医師免許を取って初期研修を終えたあと、直接、美容医療に進むいわゆる“直美”。こうした医師が今増えています。

直美が増えることで、普段けがをしたり病気になったときにお世話になる「保険診療」の人材が不足し、日本で“医療崩壊”の危機が起こりかけているという指摘もあります。

医師はなぜ“直美”を選んだのか?どんな思いでどんな働き方をしているのか?“直美”の医師たちの実態を取材しました。

(MBSテレビ「ガチの門」2025年8月24日の放送内容を記事化しています)

「外見を変えるだけで人生が前向きに」 ある”直美”の思い

「バーキン買うなら豊胸しろ」のフレーズで知られる大手美容外科。真新しい白衣の袖に腕を通したのは、春に入職したばかりだという26歳の若手医師。いわゆる“直美”です。

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(2025年4月入職・蕨野真生医師)
「大学の後半くらいから肌トラブルとかを抱えていて、そのときに美容医療のお世話になって。外見を変えるだけで、おおげさに言えば人生全体が前向きになるという経験をした。そういった意味で魅力を感じました」

2年間の初期研修を終えた後、一般的な内科や外科など保険診療が主体となる診療科での勤務を経験せずに、美容医療の道に飛び込む医師=“直美”。このクリニックのグループ全体では、今年新たに5人“直美”の医師が採用されました。

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(東京美容外科・麻生泰統括院長)
東京大学医学部卒とか、東京医科歯科大学(現・東京科学大学)卒とか、普通では採れないような人材が僕らの業界に流れてきて。クリニックの発展を考えたときに優秀な人材を採れるなら採っておこうというのが、僕の経営者としての目線」

2022年に国が行った調査では、“直美”の医師は全国で198人。10年で約12倍に増加しています。

出迎えてくれた院長『クマ取り施術』でダウンタイム中…

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東京・日本橋に24年にオープンした美容クリニックの院長・石田雄太郎さんです。

(MK CLINIC・日本橋院・院長・石田雄太郎医師)
「(Q赤いじゅうたんで、すごく高級感ありますね)当院はバラをイメージしているので、この色になっていますね」

石田さんは2年間の初期研修を終えた後、2023年に大手美容クリニックに就職。

それからわずか1年で開業に至りました。丁寧でスピーディーな施術を心がけているといい、1日に100人が訪れることも。

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(石田雄太郎医師)「技術には自信があるので。『安くてうまくてはやい』みたいな、“吉野家”的な。手術時間も短い方が感染のリスクとかも下がりますし、患者さんのダウンタイムの時間も減るから、なるべく早く終わらせてあげたい」

「小児科志望」→”直美”に… 進路を変えた背景に『下積み生活』

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実は石田さん、大学在学中は「小児科志望」でした。しかし、初期研修の際に大学病院の過酷な労働環境や厳しい上下関係などを目の当たりにして、考えが変わったといいます。

(石田雄太郎医師)「最初の数年、長ければ5年くらいは、本当に下積み生活というか。医者じゃなくてもできるような仕事、書類管理とか。奴隷のように扱われることもありますから、どうしてもメンタルが病んでしまって、辞めていった先輩・同級生もいっぱい見てきたので」

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一方、美容医療の世界では“自由”を感じたそうです。大学病院で目にした膨大な事務作業やしがらみのようなものはなく、『実践的な経験をより早く、より効率的に積むことができる』と石田さんは語ります。若くしてメスを握る“直美”の医師に対しては、技量不足などを指摘する声もありますが・・・

(石田雄太郎医師)「保険診療に進んでもテキトーに仕事をしていれば、それはクオリティーの低い医者ですからね。どれだけ症例を積んでいるか、どれだけ努力しているか。若いうちからいろいろな症例に触れて、患者さんを1人でも幸せにできるなら、美容医療を最初からやるのも選択肢としては間違っていない」

最初から美容医療一筋 自身の”美”にも妥協なし!

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悩んだ末に“直美”となった医師もいれば、「最初から美容医療一筋」の医師もいます。

大阪の美容クリニックで院長を務める木家佑理子さん。

(RIVER CLINIC・大阪院・院長・木家佑理子医師)
「中学生ぐらいから美容・ファッションとかメイクとかにすごく目覚めて。美容外科医以外は正直本当に考えたことがないぐらい」

美容外科医になるために医学部に進みました。他の選択肢を考えたことはありません。

(木家佑理子医師)「あご下に拘縮(引きつるような状態)が出ていますね。これはもう絶対1か月後に出てくるので。2~3ヶ月で治ってくるので、ご安心ください」

(患者)「下を向けば二重あごになるから、ちょっと上向くのが癖になっていたんですよ。それがあごを下ろしても生活できるようになりました。感動しました」(木家佑理子医師)「患者さまに喜んでいただくのが一番のやりがい」

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自らの美に対しても妥協はありません。

(木家佑理子医師)「これは鶏肉ですね、ダイエットご飯。(Q常に美しくいるために?)(私は)コンビニ食が食べられないので。食べると肌荒れしちゃうんで」

『定時出勤・定時退勤』の毎日 退勤後は推し活仲間と焼肉へ

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この日、あわせて5件の診察とオペをこなした木家さん。午後7時までにすべての仕事を終えました。ほぼ毎日、定時出勤・定時退勤だといいます。

この日は、同じK-POPアイドルが好きで知り合ったという推し活仲間と焼き肉へ。

時には我慢せずに食べる。メリハリの効いた生活も、美の秘訣なのでしょうか。

(木家佑理子医師)「オンとオフがはっきりしているので。仕事を頑張れるのは、こうやってご飯に行ける時間があったり、推し活ができたり。すごく充実はしています」

整ったワークライフバランスの中で、たしかな働きがいを感じながらキラキラと輝く“直美”。さらに、キラキラを極める“直美”がいました。

「美容整形は“転生”」 自身に約5000万円かけた医師

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訪れたのは、東京都内のタワーマンション。

出迎えてくれたのは、2つの美容クリニックを経営する辻大成さん。美容整形のことを“転生”と呼んでいる辻さん。脂肪吸引などが得意分野だといいます。賃貸物件だといいますが、こちらのリビングはおよそ1000万円かけて“転生”させました。

(TokyoTenseiClinic・統括院長・辻大成医師)
「(Qこの壁はどうなっているんですか?)偽物の葉っぱなんですけどマリモみたいな、苔みたいなものが生い茂っているような感じですね」

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もちろん、自らも“転生”しています。

(辻大成医師)「(Q先生ご自身もかなり小顔だなって思っていて)脂肪吸引も3回くらいやっているし、骨切りもやっているし、この間フェイスリフトっていう切開リフトもやったし、糸リフトも100回くらいやっているし、ひと通りの整形は経験しているような感じですね」

新たな施術は「すべて自分の身体で試す」という辻さん。美容整形に投じた金額は約5000万円にのぼるといいます。

(辻大成医師)「自分で経験して『いいな』と思うからこそお客さまにその素晴らしさも伝えられるし、『レーシックいいですよ』と言っている眼科医が眼鏡なんてかけていたら何の説得力もない。それに近いものがあるんじゃないかな」

美容クリニックは『戦国時代』に突入! 破産するクリニックも…

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自宅同様、スタイリッシュな内装が目を引く辻さんのクリニック。11月には大阪・梅田にも進出予定で、経営は順調そのものだといいます。しかし・・・

(辻大成医師)「(新たに)できるクリニックの数だけ畳むクリニックもたくさんあるし、友達のクリニックが潰れちゃったというのはよくある話なので」

“直美”の医師が急増する中で、業界内での競争も激化。“戦国時代”に突入しているというのです。そこで力を入れているのが・・・

(辻大成医師)「僕も骨切りやっていますが、すでにここの神経が死んで感覚が全くありません。たらこパスタとかを食べると、口の下がプラネタリウムみたいになってしまったり」

SNS戦略です。自身の経験も交えながら、積極的に発信しています。

本業は“SNSおじさん”?「24時間プライベートささげている」

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(辻大成医師)「どこを見てお客さまが『このドクターにしたい』と思うかというと、先生の人となりだったり、しゃべっている雰囲気だったり」

インスタグラムのフォロワー数は20万人を突破。来院する人のうち、95%がSNSを見てやってくるといいます。

(辻大成医師)「“僕の本業って何だっけ?”“SNSおじさんだっけ?”って思うぐらい、オペをやっている以外はずっとSNSのことを考えているので、そういった意味では自由時間・休み時間はほとんどないので、ラクそうに見えて意外と24時間プライベートをささげている。

大変っちゃ大変かもしれないですね」

※肩書や年齢などは取材当時のものです。

(2025年8月24日放送 MBSテレビ「今田・橋下とニュースショー ガチの門!!~不条理のシンソウSP~ 」より)

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