今、絶対に注目しておくべきバンドがいる。その名前はAliA(アリア)。
そんなバンドの新曲「あいことば」は、陽キャ女子×陰キャ男子の凸凹カップルが織りなす青春ラブコメTVアニメ『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』(以下、『キミゼロ』)のEDテーマとして書き下ろされた、ピュアなフィーリングに満ちた甘酸っぱくも清々しいミディアムバラード調のナンバー。実はアニメやゲーム作品からインスパイアを受けることも多いという彼らが、本楽曲に込めた想い、そしてアニメの魅力についてたっぷりと語る!
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創
アニメがAliAに与えてきた影響、メンバー間の共通言語
――新曲「あいことば」はTVアニメ『キミゼロ』のEDテーマになりますが、AliAとアニメの接点をさかのぼると、以前にも「limit」という楽曲がWEBアニメ 『異能のアイシス』のOPテーマに使われていましたよね。
EREN そうですね。ただ、あれは書き下ろしで作ったわけではないんですよね。
SEIYA ゼロから作品にインスパイアされて楽曲を制作すること自体、今回の「あいことば」が初めてになりますね。「realize」(ドラマ「火村英生の推理2019」主題歌)も元々あった楽曲を使ってもらったので。
EREN ただ、僕らは普段からアニメをイメージして楽曲を書くことが多いので、作品に向けて楽曲を書くこと自体には慣れているんです。それこそ自分は『ヒロアカ(僕のヒーローアカデミア)』が好きなので、そこから刺激を受けて作った楽曲もあったりして。
SEIYA 別に作品を観て「これに合わせた楽曲を作ろう」という感じではなくて、制作のときにみんなで「最近このマンガとかアニメ面白くない?」みたいな話をすることが多くて、そういう話がそのとき作っている楽曲に影響を与えることがよくあるんです。
――ということは、今回のアニメタイアップのお話は待望だったのでは?
AYAME めっちゃ嬉しかったです!
EREN とはいえ、アニメのタイアップであれば何でもよかったわけではなくて。AliAとしてやる意味が必要だと思うし、僕は好きなアニメもあれば、あまり好みじゃないアニメもあるので。
――以前、Sizukの取材でAYAMEさんにお話を聞いたとき、AliAのメンバーは全員アニメ好きと伺ったことがあります。せっかくなので皆さんの好きなアニメについて教えていただけますか?
EREN 僕は食わず嫌いせず幅広く観るようにしているのですが、そのなかでも人気になる作品には面白さが詰まっているなと思っていて。『ヒロアカ』や『ONE PIECE』といったジャンプ系の作品や、新海 誠さんや細田 守さんの映画のように、人の心の動きが感動的に描かれている王道の作品が好きです。あとは『シュタゲ(STEINS;GATE)』みたいにストーリーが面白い作品や、いわゆるレジェンドアニメと呼ばれる作品、例えば『涼宮ハルヒの憂鬱』や『まどマギ(魔法少女まどか☆マギカ)』が入り口にあったりします。ほかにも映画並みのクオリティの作品、アニメだから観ることのできる世界が広がっている濃い作品も好きですね。『鬼滅の刃』や『進撃の巨人』『メイドインアビス』……これ、話し始めると長くなりますね(笑)。
TKT 今、俺たちが話す選択肢をだいぶ削ったからね(笑)。
RINA 私も『化物語』はめっちゃ好き!私は王道の作品も好きだし、ちょっとマニアックな作品やダークファンタジーものもよく観ています。『メイドインアビス』も大好きだし、あとは『文豪ストレイドッグス』みたいにミステリー要素が入っている作品、深いところまで描かれていて考察できるような作品も好きですね。
AYAME 私は基本的に主人公が圧倒的な作品が好きですね。でも、昔は『ONE PIECE』以外のアニメを観たことがなかったくらい、アニメとはあまり縁がなかったんです。それがAliAと出会って、初めてERENくんの家に行ったときに教えてもらったのが『ヒロアカ』で。そこからアニメがめちゃくちゃ好きになって、死ぬほど漁るようになりました。私はAliAのおかげで、アニメという青春を謳歌するようになったんです(笑)。
SEIYA そういえばみんなで(『ヒロアカ』を)観たなあ。
RINA 『リゼロ(Re:ゼロから始める異世界生活)』にもハマっていたよね。
AYAME すっごくハマった(笑)。あと、私は小中学生の頃にケータイ小説とか少女マンガを読むのが好きだったので、今はその延長線上で恋愛系のアニメにハマっていて。だから『キミゼロ』のお話をいただいたときもめちゃくちゃ嬉しかったんですよ。今ハマっているのは『わたしの幸せな結婚』で、ああいうきれいな恋愛作品が大好きです。
EREN 俺も観たよ。「旦那さま……」(『わたしの幸せな結婚』の主人公・斎森美世が、婚約者の久堂清霞を呼ぶときのセリフ)っていうやつだよね。
AYAME そう、清霞を観て「かっこいい……」とか思いながら、1人で楽しんでいる時間が好き(笑)。2人が恋心を抱きながら進んでいくのを観ているだけで幸せだなあって。今回の『キミゼロ』もそうですけど、やっぱり私は少女マンガを読んで育ってきたので、心をくすぐられるものがあるというか、「こんな恋愛がしたかったなあ」ってなるんですよね(笑)。
SEIYA 僕は好みの系統で言うと『PSYCHO-PASS サイコパス』『Fate/Zero』『86―エイティシックス―』みたいに、残酷な世界で主人公たちがそれに抗って生きるような世界観の作品が好きですね。AliAの楽曲に、AYAMEが歌詞を書いた「impulse」という楽曲があるんですけど、自分自身もああいう“なにくそ感”で生きてきたところがあるんですよ。「バンドでのし上がってやる!」という気持ちが強いので、そういう気持ちに共感できる主人公のアニメをよく観ていました。
AYAME めっちゃわかる!
SEIYA それがベーシックとしてありつつ、AliAを始めてからは、メンバーに薦められて、人と人の心の繋がりを描くような作品を観るようになりました。アニメというのは、厳しい環境の中での人の心も描かれるし、優しい世界での人の心の強さも描かれるから、ジャンル的にはバトルものから恋愛ものまで色々あるけれど、“人の心”という部分は共通していると思うんですよね。以前の僕は、かたくなに『君の名は。』を観ないようにしていて……。
TKT でも、僕らが「SEIYA、これは絶対に観た方がいいから」って説得して観せたんですよ。
EREN うちに呼んで、部屋を暗くして、僕が持っているちょっと高めのゲーミングヘッドホンを付けさせて。
SEIYA そう、イスに座らされると、目の前に画面があって、ヘッドホンを付けさせられて(笑)。それを観たのも、そのときに制作していた楽曲があって、ERENに「この新曲で伝えたい想いは、この作品を観てもらったら伝わると思うから」って言われたからなんですよね。メンバーそれぞれ影響を受けてきたものは違うけど、実際にみんなが感化されてきたクリエイティブな作品に触れると、「こういう想いも素敵だな」と感じるし、お互いの共通言葉になるんですね。それまで言葉では伝えられなかった感覚も、「この作品のこういう感じだよね」ということをキーワードにして、新曲やライブに落とし込むことができる。アニメを通してコミュニケーションのワードが増えた感覚ですね。
――アニメを共通言語にして、楽曲やライブのイメージを擦り合わせていく。面白いですね。ちなみにAliAの音楽性において、アニメ音楽から影響を受けている部分はありますか?
EREN 楽曲に関しては僕が中心に制作しているのですが、僕はいわゆる“アニソン”と言われるものをあまり通っていなくて。でも、近年は、音楽アーティストとアニメ作品の掛け算で作られる楽曲が増えてきていると思うし、そういう楽曲はすごく良いなと思います。例えば『東京喰種トーキョーグール』は、TK(TK from 凛として時雨)さんの「unravel」があったから作品がさらに素敵になったと思うし、逆にアニメがあったからあの楽曲もさらにエモくなったと思うんですよね。あとは『機動戦士ガンダムUC』でも、澤野弘之さんの作る強烈な音楽があるから、「ユニコーン!」っていうセリフがさらに熱いものになったと思いますし。そういう関わり方としての音楽には影響を受けています。
SEIYA 僕はAliAを始める前から澤野さんの音楽が個人的に好きで、劇伴に興味を持つようになったのが『ギルティクラウン』という作品だったんです。僕はsupercellとEGOISTも大好きなんですけど、その主題歌とは別に劇中で流れるかっこいい音楽を聴いて「これは何なんだろう?」と思ったんですよね。それが「βios」という楽曲だったんですけど、当時はまだ今ほど澤野さんの情報も多くなかったし、しかも澤野さんはサントラの曲名に変わった文字を使うので、検索しづらくて(笑)。そのときからアニメの中で流れる音楽を作っている人のことも意識して掘り下げるようになって、その後にAliAのメンバーと出会って、そういう好きな音楽の話で共感し合う感じでしたね。
――アニメの音楽もバンドの共通言語の1つとしてあったわけですね。
SEIYA (ERENは)AliAを結成するときから、久石 譲さんやジブリの音楽のことを話していたので、「なんか壮大なことをやろうとしてるなあ」と(笑)。でも、その話で意気投合した部分があったんですよね。
EREN 「キングダム ハーツ」の音楽とかね。
SEIYA そうそう、スタート画面の音楽とか、トワイライトタウンの音楽がエモいんだよね、みたいな話をして。
AYAME 始まった……!
EREN 「俺の夏休み――終わっちゃった」(「キングダム ハーツII」の登場キャラクター・ロクサスのセリフ)からの……。
EREN・SEIYA トゥールルルー♪(同シーンで流れるBGM「Roxas」のメロディを口ずさむ)。
EREN これなんですよ。これがノスタルジーなんですよね(笑)。
SEIYA 音楽を聴いて情景が浮かんだり、その場面の登場人物の気持ちになれるのが良い作品だと思っています。ジブリの音楽も聴けば、みんな同じ気持ちになれるじゃないですか。
――アニメやゲーム作品を共通言語にするのがどういうことか、今のやり取りでわかった気がします(笑)。あともう1つ、アニメに絡めて聞きたいことがありまして。AliAの代表曲「かくれんぼ」は、TikTokなどでアニメのMAD動画に合わせて使われることが多いですが、あのバズについて皆さんはどのように受け止めていますか?もちろん意図して狙ったわけではないと思うのですが。
EREN 元々アニメの豊かさや疾走感、青春感みたいなものを表現した楽曲なので、結果的に意図してああなった部分もあると思います。きっとそういう部分をアニメ好きの方が感じ取って、ああいう使い方をしてくれたんだと思うんです。だからアニメに対する強い想い、僕らの熱量が伝わっているということなんですよね。
TKT 歌詞は僕が書いたんですけど、それこそ色んなアニメを意識して書いたんですよ。だからこそ色んなアニメの場面に合うんだと思うし、そうやって作ったから今、こういう形になっているんだと思います。
SEIYA 僕らは楽曲に込めた想いや景色を伝えるために、ジャケットやMVも作っていて。最初のYouTubeのコメントの話もそうですけど、聴いてくれる人がその熱量を汲み取ってくれるんですよね。それは自分たちの想いは届くということの指標にもなるし、これからも余計な策を考えたり時代に合わせることなく、シンプルに自分たちが作りたいものを作っていけばいいんだなって思います。
『キミゼロ』のピュアさ、“人を好きになること”の尊さを表現した「あいことば」
――今回の新曲「あいことば」に関しても、やはり自分たちの信念を貫いて制作をされたわけですか?
SEIYA そうですね。作品に触れて自分たちの中に生まれた想いや感情をそのまま形にしました。
――ERENさんは『キミゼロ』という作品からどんなインスピレーションを受けて楽曲に落とし込もうとされたのでしょうか?
EREN 原作を読んだとき、この作品は登場人物のピュアな心の動きを描きたい作品だと感じたんですね。不純物のない、きれいで細やかな心の動きを描いているんだろうなと思ったときに、AliAとしてはそこに深さを与えてあげたいと感じたんです。なので、“人を好きになること”の尊さ、誰かを想うこと自体が豊かで温かいことを表現できればと思いました。そのほうが、僕らがこのアニメを良くすることに貢献できると思ったんですね。
――作品と真摯に向き合ったうえでの提案だったわけですね。
EREN 原作者の方はピュアな想いを込めてこの作品を書いていると思ったので、作品とファンの間に入る僕らはそれを邪魔してはいけないと思ったんです。僕はメンバーにも普段からこうやって熱い想いを込めて、1つ1つの物事に対してコミュニケーションを取るようにしていて。みんながそれをすごく大事にしてくれるから、今の5人の関係性があるし、スタッフの人たちを含めたAliAというチームがあるので、そこは譲れない部分でもあるんです。
SEIYA 僕らはAliAだし、アーティストとして世の中にメッセージを発信していて、それに共感して集まってくれる人がいるので、「僕らがどうありたいか」ということを誰かに委ねてはいけないと思っています。僕らが色んな作品に感動して伝えてきたことを、純度を高く守らなくてはいけない。逆に言うと、自分たちの納得のいくものを世に伝えるために守らなくてはいけないことを、僕らも学べた機会になりました。
RINA この楽曲はレコーディングにもすごく時間をかけたんです。フレーズ自体はほかの楽曲に比べると難しくないんですけど、演奏するにあたっての気持ちを作るために(ERENから)たくさん楽曲に込めた想いを聞きました。今回は私だけでなく、プロのストリングスの方々にも演奏していただいたのですが、皆さんそういう経験は初めてだったみたいで最初は戸惑っていて(苦笑)。
EREN 一度弾いてもらったあとに「うーん……」となったので、「この楽曲はこういう想いで作りました」「あなたは人を好きになった経験がありますか?」「そういうときにどんな音を鳴らしますか?」みたいなお話をして。でも、それをやることでみんながグッと1つになるんです。
TKT そう、そのあとに録ると、音がめちゃくちゃ変わるんですよ。
RINA みんなでメンタルから作り込んでいく。皆さんプロの演奏家なので、普段はそういうやり取りもなく譜面通りに一発で演奏するような実力の方々なんですけど、レコーディング後に「こんなに楽曲に対して向き合って、時間をかけて作ったのは初めてなので、良い経験でした」という話をしてくださったんです。楽器の演奏には言葉は乗らないですが、そういう想いを込めて演奏したことが伝わればいいなと思います。
――この楽曲、1サビ終わりからのストリングスの高まりがすごいですものね。
RINA 熱い展開になっています(笑)。AliAの演奏は普段から全然ドライな感じではないんですよね。
SEIYA ただ譜面通り演奏するのではなくて、ERENから「心を表現しろ」って言われるんですよ。レコーディングでよく「(音は)あっているけど、あってない」って言われて、最初の頃はマジで困惑しました(笑)。
RINA 「AYAMEのことを置いていってる」って言われたんだよね。私も難しいことを言うなあと思って(笑)。
SEIYA うん、「歌を置いてけぼりにしている」って言われて。でもテンポは合っているんですよ。それは今のストリングスの話と同じで、気持ちが演奏に表れているかどうか、っていうことなんですよね。
EREN 「俺が感じないんだったら、誰も感じないだろう」っていう話で。まあ、自分でもおかしな話だと思うけど(笑)。
SEIYA でも確かにそうだと思うんですよね。実際にこの楽曲を聴く人たちに、想いが届かなかったら意味がないので。歌詞や楽曲、いわば設定の部分はしっかり作られているのに、僕らの演奏で気持ちの深さや熱さが届かなかったら、それは良くないなと思っています。
EREN というのも、AYAMEがすごく細やかに気持ちを作って、自分を追い込んで歌うボーカリストで、ライブでも「1人でどこまで行ってしまうんだろう?」って思うくらい、遠いところまで行ってしまうんですよ。これは褒め言葉なんですけど(笑)。そんなAYAMEの近くに俺たちがいられるのは、気持ちの込め方にしっかりと向き合って演奏しているからだと思っていて。少しでも気を抜くと、AYAMEだけ異次元に行ってしまって、俺らはモブキャラ、ただのバックバンドになってしまうから。
RINA 確かにそうなんだよね。
EREN それくらい素晴らしいんですよ、AYAMEの歌は。例え苦しくても、楽曲に対してすごく向き合うんです。だから(演奏のみを担当している)RINAとSEIYAの2人には厳しめになってしまうんです。
RINA うん、そこはちゃんとリスペクトしているし、わかってる。
SEIYA でも、たまにとんでもない空気になるんだよね(笑)。
――アハハ(笑)。「あいことば」の歌詞はTKTさんが書かれていますが、先ほどERENさんが話していた“人を好きになること”の尊さ、『キミゼロ』で描かれるキャラクターたちのピュアな気持ちを意識して書かれたのでしょうか。
TKT そうですね。この作品は、大人になることで忘れていってしまうような感情がテーマになっていると感じたので、そういう気持ちを思い出したり、想像しながら作っていきました。歌詞に関してはAYAMEにも意見をもらいましたね。「この語尾だと、このキャラクターが言っているようには聞こえない」と言われたので、そういう部分を微調整しながら作っていきました。
AYAME デモの時点で原作の先生に聴いてもらうというお話だったので、「自分が彼女たち(ヒロインの白河月愛・黒瀬海愛)にならないとダメだ」と思って、デモを録るときも携帯の待ち受けをあの子たちの画像に設定してから録ったんですよ。確かそのときに(TKTに)意見したんだと思うんですけど、完全に憑依していたのであまり記憶がなくて(笑)。でも、やっぱり歌った後に気づくことが多いんですよね。
TKT まあ、この作品の主人公たちは今の僕とはかけ離れた存在なので難しかったですけど(笑)、僕もこういうピュアな気持ちは素敵だなあと思うので。特に一番最初に浮かんだ「“ゼロ”からキミと2人で歩けたから」という言葉は使いたいなと思ったので、サビ頭に持っていって、そこからほかのフレーズを考えていきました。
――Bメロに“海に浮かぶ月”というフレーズがありますが、これはヒロインの月愛・海愛を意識したものでしょうか?
TKT あっ、その通りです。やっぱりあの2人もこの作品の肝だと思うので。みんな気づくかな?と思いながら書きました。
――AYAMEさんはどんなことを意識して歌いましたか?
AYAME さっきも言った通り、本当に(作品のヒロインに)なり切った気持ちで。私はいつも歌うときに何かしらの主人公を自分の中に作るんですけど、今回は書き下ろしのタイアップ曲だったこともあって、原作を読んだうえで私が彼女たちに感じたこと、彼女たちがこの楽曲を歌うとしたらどう歌うかをイメージして、歌詞を変に読み解くことなく、サラッと思ったままに歌いました。普段なら選ばないアプローチもしていて。
――それは例えば?
AYAME いつもならもっと張り上げて歌うところや、絶対に地声で歌うキーのところを、この楽曲ではあえてファルセットや裏声で歌ってみたりしています。楽曲自体がすごく温かいし、初々しい気持ちが表現されているので、張り上げたり叫ぶのは違うと思ったんです。あとは言葉尻の表現やブレスの仕方を細かく意識しました。
――個人的にこの楽曲の歌は、語りかけるようなニュアンスに近い印象を受けました。
EREN “語りかける”もそうかもしれないけど、僕の聴こえ方としては、帰り道に1人で自分の思いを言っているような感じがしましたね。
AYAME ああ、確かに。“語りかける”ではなくて、ただ口から出ているというか、呟いている感じのほうが近いかも。メロディを追っているのではなくて、ただ言葉を発している感じというか。
――その意味でも、今までのAliAにはなかった表情も感じさせる楽曲になりましたね。最後に、今回の初タイアップはバンドにとってどんな経験になったか、今の実感をお聞かせください。
EREN 僕らはこの間にメンバーが1人抜けて(※ドラマーのBOBが2023年7月に脱退)、未来は明るいけど環境の変化もあったので、ゼロとは言わないけど、一旦振り出しに戻って、自分たちがどう生きていくのか改めて考え直したところがあって。そういう今の自分たちにも重なるし、今の僕たちが素直な気持ちをシンプルに表現することができて、ここから色んなドラマや出来事が生まれていく、最初の時期の歌になったと思います。これは人を好きになる前の気持ち、恋愛になる前の形を表現した歌だから、この曲を通して、僕たちが何かに変換される前の気持ちを感じていきたいし、今後そうなっていく気がしています。
●リリース情報
AliA
「あいことば」
配信中
購入はこちら
■mora
通常/配信リンクはこちら
ハイレゾ/配信リンクはこちら
品番:PCSP-05240
<収録楽曲>
M1. あいことば
作詞:TKT 作曲:EREN
M2. あいことば TV size ver.
●作品情報
『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』
AT-X 10月6日より 毎週金曜 22:30~(リピート放送:毎週火曜日10:30~11:00
毎週木曜日16:30~17:00)
TOKYO MX 10月6日より 毎週 金 曜 25:35~
BS11 10月6日より 毎週金曜 27:00~
サンテレビ 10月7日より 毎週土曜 25:30~
KBS京都 10月7日より 毎週土曜 25:30~
配信情報
dアニメストア、Lemino 10月6日(金)より毎週金曜 23:00~その他サイトも順次配信中
※放送・配信日時は番組編成の都合等により変更となる場合がございます。
<あらすじ>
加島龍斗(リュート)は冴えない陰キャ男子、もちろん16年彼女ナシ。
そんなリュートの憧れは、白河月愛(ルナ)。学年一の美少女ギャルで、恋愛経験も豊富
遠くから見ているだけで十分だと思っていたけれど……、なんと付き合うことに!?
恋愛経験ゼロの陰キャ男子と経験済みなギャル、住む世界が違いすぎる二人が織りなす
凸凹だけど、ピュアでリアルでドキドキがつまった極上青春ラブストーリー。
【スタッフ】
原作:長岡 マキ子『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』(ファンタジア文庫刊)
キャラクター原案:magako
監督:大庭 秀昭
シリーズ構成:福田 裕子
キャラクターデザイン:伊藤 陽祐
美術監督・美術設定:宮田 遥可
色彩設計:山上 愛子
撮影監督:板倉 あゆみ・山本 雄介
オフライン編集:小口 理菜
音響監督:高寺 たけし
音響効果:風間 結花
音楽:羽岡 佳
音楽制作:ポニーキャニオン
音響制作:グロービジョン
アニメーション制作:ENGI
製作:キミゼロ製作委員会
OPテーマ:内田真礼「ラブ・ユー・テンダー!」
EDテーマ:AliA「あいことば」
【キャスト】
加島龍斗:花江夏樹
白河月愛:大西沙織
黒瀬海愛:古賀 葵
山名 笑琉:福原綾香
仁志名 蓮:阪口大助
伊地知 祐輔:落合福嗣
谷北 朱璃:楠木ともり
関家柊吾:前野智昭
KEN:KUN
©長岡マキ子・magako/KADOKAWA/キミゼロ製作委員会
関連リンク
AliA
公式サイト
http://www.alialive.jp/
公式X
https://twitter.com/AliA___official
公式YouTubechannel
https://www.youtube.com/channel/UCQypWrxGTZVMP1aKd7GO45w
『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』公式サイト
https://kimizero.com/
AYAME(Vo)、EREN(Gt)、RINA(Vn)、TKT(Key)、SEIYA(Ba)による5人組ハイブリッドロックバンドだ。代表曲「かくれんぼ」がTikTokなどのSNSで人気を集め、YouTubeの再生数は5,000万回以上を記録。ボーカルのAYAMEは、俊龍による音楽プロジェクト・Sizukにフィーチャリングシンガーとして参加していることもあり、すでに知っている人も多いはずだ。
そんなバンドの新曲「あいことば」は、陽キャ女子×陰キャ男子の凸凹カップルが織りなす青春ラブコメTVアニメ『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』(以下、『キミゼロ』)のEDテーマとして書き下ろされた、ピュアなフィーリングに満ちた甘酸っぱくも清々しいミディアムバラード調のナンバー。実はアニメやゲーム作品からインスパイアを受けることも多いという彼らが、本楽曲に込めた想い、そしてアニメの魅力についてたっぷりと語る!
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創
アニメがAliAに与えてきた影響、メンバー間の共通言語
――新曲「あいことば」はTVアニメ『キミゼロ』のEDテーマになりますが、AliAとアニメの接点をさかのぼると、以前にも「limit」という楽曲がWEBアニメ 『異能のアイシス』のOPテーマに使われていましたよね。
EREN そうですね。ただ、あれは書き下ろしで作ったわけではないんですよね。
SEIYA ゼロから作品にインスパイアされて楽曲を制作すること自体、今回の「あいことば」が初めてになりますね。「realize」(ドラマ「火村英生の推理2019」主題歌)も元々あった楽曲を使ってもらったので。
EREN ただ、僕らは普段からアニメをイメージして楽曲を書くことが多いので、作品に向けて楽曲を書くこと自体には慣れているんです。それこそ自分は『ヒロアカ(僕のヒーローアカデミア)』が好きなので、そこから刺激を受けて作った楽曲もあったりして。
たまにYouTubeのコメント欄で「この楽曲、〇〇(作品名)っぽい」って当てている人がいるのを見ると「伝わってる!」と思いますね(笑)。しかもそれが1~2人とかの人数ではないので、作品に向けて楽曲を書く力はあると思います。
SEIYA 別に作品を観て「これに合わせた楽曲を作ろう」という感じではなくて、制作のときにみんなで「最近このマンガとかアニメ面白くない?」みたいな話をすることが多くて、そういう話がそのとき作っている楽曲に影響を与えることがよくあるんです。
――ということは、今回のアニメタイアップのお話は待望だったのでは?
AYAME めっちゃ嬉しかったです!
EREN とはいえ、アニメのタイアップであれば何でもよかったわけではなくて。AliAとしてやる意味が必要だと思うし、僕は好きなアニメもあれば、あまり好みじゃないアニメもあるので。
――以前、Sizukの取材でAYAMEさんにお話を聞いたとき、AliAのメンバーは全員アニメ好きと伺ったことがあります。せっかくなので皆さんの好きなアニメについて教えていただけますか?
EREN 僕は食わず嫌いせず幅広く観るようにしているのですが、そのなかでも人気になる作品には面白さが詰まっているなと思っていて。『ヒロアカ』や『ONE PIECE』といったジャンプ系の作品や、新海 誠さんや細田 守さんの映画のように、人の心の動きが感動的に描かれている王道の作品が好きです。あとは『シュタゲ(STEINS;GATE)』みたいにストーリーが面白い作品や、いわゆるレジェンドアニメと呼ばれる作品、例えば『涼宮ハルヒの憂鬱』や『まどマギ(魔法少女まどか☆マギカ)』が入り口にあったりします。ほかにも映画並みのクオリティの作品、アニメだから観ることのできる世界が広がっている濃い作品も好きですね。『鬼滅の刃』や『進撃の巨人』『メイドインアビス』……これ、話し始めると長くなりますね(笑)。
TKT 今、俺たちが話す選択肢をだいぶ削ったからね(笑)。
僕が一番好きな作品は『ONE PIECE』なんですけど、アニメにハマったきっかけは『化物語』です。『化物語』は見せ方を含めて普通ではない表現の仕方が多い。セリフばかりが続くシーンも、上手いこと画で表現しているのがすごく良くて、ハマりましたね。
RINA 私も『化物語』はめっちゃ好き!私は王道の作品も好きだし、ちょっとマニアックな作品やダークファンタジーものもよく観ています。『メイドインアビス』も大好きだし、あとは『文豪ストレイドッグス』みたいにミステリー要素が入っている作品、深いところまで描かれていて考察できるような作品も好きですね。
AYAME 私は基本的に主人公が圧倒的な作品が好きですね。でも、昔は『ONE PIECE』以外のアニメを観たことがなかったくらい、アニメとはあまり縁がなかったんです。それがAliAと出会って、初めてERENくんの家に行ったときに教えてもらったのが『ヒロアカ』で。そこからアニメがめちゃくちゃ好きになって、死ぬほど漁るようになりました。私はAliAのおかげで、アニメという青春を謳歌するようになったんです(笑)。
SEIYA そういえばみんなで(『ヒロアカ』を)観たなあ。
RINA 『リゼロ(Re:ゼロから始める異世界生活)』にもハマっていたよね。
AYAME すっごくハマった(笑)。あと、私は小中学生の頃にケータイ小説とか少女マンガを読むのが好きだったので、今はその延長線上で恋愛系のアニメにハマっていて。だから『キミゼロ』のお話をいただいたときもめちゃくちゃ嬉しかったんですよ。今ハマっているのは『わたしの幸せな結婚』で、ああいうきれいな恋愛作品が大好きです。
EREN 俺も観たよ。「旦那さま……」(『わたしの幸せな結婚』の主人公・斎森美世が、婚約者の久堂清霞を呼ぶときのセリフ)っていうやつだよね。
AYAME そう、清霞を観て「かっこいい……」とか思いながら、1人で楽しんでいる時間が好き(笑)。2人が恋心を抱きながら進んでいくのを観ているだけで幸せだなあって。今回の『キミゼロ』もそうですけど、やっぱり私は少女マンガを読んで育ってきたので、心をくすぐられるものがあるというか、「こんな恋愛がしたかったなあ」ってなるんですよね(笑)。
SEIYA 僕は好みの系統で言うと『PSYCHO-PASS サイコパス』『Fate/Zero』『86―エイティシックス―』みたいに、残酷な世界で主人公たちがそれに抗って生きるような世界観の作品が好きですね。AliAの楽曲に、AYAMEが歌詞を書いた「impulse」という楽曲があるんですけど、自分自身もああいう“なにくそ感”で生きてきたところがあるんですよ。「バンドでのし上がってやる!」という気持ちが強いので、そういう気持ちに共感できる主人公のアニメをよく観ていました。
AYAME めっちゃわかる!
SEIYA それがベーシックとしてありつつ、AliAを始めてからは、メンバーに薦められて、人と人の心の繋がりを描くような作品を観るようになりました。アニメというのは、厳しい環境の中での人の心も描かれるし、優しい世界での人の心の強さも描かれるから、ジャンル的にはバトルものから恋愛ものまで色々あるけれど、“人の心”という部分は共通していると思うんですよね。以前の僕は、かたくなに『君の名は。』を観ないようにしていて……。
TKT でも、僕らが「SEIYA、これは絶対に観た方がいいから」って説得して観せたんですよ。
EREN うちに呼んで、部屋を暗くして、僕が持っているちょっと高めのゲーミングヘッドホンを付けさせて。
SEIYA そう、イスに座らされると、目の前に画面があって、ヘッドホンを付けさせられて(笑)。それを観たのも、そのときに制作していた楽曲があって、ERENに「この新曲で伝えたい想いは、この作品を観てもらったら伝わると思うから」って言われたからなんですよね。メンバーそれぞれ影響を受けてきたものは違うけど、実際にみんなが感化されてきたクリエイティブな作品に触れると、「こういう想いも素敵だな」と感じるし、お互いの共通言葉になるんですね。それまで言葉では伝えられなかった感覚も、「この作品のこういう感じだよね」ということをキーワードにして、新曲やライブに落とし込むことができる。アニメを通してコミュニケーションのワードが増えた感覚ですね。
――アニメを共通言語にして、楽曲やライブのイメージを擦り合わせていく。面白いですね。ちなみにAliAの音楽性において、アニメ音楽から影響を受けている部分はありますか?
EREN 楽曲に関しては僕が中心に制作しているのですが、僕はいわゆる“アニソン”と言われるものをあまり通っていなくて。でも、近年は、音楽アーティストとアニメ作品の掛け算で作られる楽曲が増えてきていると思うし、そういう楽曲はすごく良いなと思います。例えば『東京喰種トーキョーグール』は、TK(TK from 凛として時雨)さんの「unravel」があったから作品がさらに素敵になったと思うし、逆にアニメがあったからあの楽曲もさらにエモくなったと思うんですよね。あとは『機動戦士ガンダムUC』でも、澤野弘之さんの作る強烈な音楽があるから、「ユニコーン!」っていうセリフがさらに熱いものになったと思いますし。そういう関わり方としての音楽には影響を受けています。
SEIYA 僕はAliAを始める前から澤野さんの音楽が個人的に好きで、劇伴に興味を持つようになったのが『ギルティクラウン』という作品だったんです。僕はsupercellとEGOISTも大好きなんですけど、その主題歌とは別に劇中で流れるかっこいい音楽を聴いて「これは何なんだろう?」と思ったんですよね。それが「βios」という楽曲だったんですけど、当時はまだ今ほど澤野さんの情報も多くなかったし、しかも澤野さんはサントラの曲名に変わった文字を使うので、検索しづらくて(笑)。そのときからアニメの中で流れる音楽を作っている人のことも意識して掘り下げるようになって、その後にAliAのメンバーと出会って、そういう好きな音楽の話で共感し合う感じでしたね。
――アニメの音楽もバンドの共通言語の1つとしてあったわけですね。
SEIYA (ERENは)AliAを結成するときから、久石 譲さんやジブリの音楽のことを話していたので、「なんか壮大なことをやろうとしてるなあ」と(笑)。でも、その話で意気投合した部分があったんですよね。
EREN 「キングダム ハーツ」の音楽とかね。
SEIYA そうそう、スタート画面の音楽とか、トワイライトタウンの音楽がエモいんだよね、みたいな話をして。
AYAME 始まった……!
EREN 「俺の夏休み――終わっちゃった」(「キングダム ハーツII」の登場キャラクター・ロクサスのセリフ)からの……。
EREN・SEIYA トゥールルルー♪(同シーンで流れるBGM「Roxas」のメロディを口ずさむ)。
EREN これなんですよ。これがノスタルジーなんですよね(笑)。
SEIYA 音楽を聴いて情景が浮かんだり、その場面の登場人物の気持ちになれるのが良い作品だと思っています。ジブリの音楽も聴けば、みんな同じ気持ちになれるじゃないですか。
――アニメやゲーム作品を共通言語にするのがどういうことか、今のやり取りでわかった気がします(笑)。あともう1つ、アニメに絡めて聞きたいことがありまして。AliAの代表曲「かくれんぼ」は、TikTokなどでアニメのMAD動画に合わせて使われることが多いですが、あのバズについて皆さんはどのように受け止めていますか?もちろん意図して狙ったわけではないと思うのですが。
EREN 元々アニメの豊かさや疾走感、青春感みたいなものを表現した楽曲なので、結果的に意図してああなった部分もあると思います。きっとそういう部分をアニメ好きの方が感じ取って、ああいう使い方をしてくれたんだと思うんです。だからアニメに対する強い想い、僕らの熱量が伝わっているということなんですよね。
TKT 歌詞は僕が書いたんですけど、それこそ色んなアニメを意識して書いたんですよ。だからこそ色んなアニメの場面に合うんだと思うし、そうやって作ったから今、こういう形になっているんだと思います。
SEIYA 僕らは楽曲に込めた想いや景色を伝えるために、ジャケットやMVも作っていて。最初のYouTubeのコメントの話もそうですけど、聴いてくれる人がその熱量を汲み取ってくれるんですよね。それは自分たちの想いは届くということの指標にもなるし、これからも余計な策を考えたり時代に合わせることなく、シンプルに自分たちが作りたいものを作っていけばいいんだなって思います。
『キミゼロ』のピュアさ、“人を好きになること”の尊さを表現した「あいことば」
――今回の新曲「あいことば」に関しても、やはり自分たちの信念を貫いて制作をされたわけですか?
SEIYA そうですね。作品に触れて自分たちの中に生まれた想いや感情をそのまま形にしました。
――ERENさんは『キミゼロ』という作品からどんなインスピレーションを受けて楽曲に落とし込もうとされたのでしょうか?
EREN 原作を読んだとき、この作品は登場人物のピュアな心の動きを描きたい作品だと感じたんですね。不純物のない、きれいで細やかな心の動きを描いているんだろうなと思ったときに、AliAとしてはそこに深さを与えてあげたいと感じたんです。なので、“人を好きになること”の尊さ、誰かを想うこと自体が豊かで温かいことを表現できればと思いました。そのほうが、僕らがこのアニメを良くすることに貢献できると思ったんですね。
――作品と真摯に向き合ったうえでの提案だったわけですね。
EREN 原作者の方はピュアな想いを込めてこの作品を書いていると思ったので、作品とファンの間に入る僕らはそれを邪魔してはいけないと思ったんです。僕はメンバーにも普段からこうやって熱い想いを込めて、1つ1つの物事に対してコミュニケーションを取るようにしていて。みんながそれをすごく大事にしてくれるから、今の5人の関係性があるし、スタッフの人たちを含めたAliAというチームがあるので、そこは譲れない部分でもあるんです。
SEIYA 僕らはAliAだし、アーティストとして世の中にメッセージを発信していて、それに共感して集まってくれる人がいるので、「僕らがどうありたいか」ということを誰かに委ねてはいけないと思っています。僕らが色んな作品に感動して伝えてきたことを、純度を高く守らなくてはいけない。逆に言うと、自分たちの納得のいくものを世に伝えるために守らなくてはいけないことを、僕らも学べた機会になりました。
RINA この楽曲はレコーディングにもすごく時間をかけたんです。フレーズ自体はほかの楽曲に比べると難しくないんですけど、演奏するにあたっての気持ちを作るために(ERENから)たくさん楽曲に込めた想いを聞きました。今回は私だけでなく、プロのストリングスの方々にも演奏していただいたのですが、皆さんそういう経験は初めてだったみたいで最初は戸惑っていて(苦笑)。
EREN 一度弾いてもらったあとに「うーん……」となったので、「この楽曲はこういう想いで作りました」「あなたは人を好きになった経験がありますか?」「そういうときにどんな音を鳴らしますか?」みたいなお話をして。でも、それをやることでみんながグッと1つになるんです。
TKT そう、そのあとに録ると、音がめちゃくちゃ変わるんですよ。
RINA みんなでメンタルから作り込んでいく。皆さんプロの演奏家なので、普段はそういうやり取りもなく譜面通りに一発で演奏するような実力の方々なんですけど、レコーディング後に「こんなに楽曲に対して向き合って、時間をかけて作ったのは初めてなので、良い経験でした」という話をしてくださったんです。楽器の演奏には言葉は乗らないですが、そういう想いを込めて演奏したことが伝わればいいなと思います。
――この楽曲、1サビ終わりからのストリングスの高まりがすごいですものね。
RINA 熱い展開になっています(笑)。AliAの演奏は普段から全然ドライな感じではないんですよね。
SEIYA ただ譜面通り演奏するのではなくて、ERENから「心を表現しろ」って言われるんですよ。レコーディングでよく「(音は)あっているけど、あってない」って言われて、最初の頃はマジで困惑しました(笑)。
RINA 「AYAMEのことを置いていってる」って言われたんだよね。私も難しいことを言うなあと思って(笑)。
SEIYA うん、「歌を置いてけぼりにしている」って言われて。でもテンポは合っているんですよ。それは今のストリングスの話と同じで、気持ちが演奏に表れているかどうか、っていうことなんですよね。
EREN 「俺が感じないんだったら、誰も感じないだろう」っていう話で。まあ、自分でもおかしな話だと思うけど(笑)。
SEIYA でも確かにそうだと思うんですよね。実際にこの楽曲を聴く人たちに、想いが届かなかったら意味がないので。歌詞や楽曲、いわば設定の部分はしっかり作られているのに、僕らの演奏で気持ちの深さや熱さが届かなかったら、それは良くないなと思っています。
EREN というのも、AYAMEがすごく細やかに気持ちを作って、自分を追い込んで歌うボーカリストで、ライブでも「1人でどこまで行ってしまうんだろう?」って思うくらい、遠いところまで行ってしまうんですよ。これは褒め言葉なんですけど(笑)。そんなAYAMEの近くに俺たちがいられるのは、気持ちの込め方にしっかりと向き合って演奏しているからだと思っていて。少しでも気を抜くと、AYAMEだけ異次元に行ってしまって、俺らはモブキャラ、ただのバックバンドになってしまうから。
RINA 確かにそうなんだよね。
EREN それくらい素晴らしいんですよ、AYAMEの歌は。例え苦しくても、楽曲に対してすごく向き合うんです。だから(演奏のみを担当している)RINAとSEIYAの2人には厳しめになってしまうんです。
RINA うん、そこはちゃんとリスペクトしているし、わかってる。
SEIYA でも、たまにとんでもない空気になるんだよね(笑)。
――アハハ(笑)。「あいことば」の歌詞はTKTさんが書かれていますが、先ほどERENさんが話していた“人を好きになること”の尊さ、『キミゼロ』で描かれるキャラクターたちのピュアな気持ちを意識して書かれたのでしょうか。
TKT そうですね。この作品は、大人になることで忘れていってしまうような感情がテーマになっていると感じたので、そういう気持ちを思い出したり、想像しながら作っていきました。歌詞に関してはAYAMEにも意見をもらいましたね。「この語尾だと、このキャラクターが言っているようには聞こえない」と言われたので、そういう部分を微調整しながら作っていきました。
AYAME デモの時点で原作の先生に聴いてもらうというお話だったので、「自分が彼女たち(ヒロインの白河月愛・黒瀬海愛)にならないとダメだ」と思って、デモを録るときも携帯の待ち受けをあの子たちの画像に設定してから録ったんですよ。確かそのときに(TKTに)意見したんだと思うんですけど、完全に憑依していたのであまり記憶がなくて(笑)。でも、やっぱり歌った後に気づくことが多いんですよね。
TKT まあ、この作品の主人公たちは今の僕とはかけ離れた存在なので難しかったですけど(笑)、僕もこういうピュアな気持ちは素敵だなあと思うので。特に一番最初に浮かんだ「“ゼロ”からキミと2人で歩けたから」という言葉は使いたいなと思ったので、サビ頭に持っていって、そこからほかのフレーズを考えていきました。
――Bメロに“海に浮かぶ月”というフレーズがありますが、これはヒロインの月愛・海愛を意識したものでしょうか?
TKT あっ、その通りです。やっぱりあの2人もこの作品の肝だと思うので。みんな気づくかな?と思いながら書きました。
――AYAMEさんはどんなことを意識して歌いましたか?
AYAME さっきも言った通り、本当に(作品のヒロインに)なり切った気持ちで。私はいつも歌うときに何かしらの主人公を自分の中に作るんですけど、今回は書き下ろしのタイアップ曲だったこともあって、原作を読んだうえで私が彼女たちに感じたこと、彼女たちがこの楽曲を歌うとしたらどう歌うかをイメージして、歌詞を変に読み解くことなく、サラッと思ったままに歌いました。普段なら選ばないアプローチもしていて。
――それは例えば?
AYAME いつもならもっと張り上げて歌うところや、絶対に地声で歌うキーのところを、この楽曲ではあえてファルセットや裏声で歌ってみたりしています。楽曲自体がすごく温かいし、初々しい気持ちが表現されているので、張り上げたり叫ぶのは違うと思ったんです。あとは言葉尻の表現やブレスの仕方を細かく意識しました。
――個人的にこの楽曲の歌は、語りかけるようなニュアンスに近い印象を受けました。
EREN “語りかける”もそうかもしれないけど、僕の聴こえ方としては、帰り道に1人で自分の思いを言っているような感じがしましたね。
AYAME ああ、確かに。“語りかける”ではなくて、ただ口から出ているというか、呟いている感じのほうが近いかも。メロディを追っているのではなくて、ただ言葉を発している感じというか。
――その意味でも、今までのAliAにはなかった表情も感じさせる楽曲になりましたね。最後に、今回の初タイアップはバンドにとってどんな経験になったか、今の実感をお聞かせください。
EREN 僕らはこの間にメンバーが1人抜けて(※ドラマーのBOBが2023年7月に脱退)、未来は明るいけど環境の変化もあったので、ゼロとは言わないけど、一旦振り出しに戻って、自分たちがどう生きていくのか改めて考え直したところがあって。そういう今の自分たちにも重なるし、今の僕たちが素直な気持ちをシンプルに表現することができて、ここから色んなドラマや出来事が生まれていく、最初の時期の歌になったと思います。これは人を好きになる前の気持ち、恋愛になる前の形を表現した歌だから、この曲を通して、僕たちが何かに変換される前の気持ちを感じていきたいし、今後そうなっていく気がしています。
●リリース情報
AliA
「あいことば」
配信中
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■mora
通常/配信リンクはこちら
ハイレゾ/配信リンクはこちら
品番:PCSP-05240
<収録楽曲>
M1. あいことば
作詞:TKT 作曲:EREN
M2. あいことば TV size ver.
●作品情報
『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』
AT-X 10月6日より 毎週金曜 22:30~(リピート放送:毎週火曜日10:30~11:00
毎週木曜日16:30~17:00)
TOKYO MX 10月6日より 毎週 金 曜 25:35~
BS11 10月6日より 毎週金曜 27:00~
サンテレビ 10月7日より 毎週土曜 25:30~
KBS京都 10月7日より 毎週土曜 25:30~
配信情報
dアニメストア、Lemino 10月6日(金)より毎週金曜 23:00~その他サイトも順次配信中
※放送・配信日時は番組編成の都合等により変更となる場合がございます。
<あらすじ>
加島龍斗(リュート)は冴えない陰キャ男子、もちろん16年彼女ナシ。
そんなリュートの憧れは、白河月愛(ルナ)。学年一の美少女ギャルで、恋愛経験も豊富
遠くから見ているだけで十分だと思っていたけれど……、なんと付き合うことに!?
恋愛経験ゼロの陰キャ男子と経験済みなギャル、住む世界が違いすぎる二人が織りなす
凸凹だけど、ピュアでリアルでドキドキがつまった極上青春ラブストーリー。
【スタッフ】
原作:長岡 マキ子『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』(ファンタジア文庫刊)
キャラクター原案:magako
監督:大庭 秀昭
シリーズ構成:福田 裕子
キャラクターデザイン:伊藤 陽祐
美術監督・美術設定:宮田 遥可
色彩設計:山上 愛子
撮影監督:板倉 あゆみ・山本 雄介
オフライン編集:小口 理菜
音響監督:高寺 たけし
音響効果:風間 結花
音楽:羽岡 佳
音楽制作:ポニーキャニオン
音響制作:グロービジョン
アニメーション制作:ENGI
製作:キミゼロ製作委員会
OPテーマ:内田真礼「ラブ・ユー・テンダー!」
EDテーマ:AliA「あいことば」
【キャスト】
加島龍斗:花江夏樹
白河月愛:大西沙織
黒瀬海愛:古賀 葵
山名 笑琉:福原綾香
仁志名 蓮:阪口大助
伊地知 祐輔:落合福嗣
谷北 朱璃:楠木ともり
関家柊吾:前野智昭
KEN:KUN
©長岡マキ子・magako/KADOKAWA/キミゼロ製作委員会
関連リンク
AliA
公式サイト
http://www.alialive.jp/
公式X
https://twitter.com/AliA___official
公式YouTubechannel
https://www.youtube.com/channel/UCQypWrxGTZVMP1aKd7GO45w
『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』公式サイト
https://kimizero.com/
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