ももいろクローバーZの高城れにが、私立恵比寿中学、たこやきレインボー、超特急など、勢いのある妹分・弟分ユニットに対し、「最近、ももクロの妹分、弟分とか言っているグループもいますが、私は認めていません」と発言し話題となっている。
 また、リーダーの百田夏菜子も、妹分グループを「直接交渉に来ていない」「非公認」と切り捨て、玉井詩織、佐々木彩夏も同調した。



 その発言は、「ももクロもまだそんな立場じゃないだろ」など非難の声もあがった一方、ファンの間では"プロレス"的なエンターテインメントとして受け止められている。

 しかし、この発言は"プロレス"などではなく、ガチなんじゃないか、という可能性が出てきた。

 というのも、ももクロVS妹分・弟分とまったく同じ構図の争いが、彼女らを支える大人たちの間でも勃発したのだ。

 その発端となったのは、ももクロやエビ中らが所属するスターダストプロモーション芸能3部のトップである「理事長」こと藤下リョウジ氏のツイート。7月1日、ももいろクローバーZの代表曲である『行くぜっ!怪盗少女』の作曲家、ヒャダインこと前山田健一氏との会食の写真を自身のツイッターアカウントにアップしたことだった。
 そのツイートでは「Z」ポーズをするヒャダインの写真に「前山田さんと打ち合わせの後お食事。
まぁあれだよね、もうそろそろいいんじゃないの?」とのコメントをつけており、長らく噂されていたヒャダインとももクロの確執の雪解けが暗示されていた。

 2010年の『行くぜっ!怪盗少女』以来、蜜月が続いてきたヒャダインとももクロ運営だったが、その確執が表に出てきたのは13年。
 アルバム『5TH DIMENSION』の制作が発表される時に、ヒャダインが「ももクロ、アルバム出るんですね。参加させてもらえるのかしらん。最近連絡無いからなあ」「最近頻繁に「ももクロに新曲を書いて」ていうリプ来ますが、曲の発注はレコード会社の権限ですから、俺に直訴されてもどうしようもないです」とツイート。

 結果、そのアルバムにはすでにシングル発売されていた曲も含め2曲に関わることになるのだが、発売後には、「『進化』てことでサウンドもただ小難しくしただけで、大切な芯を失ったアルバムだと思いました。
面白味がない、というか・・。まあ、売れるんでしょうけど・・」と作品の内容について批判するようなコメントをツイートし、それ以降ヒャダインはももクロに楽曲提供を行っていない。

 そんな状況のなか、いよいよ和解へと向かいだすかと思われたのもつかの間、ももいろクローバーZのプロデューサーである川上アキラ氏が理事長のツイートに噛み付いた。

「あの時の現場の事をわからない人間がつぶやく。ももクロを守るためなら俺は身内の人間もゆるさない」
「いや、タレント守るためなら 悪いけどモノノフさんにも伝えないごめんね」
「はい、目に見えているものすべてももクロです 今も昔もこれからも。僕は書きたいこと書かせてもらっています、今も昔もこれからも」
「曲はみんなで作ってます。
曲に罪はありません」

 以上のつぶやきをツイッターに連続投稿。川上氏は海外出張中のはずなのだが、驚くばかりの素早い反応だった。

 この川上氏のつぶやきを皮切りに、彼と距離の近いスタッフも次々とツイートを開始。
 まず、ももクロの所属するレコード会社・キングレコードのスタッフである宮本純乃介が「許せません、いつかキッチリ清算されることでしょう」「THIS IS A WAR!」と投稿。
 さらに、ももクロの衣装を数多く手がけるスタイリスト米村弘光氏も「あの時の涙はもう見たくない...。 俺は。
。。」と、これまた意味深なつぶやきをツイッターに残した。

 こうした大人たちの対立構造がもともとくすぶっており、冒頭に紹介したメンバーの「妹分・弟分を認めていない」発言は、実はそれを反映したものだったのではないかと言われている。
 つまり、ヒャダインを切りたい川上氏と、川上氏が関係を断ったあともエビ中や超特急、たこやきレインボーといったグループでヒャダインに楽曲制作を依頼し続けている藤下氏との間で路線対立があり、川上氏がももクロメンバーにふきこんだのではないかという見方だ。

 それにしても不可解なのは、川上氏のキレぶりだ。藤下氏はももクロが所属する事務所、スターダストプロモーションの芸能3部のトップというだけでなく、社内全体で見てもNo.3の地位にいる人物であり、川上氏にとっては上司にあたる。

 そんな人物に対して、「現場を知らない」呼ばわりし「許さない」と言い放ち、あげくツイートを削除させるとは......。
 それだけ川上氏の力がスターダスト内で強まっているのか。あるいは上司にも楯突くくらいヒャダインとの間でのよっぽど許せない何かがあったのか。川上氏のあまりの拒絶ぶりに、ネットでは「ヒャダインはメンバーに手を出したのか」とまで言われている。
 しかし、であれば、さすがに理事長が他のアイドルグループでもヒャダインを使うわけもなく、そんなことはあり得ないだろう。

 関係者の間では、楽曲の方向性など、制作面でのイニシアチブをめぐって対立があり、両者の関係が修復不可能になったのではと言われている。

 実際、川上氏は「楽曲はみんなで作ったものです。曲に罪はありません」と、ヒャダインの功績ではないと言わんばかりのツイートを残している。

 しかし、いずれにしても、もしその結果メンバーに、川上氏が妹分・弟分グループへの批判を言わせているとしたら、それは完全に私物化だろう。実際、すでにヒャダインを切ったことで、ファンの間で楽曲に対する不満は根強い。これ以上、川上氏がももクロを、自分の対立構造に巻き込むようなことがあれば、ももクロそのものの存在が危うくなってしまうのではないか。心配である。
(新田 樹)