
■2つの大ヒット作品が人生を変えた
圧倒的な存在感で見る者を魅了してきた小栗旬。もっとも多忙な時期には、映画4本・ドラマ3本に出演しながら舞台の主演、ラジオ、雑誌取材やバラエティー出演...と、多忙なスケジュールをこなした。
当時小栗は、密着を受けた「情熱大陸」の中であまりの多忙ぶりに苛立ちも覗かせている。だが意外にも、その「情熱大陸」の映像を「今でも本当にときどき、見返すこともあります」という。林先生が「どんな時に振り返るんですか?」と尋ねると、「ちょっと自分に元気がない時とかですね。あれを見ると『こいつ頑張ってるな!』と思うので」と打ち明けた。
第一線を走り続けてきた小栗だが、過去には迷いもあった。
ドラマ「GTO」(1998年)でいじめを受ける吉川のぼるを演じて話題になった後、壁にぶつかった。2001年、シベリアの漁師の元にホームステイした「世界ウルルン滞在記」では、小栗がホストファミリーに「(仕事を)辞めようかと思っていて。合わない世界なんじゃないかなって」と打ち明ける映像が残っている。
だがその後、ドラマ「花より男子」、映画「クローズZERO」と立て続けに大ヒット作品に出演し、一気にスター俳優に。「(「クローズZERO」)以降は強い役をいただくようになりましたね」と振り返り、林先生が「役者さんにとっては、1つの役がその後の運命を変えることもあるんですね」と問いかけると、「『クローズZERO』という作品で自分の人生も変わったんだろうなと感じます」としみじみうなずいた。
■「あれはちょっとしんどかった」
そんな小栗が「自分の中でもものすごく高いハードルだった。全部やりきった時に燃え尽きた感じになっちゃって...」と語ったのが、2007年に上演された主演舞台「カリギュラ」。
この作品で小栗は、台本155ページに及ぶ難解かつ膨大なセリフを覚えながら、演出家・蜷川幸雄のレベルの高い要求に応え続けた。この挑戦が小栗の俳優としての評価をさらに高めた一方で、心身を削るように暴君カリギュラを演じる小栗自身の心には、ある異変が起きていた。
「毎晩舞台が終わった後、本当に短剣で自分を刺して自分の人生が終わる夢をいつも見るんですよ。あれはちょっとしんどかったです。それから数年はどうしてもエンジンがかからないというか」「悩んでる時間はけっこうありましたね」
だがそのトンネルを抜け出すきっかけをくれたのも、俳優という仕事だった。林先生の「その状況からどう立ち直られたんですか?」の質問に、小栗は「だんだんオファーがくる役が青年からちょっと大人の役に変わっていく、そこにまた面白みを見つけることができてきて、それでまたやる気が出てきたという感じでした」と率直に語った。
■小栗旬が語った「制作現場への思い」
小栗の役作りはストイックだ。「いただいた役に対して、どういう体形をしているんだろうっていうことを最初に考える」といい、10キロ以上の減量も行う。セリフは事前に覚え、台本は現場に持ち込まない。
その情熱ゆえ、若い頃には俳優仲間と熱い演技論をかわすこともあったという。
そんな小栗だから、制作現場への思いも人一倍強い。「今、(制作にかかわる)みんなが夢を見にくくなっていることが正直言って一番つらい」と語り、「最低でも自分の現場だけは変えていきたい。最低賃金の底上げをしていきたい。そうすれば、夢を持って入ってきた人たちが思う存分仕事ができる」と、今後のビジョンも明かした。
そして最後は「(芸術やエンタメの)灯は常にともし続けなければいけないなと思います。少しでもそういうことを感じられる人の数を増やしていきたい」と自身の思いも語り、インタビューを締めくくった。
インタビューでは、影響を受けたという2人の大物俳優、香川照之そして吉田鋼太郎とのエピソードも登場。小栗旬が俳優人生のすべてをさらけ出した内容に、視聴者からも「小栗旬さん、考え方もすごくかっこいい」「小栗旬さんのエンタメに対する思いに触れて、涙が出た」と熱い感想が飛び交っていた。
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「日曜日の初耳学」はTVerで放送から1週間、見逃し配信中! 小栗旬が自身の俳優人生について率直に語った<インタビュアー林修>をもう一度チェック!
【TVer】
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【公式YouTubeチャンネル】
次回の「日曜日の初耳学」は10月10日(日)放送。ミュージカル界のトップスター・市村正親が登場!林先生のインタビューに答え、役者魂や子育てについて語る。このほか、女性に人気の「新機能スニーカー」に注目するコーナーも送る。
「日曜日の初耳学」はMBS/TBS系で毎週日曜よる10時放送。