『グッとラック!』番組HPより


 ホリエモンこと堀江貴文氏がマスク着用をめぐってトラブルになった餃子店をSNSで攻撃、店が休業に追い込まれた問題。本サイトでも5日にこの問題を取り上げ堀江氏を批判したが、その記事に対して、意外な人物が反応してきた。

ロンドンブーツ1号2号田村淳が、5日の本サイトの記事をリツイートして、以下のようなツイートを連投したのだ。

〈literaさんテレビを見ただけで都合の良いところだけを抜粋して記事を書く…きちんと取材してるメディアだと思っていましたが残念です。是非、発言の切り取りだけでなくコストをかけて取材したものを読者に届けてあげてください。
テレビの感想文、憶測記事、切り取り記事は読み手に不利益。〉

〈リテラさん(@litera_web )
取材したいのであれば時間を作りますので連絡をください。取材を受ける条件として、こちらも取材の様子をYouTubeで撮影させてください。

リテラで記事が出たあとの1週間後にこちらは動画配信致します。ご納得頂ければ吉本興業まで連絡して下さい。お待ちしております。〉

 5日の本サイトの該当記事は、堀江氏と餃子店のトラブルと餃子店に対するSNS攻撃の経緯を振り返った上で、このトラブルの本質はマスク着用というコロナ下における感染防止策をとる店に対する堀江氏の悪質なイチャモンであると批判したもの。

 また記事のなかでは、この堀江イチャモン問題を取り上げた『グッとラック!』(TBS)にも触れ、10月改編期でレギュラーになったロンブー田村淳の発言を紹介し、問題を矮小化、店側に責任転嫁していると指摘した。

 記事の該当箇所は以下のようなものだった。

〈新レギュラーとなったロンブーの田村淳にいたっては餃子店について「ホリエモン慣れしてない」「辛辣なコメントをバンバン発しますから。恫喝しているように思うかもしれないな」などとまるでホリエモンに不慣れな店側の被害妄想か過剰反応かのように、問題を矮小化した。〉

 これを淳は「都合のいいところを抜粋しただけ」「切り取り」などとし、「コストをかけて取材しろ」などといってきたのだ。

 いったい何を言っているのだろうか。一気に反論をまくし立てたいところだが、まず、冷静に、本サイトの記事が本当に淳の言うように「切り取り」なのかどうかを読者に判断できるよう、1日の『グッとラック!』における淳の堀江氏トラブルに関する当該発言の全体を紹介しよう。

 番組では、堀江氏、餃子店店主の主張をそれぞれインタビューで紹介。

さらにフリップを使って、マスク着用をめぐる店頭でのやりとりについて、堀江氏、餃子店、それぞれの主張を左右に並べて、食い違いを解説。これらの経緯解説を受けスタジオで議論がなされたのだが、そのなかでMCの立川志らくが、“堀江氏の言い分もわかるがまずマスクを用意すべき”、“自分の落語会で同じことがあれば出てけと言う”などと堀江氏を批判する発言をしたのに続いて、淳が発言した。

「ぼくはホリエモンさん、交流あるんで、わかるんです。言ってること、ほんと合理的だし、ぼくも飲食店がマスクを過剰にしてくれというのは、やっぱり食べるときにはマスクとるわけだから、その、あまり過剰にやれっていうのも、どうかなと思ってる派なんですよ。ただ、お店のルールとして、『してください』なんだったらしなきゃいけない。ぼくは『してください』というところは、します。

飲食店、で、食べるときだけ外して食べて、またするようにしてますよ。面倒くさい、なんでこんなことさせるんだと思うけど。
 ただ、お店の側の意見と、ホリエモンさんの意見が食い違っているのは、ぼくが間に入ったら、全然仲裁できることです。ただ、入りたくないですけど、面倒。ただ、行き違っているのは、ホリエモン慣れしていないんですよ。ホリエモンってドラえもんからきた愛称じゃないですか。
で、ホワンとしたキャラクターなのかって思わせるんですけど、そうじゃないですから。辛辣なコメントで合理的な、端的なコメント、バンバン発しますから。だから恫喝しているように思うのかもしれないけど、実際、ぼくはホリエモンさんって冷静な男だと思ってて。
 なんだったら、ぼくが六本木で喧嘩していたことがあったんですよ。二世のギターリスト、ギターリストの二世が『俺の親父、誰だと思ってるんだ』みたいなケンカが始まっちゃって、『いや親の名前借りて、おまえケンカするのか』みたいなやりとりを、ホリエモンさんに仲裁してもらったことがあるんですよ。
 だからそのときも冷静だったんで。
こんなふうにとらえたのは、やっぱお店の人が、理屈というか、ロジックでしっかりしたもので、バーっと来たときに、面倒くさいって思ったのかなーと思って。そういうときに、僕みたいなクッション材があれば、全然、お互いの言い分をちゃんと吸収して、パンと解決できるんですけどね」
「(堀江氏の付き人やったらと言われ)それはもう神経すり減りますから」
「YouTubeやってるからね、ホリエモンさんも。仲違いしたんであれば、仲が深まるところまで、YouTubeで追っかけて欲しいなと思いますけどね」

 いかがだろう。本サイトの指摘は、淳の発言主旨を捻じ曲げる悪質な切り取りだろうか。

 たとえば、淳が「ホリエモン慣れしていないのだから、堀江さんが気をつけないと」と言っていたのに「ホリエモン慣れしていない」の部分だけを本サイトが抜き出し、問題を矮小化、餃子店に責任転嫁としていたのなら、意図を捻じ曲げたことになる。しかし、淳ははっきりとこう言っているのだ。

「行き違っているのは、ホリエモン慣れしていないんですよ」
「辛辣なコメントで合理的な、端的なコメント、バンバン発しますから。だから恫喝しているように思うのかもしれないけど、実際、ぼくはホリエモンさんって冷静な男だと思ってる」
「こんなふうにとらえたのは、やっぱお店の人が、(ホリエモンの)理屈というか、ロジックでしっかりしたもので、バーっと来たときに、面倒くさいって思ったのかなーと思って」

 明らかに行き違いが起きたのは店側の受け取り方の問題で、矮小化し店側に責任転嫁しているではないか。

 いや、それどころか、淳の発言全体をあらためて見ると、本サイトの元記事で引用した発言よりももっと明確に、一方的にホリエモンを擁護し、店側を貶めていることがよくわかる。

 言っておくが、どちらが声を荒げたかについては、双方の主張は異なっており、現時点で客観的証拠もなく、どちらが声を荒げたのか、あるいはどちらも声を荒げていたのかなどは、不明だ(仮に店主側が先に声を荒げていたとしても、堀江氏側に瑕疵があるのは変わらないが)。

 にもかかわらず、淳は、堀江氏は「合理的」「冷静」などと擁護し、その際のクレームも「ロジックでしっかりしたもの」と評価。つまり、堀江氏のしっかりした冷静な論理を店側が受け止められなかったと、一方的に推測しているのである。これでは、まるで店側が論理を理解できなかった、感情的だったと言っているのと変わらない。

 このほかには、志らくが“仮に自分が正しいとしても自分のSNSをきっかけに店が被害を受けているのだから謝るべき”と言ったのに対し、同調するふうに「結果、特定できちゃったわけですからね、カンタンに」という発言があり、これが唯一、堀江氏を諌めていると取れなくもない。しかし、これにしても、堀江氏が〈●●(市名)の●●(文字の種類)から始まる名前の某餃子店。〉と、店を特定できる形でSNSに投稿していたにもかかわらず、わざわざ「結果」と言う言葉をさしはさみ、ネット民が餃子店を特定できたのは結果的にそうなっただけというように誘導しているのだ。

 本サイトの既報でも指摘したが、そもそもこのトラブルの原因は、『グッとラック!』や淳が言っているような、“双方の行き違い”などにあるわけではない。声を荒げたのがどちらかとか口調や態度がどうだったかなどの些細な部分に違いがあるだけで、トラブルの本質に関しては、堀江氏の最初の主張、店主のブログでの反論、この『グッとラック!』での双方のインタビュー、すべてで一致している。

 それは、店側が「マスク着用でないと入店できない」と説明しているのに対し、マスク未着用者が1名いる堀江氏一行が「どの状態までマスクをしないといけないのか」と質問をしていたことだ。

 その時点でマスクを着けていない者がいるのだから、「どの状態まで」という質問はおかしいだろう。少なくともまずマスクを用意してから話をするべきだ。しかもこの餃子店のそばには薬局もあるのだから、買おうと思えばすぐにでも買いに行けたはずだ。それはせず、「どの状態までマスクをしないといけないのか」と質問するなど、文脈無視のイチャモンとしか言いようがない。

 しかも、マスク未着用のうえ、「どの状態までマスクをしないといけないのか」と質問してくる時点で、その人物が「マスクの着用は最低限にしたい」「極力マスクをしたくない」と考えていることは明白なわけだから、「マスクを外すのは最低限にしてほしい」「極力マスクを外さないでほしい」と考えている店が、危険性を察知して入店を断るのは当たり前の話だ。

 ところが、淳はこの本質に蓋をして「行き違い」などと矮小化。それどころか、「極力マスクをしたくない」という主張をこう擁護していたのだ。

「ぼくはホリエモンさん、交流あるんで、わかるんです。言ってること、ほんと合理的だし、ぼくも飲食店がマスクを過剰にしてくれというのは、やっぱり食べるときにはマスクとるわけだから、その、あまり過剰にやれっていうのも、どうかなと思ってる派」
「どうせ食べるときにはマスクとるわけだから、あまり過剰にやれっていうのも、どうかな」

 あらためて説明しておくが、マスクが感染拡大防止に一定程度有効であることは、世界中の学者や専門機関がすでに指摘していることだ。反マスクのトランプ支持者の集会の地では感染者が増加している一方、民主党地盤の州ではマスク推奨で新規感染率が低下、またほとんどの参加者がマスクを着用しているBlack Lives Matterデモではあれだけの大人数が集まっていてもクラスターが発生していない、というアメリカの例を見ても、マスクの有効性はよくわかる。

 そして、飲食店がほかの場所や施設以上にマスク着用を求めるのは当たり前の話だろう。

 なぜなら飲食の場がいまの日本で感染経路の最大の原因のひとつとなっているからだ。ホリエモンや淳は「どうせ食べるときに外すから」などと飲食店でマスク着用を求めることを過剰だと主張しているが、この考えじたいコロナ感染の実態や防止策に対する認識が欠如している。

 飲食の場で感染が広がっているひとつの原因は、食べるときにマスクを外すため、外したまま会話してしまうからだ。

 つまり、食べるときにマスクを外すからこそ、飲食店ではその状態を最低限にするよう気をつけなくてはいけない。そして、店側は、食べるときマスクを外すからこそ、ふだんきちんとマスクを着け感染に気を配っている客に来店してもらいたいと考える。

 クラスターが発生すれば、飲食店は一定期間休業せざるを得ず、場合によっては廃業の可能性すらある。多くの飲食店はそのリスクと隣り合わせで、必死でコロナ対策をして自衛しているのだ。自衛といっても、別に店側のスタッフや家族だけを守っているという意味ではなく、訪れている客のことも感染から守っているのだ。

 ところが、堀江氏も淳も、そんな基本的なことすらわかっていない。たとえば、堀江氏は自身の講演会でマスク着用を求めていることを突っ込まれると、〈会場で飲食は想定してないんですけど笑〉(10月4日)と述べていたが、講演で飲食できる場合はマスクを求めるつもりはないらしい。

「食べるときにはマスクとるわけだから」と言った淳も同様だ。飲食店でマスクを不要とする主張が、感染防止への効果の問題とは関係なく、自分の快・不快や手間を基準とした話でしかないことをまったく自覚していない。

 しかも、淳はそうした感染対策への基本理解を欠いたまま、倒錯した主張をする堀江氏のことを「合理的」「しっかりとしたロジック」などと擁護したのだ。これは新型コロナ感染にかんする間違った認識を広め、感染防止を努力する飲食店に抑圧や攻撃を生み出しかねないものだ。あらためて強く批判しておきたい。

 しかし、淳についてはもうひとつ、強く反論・抗議しておきたいことがある。それは、淳が本サイトに対して、テレビを見るだけでなく取材しろ、などと言っていることだ。

 開いた口が塞がらない。テレビでの発言を批判・論評するのに、なぜ取材しないといけないのか。

 これが、飲み会などプライベートな場で言っていたらしいというような不確かな話であれば確認する必要はあるかもしれない。しかし、公の場、それもテレビ地上波で生放送された報道・情報番組での発言だ。あの放送が、フェイク動画だったとでもいうのか。

 放送された部分しか見ていないのは、本サイトもすべての視聴者も同じだ。それで真意と違う伝わり方をした、言い足りなかった部分があるというなら、まず自身の責任において『グッとラック!』内で釈明の時間を設けるなり、自身のYouTubeチャンネルで説明するなりすべきだ。それを、本サイトに取材しに来いなど、図々しいにもほどがある。

 そもそも、公に放送されているものを批評しただけの本サイトに取材を求めるなら、もっと取材が必要なのは、淳のほうだろう。なぜなら、淳はホリエモンと餃子店のやりとりについて直接見ていないにもかかわらず、堀江氏のしっかりとしたロジックを店側がきちんと受け止められなかったかのように、発言しているからだ。

 淳は本サイトに取材に来いなどと言っているが、ようするに「発言を記事にするなら取材しろ」と言うことで、自身の発言に対する批判を封じ込めようとしているだけなのだ。

 あたらためて言っておくが、公の場での発言への批評に本人取材など必要ない。公の発言まで本人取材なく記事にしてはいけないなどというこんな論理がまかり通れば、政治家や芸能人が問題発言・失言しても、取材拒否やノーコメントを押し通せば記事にできなくなる。政治家も芸能人もその社会的影響力関係なく言いたい放題で、逆にその発言に対する一切の批判は許されないことになる。

 近年、政治家も芸能人も、お抱え記者やお抱えメディアによる公式取材のみを絶対的に正しいもののように扱う風潮が強いが、それらは批判や検証が皆無の単なる広報・PRだ。淳の言っていることは、「本人への取材」というあたかも良心的な言葉を盾にした、批判封じでしかない。

  しかも、繰り返すが、淳の今回の発言は『グッとラック!』という報道・情報番組内でのレギュラーコメンテーターとしての発言だ。報道に携わっている以上、単なる芸能人以上にその発言内容が論評や批判に晒されるのは当然である。そこでの発言を批判や論評の対象にされたくないというのであれば、一刻も早く『グッとラック!』のレギュラーなど降板するべきだ。

 久々に地上波の情報番組のレギュラーの椅子を手にした淳だが、だったらまず言論にかかわる者としての自覚を持つべきだろう。