仕方と似ていると思うんです。私は難しい用語を除いてセリフ自体の練習は事前にほとんどしないんです。その作品の情報や役の気持ちや環境といったものをギュッとインプットした状態でスタジオに行って、一発目で録って終わりというスタイル。アウトプットの仕方が似ているんだと思います。歌を録りにいくときもやっていることは基本的に同じで、私も血を投入するタイプなので。


――今のお話で挙げられた方法というのは、若手の頃からなさっていたメソッドなのでしょうか?

緒方 芝居の方は声にせよ舞台にせよ、ディレクターによって様々なやり方があるので、若手の頃はそこでのシステムに倣っていくことが多かったです。「もっと(台本を)読み込んでこい」と言われれば、読み込んでいかなくてはいけませんし、特に声優の仕事は下準備をしっかりしないと漏れが出てくるので、あのとき漏らさないで良かったと振り返ることも多々ありました。ただ……、やっぱり繰り返し練習していると飽きちゃうんですよね(笑)。自分の職業上や特性上のことを色々考えた結果、初動で失敗するとダメになることが分かって、そこから“初動で溜める”というスタイルに段々と移行していきました。「もっと読み込んでこなきゃダメだよ」とディレクターに言われても、「はい!」と返事はするものの、耳から素通りさせて(笑)。もちろん読むのは読みますよ? でも、芝居自体は初動に全力をかける。


草野 私もまさにそうなんです。ちょうどアニメの主題歌を3~4曲書かせていただいた頃に、いろんな事情やオーダーがあってリテイクを出されまくって、その結果スランプになってしまったことがあったんです。元々瞬発力で書いて、編曲まで全部自分一人でやってきたから、なおさらその方法がキツかったんです。そのときに、一旦クラシックをやっていたときのメソッドを入れ直したら、今度は知識でがんじがらめになってさらに書けなくなってしまいました。まさに、緒方さんがおっしゃった、準備しすぎてダメになったパターンです。それで泣きながら一度大阪の実家に帰ったんです。
そうしたら母が「辞めたかったら帰ってきたらいいのよ」って言ってくれて。でもその瞬間、私は「辞めたくなんかない!」って思ったんです。それで東京に戻って、これまた緒方さんみたいに、ディレクターから言われたことは適度に無視しつつ(笑)、作品の登場人物の情報だけピックアップして「私がこの登場人物だったらどうする?」ということだけを考えて書いたら、スランプを抜け出すことができました。松任谷由実さんが「箱の中に登場人物を入れて、勝手に動き出すまで曲を書かない」とおっしゃっていたのですが、私も「前情報、情景、色、匂い」を元にした書き方に変えてからは、もう一生スランプはないだろうなというところまで戻れました。

緒方 そういうときって、(ディレクターなどの指示を)「知らないよ」って流していても、言葉の使い方が違うだけで結局のところ同じところに行き着きませんか?

草野 わかります。無視したといはいえ、アドバイスとしていただいたものは入ってるんですよね。

緒方 「無視」と言っても、完全に捨ててしまうという意味ではなく、そのお言葉を自分なりに変換して出来る技術を見つける。するとOKが出るんですよね。

草野 大体の場合は「繋がったな」という瞬間があって、私の場合はそれがアーティストさんだったり、アニメの作品だったりするんです。

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モノづくりをキメるポイントは“3回目”
――この「祈り」はゲーム「時計仕掛けのアポカリプス」のEDテーマとのことですが、その内容に即した形でオーダーをされたのでしょうか?

緒方 いえ。実はこの曲のタイアップは後から決まったことだったんです。エンディングのお話自体は先にそのゲームのプロデューサーから伺っていて、当初は別の方に依頼をする予定だった。でもその打ち合わせの数日後に草野さんから届いた「祈り」のデモがまさにそのオーダーにドンピシャでした。もちろん草野さんはその打ち合わせをご存知ありませんし、そういうオーダーもしていません。そこで草野さんに「この曲をエンディングに使わせてもらえないでしょうか」と、私の方からご連絡を差し上げて、皆さんのご協力のもと、実現したという形です。

草野 その際に緒方さんご本人が「草野さんが当初イメージされていたのとは異なる形で申し訳ありません」と、わざわざメッセージをくださりまして、それにも感動しました。私としては緒方さんが歌ってくださるという前提で書いたものなので、どんな形でお化粧されてもいいんです。最初の打ち合わせで、緒方さんが表には決して出さない葛藤をお話しされていて、そこで私が感じたことがメロディに乗ればいいなと。

――そこで感じた部分というのは言葉にできますか?

草野 例えるならば、「その瞬間ごとに死にそうなくらいまで自分を追い詰めてライブをする」といった感じでしょうか。それは私もステージに立つ人間として感じるところですし、緒方さんもきっとそう思っていらっしゃるのだろうと、お話をする中でシンパシーを覚えたところでありました。仕上がりを聴かせていただくと、生命力よりも思っていた以上にその裏に隠れた切ない感情が届く楽曲になったと思いました。

――この曲はどの楽器で作られましたか?

草野 ピアノです。これは「セーラームーン」シリーズのキャラソンが背景にあります。「セーラームーン」のキャラソンは、ストリングスが入っていたりして、ほとんどの曲にクラシックの要素があるんです。私は子供の頃から緒方さんが歌ってこられたアニメ作品のキャラクターソングを、ほとんど聴いていて、打ち合わせの際にも「セーラーウラヌスの曲(「風になりたい」)や(『幽☆遊☆白書』の)蔵馬と飛影のデュエット曲(「WILD WIND ~野性の風のように~」)がすごく好きでした」とお話させていただきました。そのなかで、改めて私はあの頃のアニソンやキャラソンにすごい影響を受けていたんだなと思い起こしました。だから、ずっと好きで聴いていた緒方さんに楽曲提供をするのであればその要素を込めつつ、硬派だけれども柔らかいところもあるご本人の女性性を出そうと思い、ピアノで作っていきました。

緒方 この曲、ホントに良い曲なんですけど、歌うと難しいんですよ(笑)。テンポの速さとか音の飛び方とか、それにニュアンスをつけようと思うと難しくて大変でした。

草野 囁くようなAメロの入りからサビで張り上げるところまで、ダイナミクスの差があったのが印象的で嬉しかったです。私は楽曲の中で、高低差やストーリーの緩急など、メロディにストーリーを作っていきます。単色の音ではなくグラデーションとして、喜びや悲しみ、生/死の比率といった死生観をメロディに込めます。言葉にすると伝えづらいのですが、明確に作りたい像があってその比率をどうするかが重要なんです。トップライン(歌メロ)は歌謡曲的でありつつ、ビート感は洋楽を意識して16の裏を取っています。

――草野さんは作曲の時点でアレンジをどのあたりまで想像して提出するのでしょう?

草野 今回はビートが大事な曲だったので、ドラムは16分やハットのハネ感までしっかり入れていました。それを編曲でさらにブラッシュアップしてもらっています。ベースは「これぐらい弾いてほしい」というガイドを入れて、あとは鍵盤かギターで、そこに絶対入れてほしいSE・音色があれば軽く添えるくらい。今回で言えば、デモを聴いていただいた際に打ち合わせでお話した内容が見えてくることが大事だったので、それがある程度分かるように作りました。編曲の古川貴浩さんとは何回も組ませていただいているので、どこまで作ればどのように受け取ってくれるかも想像がつきやすかったこともあります。

――歌詞については「時計仕掛けのアポカリプス」の内容が色濃く出て、この内容になっているのでしょうか?

緒方 「時計仕掛けのアポカリプス」は乙女ゲームなのですが、結構ハードな内容で、仲良くなった男性が一度みんな死んでしまうバッドエンドがあって、その宿命から今度は彼らを死なせないようにするストーリーなんです。その作品でかかる曲なので、大切な人が亡くなってしまった直後のヒロインというイメージでした。人の亡くなり方には色んな形があるし、本当に大事な人だと拒絶するというか、「これはお別れなのか?」と受け止められないことがきっとあると思うんですよね。私自身が経験したことも踏まえ、ヒロインの子もきっとこんな感じだったのかなと思って書いてみました。

――レコーディングはいかがでしたか? 難しかったと先ほどおっしゃっていましたが。

緒方 1回目はAメロの雰囲気を引きずったままのテンションでサビまでいったところ、あっさりしすぎてしまいました。2回目は頭から裏拍をきちんと全部刻みながらやってみたのですが、これは強すぎる。3回目は一巡して全部入れたうえで自由にやってみたら、このテイクで決まりました。

――草野さんはお聴きになって、緒方さんの“良さ”や“らしさ”を、どんなところに感じられましたか?

草野 Aメロ・Bメロは呟くうに表現されていて、それを3テイクの間に崩してくださったと聞いて感動しました。私はプロデュース案件でデビューから間もない方を担当することがあるのですが、歌い慣れていない人ほど“歌っちゃう”んですよ。これは曲を書くうえでも同じで、慣れない人ほど“メロディを書いちゃう”。そうすると、意図的な何かが入るからまったく気持ちのいいものにならない。私も輪郭が出ないように気をつけていることであります。難しいですね……この辺りなんて伝えたらいいですかね?

緒方 音楽の話だけで例えるのはちょっと難しいので、芝居の話に転換して持論を述べさせていただくと、「プロの役者というのは芝居をしない」んです。

――どういうことでしょうか?

緒方 みんな芝居が上手なんですよ。社会生活を行なっているすべての人って、日々“演技”しながら生きているじゃないですか。本音を駄々流ししながらいる人なんてほとんどいない。一方で、本音っぽく喋っていても近くにいると演技していることが見えたりすることもあるでしょう? そうやって皆が演技したり見抜いたり、見透かされたりし合っているのが現実の社会。なので、人は基本的に「私ってこういう演技をしているよ。上手でしょう?」っていう演技が嫌いなんです。人が人を好きになるときは、本音がチラッと見えるとき。いつも強がっている人がちょっとだけ見せた脆さだったり、難しい顔をした人がちょっとだけ口元を緩めて笑った瞬間に、「この人のこと好きかも」って思いがち。だからこそ、プロの役者に求められるのは「自分が見せたい演技」を見せるのではなく、スッと自分を“開いて”本音の部分を垣間見せること。それこそがプロの役者にしかできないことで、お客さんはそこを見て心を開き、物語に入って行ってくれる。

――その考えは歌についても同じように。

緒方 歌の場合はリズムやピッチといった、輪郭としてキチンと置かなければいけない部分が芝居より少し多いんですけども、その中にありつつなるべく“開きたい”と思っています。さっきのお話で出たメロディを“歌っちゃう”というのは、「私の歌は上手でしょ?」というのが伝わってくるような歌。お芝居でもそうですけど、新人の頃はそれをどうしたらいいかわからないんですよね。で、年配になればなったでまた、“慣れ”とか“癖”が顔を出す。

草野 メロディにも書き“癖”ってありますね。

緒方 もちろん、音楽で言えば、この感じの音の並びがきて、こういうコードがきたらいい的な理屈が体の中に入っているからこそなんでしょうけど。歌でも芝居でもそういう癖が付きがちですが、それをグッと堪えて剥がしていくように心がけています。中学2年生の頃のような、社会が見えてるけど心はまだ白くて、色々なものに反応して行けるような部分を残したい。

草野 今のお話で言うと、演奏や歌のレベルとアタックの興奮度ってクロスしていくんですよね。つまり、技術は上がっていく一方で瞬発力は下がっていく。その中間地点を狙えると最高なんです。私も3本目くらいがちょうどいいですね。まずやってみて、2回目はちょっと頭で考えすぎて、3回目でそれを無くしていく。これはライブでもそう。1本目でミスって、そこからアップデートさせて、最後に体の中に入っているみたいなことは、色んなものに当てはまることだと思います。

緒方 芝居でもライブでも、ツアーでもそうですよね。初日は結構緊張していて、そこからアップデートさせていく。ただ千秋楽は「もうこれで終わりだ~!」って、テンションが上がりすぎるので、大体その直前ぐらいが最高になっちゃうんだけど(笑)。

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ポストコロナ時代のライブエンターテイメントの意味
――ライブのお話になったことで1つ伺いたいことがあります。緒方さんは2020年のコロナ禍において、いち早くオンラインライブを開催されて、その後も様々な形でステージに立たれました。また草野さんは改名後初の1stバンドワンマンライブが昨年から何度も延期になり、ようやく2021年7月に開催予定(※2021年4月記事執筆時)となっています。リスナー側がオンライン配信という選択肢を知った今、ポストコロナ時代のライブエンターテイメントの意味について、考えをお聞かせください。

緒方 リモートという選択肢が増えたということは、1つの進歩であるとは思います。ただ、だからといってそれによって現場で体験するライブの価値が下がったとは考えません。生でしか伝わらないものは絶対にあって、それはどうなろうと変わらないし、むしろ会場における濃度や熱は以前よりも高まっていると思います。それはお客さんからも感じますし、先日も、某大手プロモーション会社の社長が「今のライブ会場の現場はものすごくアツい」とおっしゃった記事があがっていました。お客さんは声が出せない代わりに拍手で一生懸命送ろうとしてくれていますし、同時に絶対にここからクラスターを出さない決意も、スタッフやミュージシャン、お客さん、全員から感じられる。熱量が感動的なのです。オンラインライブの金銭的な課題はまだ解決しきれていない課題として残っていますが、生のライブに足を運んでくれる方は、絶対にまた来るという意識を持ってくれているなと強く感じます。

草野 緒方さんがおっしゃったように、地方の方や学生さんなどリモートで観ることができるようになった選択肢が増えた一方で、生のライブでしか得られない何かは絶対にあって、それを求めて来られる方もいます。リモートで観て、「これ、ヤバい。絶対に生で観たい!」と思った方もいるでしょう。そんなふうに生のライブへの呼び水になるシステムになっていると思います。私自身はお客さんが3人くらいしかいない頃から頑張って一人でイベントを組んで、1,000人クラスまで人を集めたり、1年間で100本ライブハウスに出たこともあります。どの大阪のライブハウスに行っても家族みたいな関係でした。でも、今はその半分くらいがライブハウス自体を閉じたり辞めてしまったりしています。ただ、1年間踏ん張れた人たちは今、顔を上げ始めていて、ライブハウスという場やそこでの価値が稀有なものであると気づいています。その人たちは諦めていません。

緒方 今までの価値とシステムの中でみんなが動いて判断をして、こういう状況になっていると思うのですが、やっぱり何か考えながら変えていかなきゃいけないんですよね。国からの補償は本当に手薄ですし。私の周りにも残念ながら辞めてしまった方も大勢います。一方で、踏ん張ってきた人たちがリスタートするときに、どうやったらいいかわからない状態になっていたりもします。「完全な安全が確保できないから」と休止していた人は、ファンの方がいればいるほど、どうやってライブハウスに立てばいいかわからなくなっている。今はその分岐点にあるように感じています。ライブはまだ苦しいのですが、演劇の皆さんはすごく頑張っているなと思います。最初の緊急事態宣言の後に大道具・小道具さんの会社が軒並み撤退せざるを得なくなってしまった結果、今はスタッフさんが少なくなってしまい、現場の人手が足りないという状況もあり、それによって上演ができないパターンすらあるなかで。

草野 「補償はしませんが、頑張って自粛してください」って情けない話ですよ。本当に苦しんでいるシンガーソングライターの友人がライブハウスシーンに大勢いますので、私たちを含め音楽業界で食べている人や演者の皆さんが声を上げることはとても必要なことだと思っています。

――ファンの側にできることは何でしょうか。

草野 最終的にお客さん側が納得してもらうことになるのですが、私が思うに、エンターテイメント業界自体がライブ現場の価値にもっと気づいて、その1つとしてチケットの売り方を見直しても良いと思います。例えばアメリカでは入場料が一律ではなく、席によってS/A/Bと差をつけていたり、演劇では子供の席を安くするために大人の席のチケット代でその分を補填していたりします。

緒方 ミート&グリートといって、楽屋に会いに行ってお話できる権利を付ける売り方もありますよね。

草野 何でも世界標準に合わせろとは言いませんが、(ライブハウスの)チケット代が均一という日本のシステムは曲がり角にきているのではないかと思います。

――野球やプロレス、相撲といった興行ではずっと前から行えているので、音楽業界ができないことはないと思うんですよね。

緒方 今だって転売対策とか入場の管理が厳しくなっているじゃないですか。それがあるのだから、チケット代について大胆な改革はあるべきではないかと。

草野 そうですよね。採算が取れるようにグッズをセットにするとか、イベントの種類や曲数によって変えられるといったことも、アーティスト側やライブハウス側が提示できる時代になってほしいと思います。

緒方 演劇界にしても、昨年の7月の一件以降、お客さんの側には一切感染者を出していないわけですから、安全な開催が行われていることをきちんと報道してほしいですよね。本当にライブのシーンは今、アツいですしそこに来てもらえれば泣きそうなくらいエネルギーの交歓ができる。状況を見ながらではありますが、我々も諦めず、頑張っていきます。お客さんに勇気を出して来ていただけるように頑張りますので、ぜひ色々な形で、ライブにご参加いただければ嬉しいです。

INTERVIEW & TEXT BY 日詰明嘉

●リリース情報
「劇薬 -Dramatic Medicine-」

発売中

品番:LACA-15844
価格:¥3,300(税込)

01. Never, ever
作詞:em:ou/作曲・編曲:HISASHI
02. パンドラ
作詞:em:ou/作曲・編曲:黒須克彦
03. 祈り
作詞:em:ou/作曲:草野華余子/編曲:古川貴浩
04. Buster Master
作詞:em:ou/作曲・編曲:ANCHOR
05. ラボラトリー・マリオネット
作詞:em:ou/作曲・編曲:宮崎京一
06. Precious shining star
作詞:em:ou/作曲・編曲:manzo
07. Like a human
作詞:em:ou/作曲:芳賀政哉/編曲:中土智博
08. Try Out, Go On!
作詞:em:ou/作曲・編曲:伊藤 賢
09. Breaking Dawn
作詞:em:ou、ASH DA HERO/作曲・編曲:ASH DA HERO
10. Repeat
作詞:em:ou/作曲・編曲:佐藤純一(fhana)

※em:ouの「o」はoにアキュート・アクセントを付したものが正式
※fhanaの「a」はaにアキュート・アクセントを付したものが正式


関連リンク
緒方恵美 公式サイト
https://www.emou.net/

緒方恵美 公式Twitter
https://twitter.com/Megumi_Ogata

草野華余子 公式サイト
https://kusanokayoko.com/

草野華余子 公式Twitter
https://twitter.com/kayoko225