医師免許を取得して間もない若手医師が、美容医療業界に早期参入する”直美”。10年で約12倍に増加したことで、業界内での競争も激化しています。

一方で、「保険診療」の世界では人手不足が深刻化し、医療崩壊を危惧する声も出ています。

そこで今回は大学病院の救急科で働く若手医師 に密着。見えてきたのは「保険診療」で働く医師の過酷な労働の実態でした。

(MBSテレビ「ガチの門」2025年8月24日の放送内容を記事化しています)

保険診療のド真ん中 27歳救急医の毎日

27時間勤務の救急医「すべてを忘れて…遠くに出かけたい」 急...の画像はこちら >>

北海道生まれ、岩手育ちの佐藤さん。岩手医科大学医学部を卒業したあと、2年間の初期研修を終え、去年から高度救命救急センターで働き始めました。保険診療のド真ん中に身を置いています。

出勤して最初の業務は、患者のカルテチェック。しかしすぐに着信音が鳴ります。

(岩手医科大学附属病院 救急科・佐藤莉和医師)「はい、佐藤です。あと何分くらいですか?5分くらいですかスズメバチに刺された人がヘリで来るみたいなので」

出勤してからわずか30分、屋外でスズメバチに刺された女性がドクターヘリで運ばれてくると連絡が入ったのです。

回診しようとしても…鳴り止まない着信音

27時間勤務の救急医「すべてを忘れて…遠くに出かけたい」 急増する“直美”の影で保険診療の医師流出「特定の科の医師に大きな負担」指摘する声も【ガチの門】
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搬送されてきた女性は腕の痛みと呼吸の苦しさを訴えます。

処置を施すと、女性が訴えていた呼吸苦は落ち着きました。運ばれてくる患者の容態を瞬時に見極め、初期対応にあたるのが救急医の役割です。

ひと仕事終えて戻ってきた佐藤さん。

中断した回診に戻ろうとしましたが、その直後にもまた着信がありました。今度はけが人が搬送されてくることになったため、回診を再び取り止めて処置室に戻ります。

(佐藤莉和医師)「今痛み大丈夫ですか?もうちょっとで終わりますからね」

仕事中に手にけがをしたという男性の傷口を、慣れた手つきで縫合していきます。

ランチタイムはわずか2分 夫お手製のお弁当を置き患者のもとに

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昼休憩の時間になり、取り出したのは手作りのお弁当です。実は新婚の佐藤さん。薬剤師として働く夫が、毎日作ってくれています。

(佐藤莉和医師)「(Q味はどうですか?)すごくおいしいです。餃子を私も作ってあげようと思って作ったことがあったんですけど、丸焦げにして。料理はセンスないみたいで。(Qもう終わりですか?)一旦、ちょっと口に入れて先に回診しちゃいます」

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ランチタイムはたったの2分。容態が安定しない高齢の入院患者のもとに向かいました。家族に治療の状況を伝えます。

(佐藤莉和医師)「より苦しくないように、楽にするお薬はずっと持続で入っていたので」

人の”死”が常にそばに 救急医としての責任と覚悟 

仕事は患者への対応だけではありません。合間を縫って、研修中の医学生に検査の方法を指導します。

指導を終えると、また電話が鳴り響きました。

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つい先ほど、様子を見に行ったばかりの入院患者の呼吸が突然止まったのです。

人の死が、常にそこにある過酷な現場。そんな救急科で働く、責任と覚悟。

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(佐藤莉和医師)「患者さんが亡くなったときに、もっと何かしてあげられたんじゃないかなって気持ちにはなるんですけど。今もなんだろう、もっと何かなかったかなって」

夕方に昼食のお弁当で腹ごしらえ 翌朝までの当直へ

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午後5時前、救急科全体で日中の救急車対応について情報を共有した佐藤さん。

(佐藤莉和医師)「(Q勤務は終わりですか?)きょうはこれから当直があって、17時からあすの朝8時半まで救急車対応をします」

なんと、ここからさらに病院に泊まり込み、翌朝まで働くというのです。長い夜を前に、6時間前に食べきれなかった夫の手作り弁当で腹ごしらえです。少しだけ、弱音も・・・

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(佐藤莉和医師)「やっぱり忙しいのが続くと『ちょっと疲れたな』というときはありますね。すべてを忘れて電話も置いて、どっか遠くに出かけたいな。ハワイとか。行ったことないけど」

長時間労働になりがち「救急科」仕事の魅力を伝えるには…

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当直勤務が始まると、今度は学会に向けた準備に取り掛かります。この日佐藤さんが取り組んでいたテーマは、くしくも「東北の救急医不足」でした。長時間労働になりがちで、避けられる傾向が強いという救急科。

仕事の魅力を研修医たちにどう発信するべきかと頭を悩ませています。

(佐藤莉和医師)「いいアイデアが思い浮かぶまでちょっと考えたり、どうしても無理だったらベッドでゴロゴロします」
(着信音)「♪」
(佐藤莉和医師)「あ、来ちゃった。はい、佐藤です」

昼夜を問わず運ばれる患者 労働時間19時間を超えても…

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昼夜を問わず運ばれてくる患者たち。こちらの女性は腹部の痛みを訴えていました。

(佐藤莉和医師)「右と左どっちが痛い?」
(患者)「どっちも痛い」
(佐藤莉和医師)「子宮筋腫の破裂疑いで」

たとえ専門外の病気でも、他の科の医師と連携しながら対応します。

結局すべての処置が終わったのは、日付をまたいだ午前3時半。この時点で労働時間は19時間をこえていました。

帰路についたのは勤務開始から27時間後…

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(佐藤莉和医師)「おはようございます」
(佐藤莉和医師)「(Qいつもと比べて忙しさは?)いつもと同じくらいかなと。そこまで多くもなく少なくもなく」

これが救急科の“普通”なのです。そのまま患者の回診に向かいます。

(佐藤莉和医師)「おはようございます。胸の音、聞きますね」

勤務開始から27時間、ようやく帰路につきました。ただ、これで勤務が完全に終わりというわけではありません。午後5時までは自宅で「オンコール待機」。

呼び出しがかかれば、すぐに病院に戻らなくてはいけないのです。

(佐藤莉和医師)「ここに置いていると気が休まらないので、微妙に見えないところに置いています。テレビの音とかちょっとした家庭の音とかも電話の音に聞こえたりとかするので、基本的に緊張感はあるのかなと」

”過酷”な働き方 そばで支える夫は「体調が心配」

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愛情弁当で支える夫は、その働き方を心配しています。

(佐藤医師の夫・佐藤隆治さん)「家に帰ってきてからもいろいろ治療法とか、薬のことを調べて勉強していたり。休めていないのかなと思って、体調は心配」

一方で、佐藤さんは・・・

(佐藤莉和医師)「岩手県のもっと医師が少ない地域で働くことも考えていて、地域の皆さんに安心してもらえるような医師になりたい」

保険診療は佐藤さんのような医師たちの使命感によって、ギリギリ、なんとか保てているのが現実なのかもしれません。

※年齢や肩書は取材当時のものです。

(2025年8月24日放送 MBSテレビ「今田・橋下とニュースショー ガチの門!!~不条理のシンソウSP~ 」より)

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