そんなマー君に黙っていないのが、一部のアイドルファンたち。次々といろいろなアイドルたちと絡んでいくマー君に、ネットでは「マー君の糞DD化ほんとなんなの。許すな」「最強に節操ないドルオタだな」「ももクロと絡んでほしくない。DDはAKBに行っとけ」などと、厳しい言葉を浴びせられているのだ。
ところが、これらの批判に対し、マー君は年明け、なぜか「東京スポーツ」に登場し、こう反論したのである。
「みんないろいろ言ってますけど、いろいろなアイドルが好きで、何が悪いんだって思ってますからね。スポーツ選手でも、みんなチーム関係なく、どの選手が好きだなんだって言うじゃないですか」
プロ野球では、「楽天も好きだけどソフトバンクも日ハムも好き」というファンってあまりいないような気もするが、とにかくグループに限定されない"壮大なアイドル愛"ゆえのDDということらしい。
しかし、これには納得できないアイドルファンも少なくないようだ。アイドルに詳しいライターはこう話す。
「マー君はいろんなグループを"アイドル"として一括りにしていますが、そもそもそれが間違い。表面だけ見れば、確かに若い女の子が歌って踊っているという点で同じですが、各グループのコンセプトはまったく違う。アイドルファンはその違いをしっかり認識して、好きなグループを選んでいるわけです。アイドルファンに言わせれば、マー君は何も解ってない、ただの"若い女の子好き"なんですよ」
たとえば、AKB48の場合は「会いに行けるアイドル」というコンセプトでスタートしており、とくに握手会に重きを置いている。境真良『アイドル国富論 聖子・明菜の時代からAKB・ももクロ時代までを解く』(東洋経済新報社)では、AKB48のこのコンセプトについて、以下のように解説している。
「一対一で握手という身体接触コミュニケーション機会を持てることの印象力は強く、また、さらに『常連』になって自分を認知してもらえるなら、自己承認欲求としても強い満足を得られるでしょう。これはメンバーとファンとの強い関係性を構築する上で鍵となる重要戦略です」
マー君は、握手会に参加することなく、主にコンサートなどを楽しむタイプのアイドルファンだが、本来のコンセプトを考えると、これではAKB48を十分に楽しむことはできていないということになる。だからこそ、足繁くAKB48の握手会に通っているAKBファンにしてみれば、「マー君は何も解っていない」ということになるのかもしれない。
一方、ももいろクローバーZはというと、プロレス要素を取り入れたり、ロックバンドと積極的に絡んだりして、それまでアイドルに興味がなかった層を取り込んで大きくなっていった。そんなももクロについて『アイドル国富論』では、「プロダクションのムチャ振りとアイドルの頑張りの間に生まれるドキュメンタリー映画のようなドラマの過剰性を持っています」と分析。"接触"を重視するAKB48とはまったく異なるコンセプトだということがわかる。
そして、モーニング娘。
AKB48、ももクロ、モーニング娘。という代表的な3つのアイドルグループのコンセプトを比べてみたが、ご覧のようにまったくの別物。それを"アイドル"として一括りにするマー君に、アイドルファンが異議を唱えるのも納得できるような気もする。
しかし一方で、「アイドルオタがただ単に上から目線でDDをバカにしてるだけでは?」という声も。アイドルファンの生態に迫った岡田康宏『アイドルのいる暮らし』(ポット出版)では、かなり気合の入ったDDとしてネット上でも有名なアイドルファンの"ガリバー"氏が、「クソDD」などと呼ばれてしまうことについて、こう話している。
「専オタの方が偉い。忠誠心が大切。DDになるのは愛情が足りないから。
つまり、DD批判はアイドルオタの優越感、差別意識、嫉妬心......そういうものから出ているという一面もあるらしい。
ただ、マー君の場合は単なるアイドルファンではなく、完全に"関係者"になっていることも批判される大きな要因といえる。前出のアイドルライターはこう話す。
「マー君は、関係者としてコンサートに入って、しかも公演後にメンバーたちと一緒に記念撮影したり、食事をしたりと完全なVIP扱いを受けている。アイドルファンから猛烈な嫉妬を受けるのは当然ですね」
さらに、「そもそもマー君は本当にアイドルファンなのか?」という疑問まで浮上しているという。
「マー君は単純にコンサートを観に行っているだけでなく、もはや出演している。つまり、マー君にとって"自分がアイドルファンである"ということがすでにビジネスになっているんですよ。ももクロにしても、AKB48にしても、マー君がファンでいてくれるということは大きな宣伝材料ですから、アイドル側もマー君を積極的に利用します。さらにいえば、奥さんは元ハロー!プロジェクトの里田まいですし、とにかくマー君はいろんなアイドルとの利害関係がありすぎる。
マー君が"アイドル仕事"でどれだけのギャラをもらっているかわからないが、アイドルファンが払った金が、実はマー君の懐に入り込んでいた、ということも十分に考えられる。もし、本当にマー君がビジネスとしてアイドルファンを名乗っているなら、もはやマー君はアイドルファンから金を巻き上げる敵ということにもなりかねないのだ。
状況的にはアイドルファンの域を完全に超えてしまっているマー君。いずれにせよ、"アイドルファン"を自称する限りは、こだわりの強い"アイドルオタ"から批判され続けることとなりそうだ。
(田中ヒロナ)