子どものアレルギー疾患に悩む保護者は少なくありません。

「昔より食物アレルギーが増えている気がする」「早くから特定の食べ物を食べさせても大丈夫?」「噂で聞いたアレルギー予防法は本当?」など、インターネットやSNS上にはさまざまな情報があふれていて、何が正しい知識なのか判断に迷う場面も多いと思います。

今回も、小児科医の岡本光宏医師にインタビュー。保護者が抱く率直な疑問や噂の真相について詳しく話を聞きました。

最新のアレルギー診療の動向から、ちまたでささやかれる噂の検証、そしてアレルギーの連鎖を断ち切るための具体的な予防法とは?

東京都で食物アレルギーに「ブレーキ」がかかった理由

「動物園に行くとアレルギーになりにくい」気になる噂の真相は?...の画像はこちら >>

近年、食物アレルギーに悩む子どもが増えている印象を受ける人は多いのではないでしょうか。岡本医師は「東京都などの3歳の食物アレルギーは少し横ばいになったという報告もあったのですが、日本全体で見るとやはり食物アレルギーは増えている」と指摘します。

では、なぜ東京都など一部の地域では「横ばい」という変化が見られるのでしょうか。

その背景について岡本医師は、「都会では正しい情報に対してアプローチが早いということ。そして、正しい食物アレルギー診療、進化したアレルギー診療が始まった結果、食物アレルギーの増え方に少しブレーキがかかってきているのではないか」と説明しました。

かつては「アレルギーが心配な食品はなるべく遅く与える」という指導が主流でしたが、現在では「医師の管理のもと、適切な時期から安全に摂取を始める」方が発症予防につながるという研究結果が示されています。

こうした正しい知識や経口負荷試験などの適切な診療体制が広まることで、アレルギーの増加抑制に成果が出始めているのではないかといいます。

「赤ちゃんの頃に動物園へ行くとアレルギーになりにくい」噂の真相は?

「動物園に行くとアレルギーになりにくい」気になる噂の真相は?食物アレルギーが増えていない気になる地域とは?育児のギモンを小児科医に聞いてみた 【ぼちぼち子育て】
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一見すると都市伝説のようにも思えるこの噂ですが、岡本医師は、「これは歴史的な背景も含めるとなかなか面白い噂」だとしたうえで、こうした噂が生まれた経緯を教えてくれました。

(岡本医師)「ほこりやダニのアレルギーは汚い環境で育っている人たちの方が少ないのではないかという『衛星仮説』という仮説があります。近年、ほこりなどに対してアレルギー性鼻炎を持っている患者さんが増えている理由が、家が少しきれいになり過ぎている、衛生的な環境になり過ぎた結果ではないかというものです」

動物園めぐる噂の背景にある『衛生仮説』とは?

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要するに、清潔すぎる環境で育つと免疫系が適切な刺激を受けず、結果としてアレルギー性鼻炎などのアレルギー反応を起こしやすくなるという考え方です。

このため、こうした「部屋が汚い方がアレルギーが少なくなるのではないかという仮説」がほこりや動物の毛が舞う動物園に行けばアレルギーになりにくくなるという考えにつながったのではないかというのです。

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岡本医師によると、牧場に住んでいる人たちは動物アレルギーの人が少ないというデータは存在するとのこと。ただ、それは住んでいた場合の話で、たとえば月に1回動物園に行く程度では、「アレルギーはおそらく減るとは言えない」ということです。

動物園は、あくまでレクリエーションとして楽しむ場所だといえそうです。

ペットを飼うとアレルギーになりにくい?交錯する研究データ

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では、「赤ちゃんの頃から犬や猫などのペットを飼っていると、ペットアレルギーを発症しにくいのか」と思う人もいるかもしれません。これについては研究者の間でも意見やデータが割れているのが実態です。

岡本医師は、「犬なのか猫など動物の種類や、掃除の頻度やシャンプーする頻度など、複数の要素が噛み合っていて、どこまでそのペットの曝露を受ければアレルギーが減るのかというのが分かっていません」と指摘。「現状ではペットアレルギーを減らしたいから赤ちゃんの時から飼いましょうというような提言はできない」と説明してくれました。

アレルギーでよく聞く「コップ理論」は誤解?

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では、ここで気になるのが、アレルギーのメカニズムです。花粉症では体内に蓄積された花粉の量が許容量を超えると突然発症するという『コップ理論』というものがあります。食物アレルギーではどうなのでしょうか。

(岡本医師)「食物アレルギーを発症する人は1回目に食べたときに発症します。2回目、3回目で出てくるということは、むしろレアなケースです」

食物アレルギーにおいては「食べ過ぎてたまったからあふれ出た」のではなく、多くの場合、初めて摂取した段階で免疫系が反応して発症します。同様に、加齢とともに発症する花粉症に関しても「蓄積限界を超えたから」という科学的根拠は認められていないということです。

不確かな噂や「コップの蓄積説」といった誤った知識に振り回されることなく、気になる症状がある場合は自己判断を避け、早めに信頼できる小児科やアレルギー科の専門医に相談することが大切だといえそうです。

MBSは皆さんの育児を応援する情報をお伝えします!

【ぼちぼち子育て】
核家族化や地域のつながりの希薄化によって、現代の子育ては「孤独」を感じやすいと言われています。

今回MBSでは母親でもある2人の記者が子育てをするなかで、ふと感じた疑問や不安について情報発信する「ぼちぼち子育て」というコーナーを企画しました。


スマホを片手に“孤育て”をしているパパやママに少しでも役立つ情報を届けるとともに、悩んでいるのはあなただけではないということを呼びかけたいと考えたからです。

医師など専門職に聞くほどではないけれど、気になる…という育児に関する疑問や不安を募集します。「なんだか不安…」「〇〇という噂があるけど本当?」そんな疑問や不安をぜひMBSの「ぼちぼち子育て」の担当者にお寄せください。【お問い合わせはYouTubeの概要欄から】

▼解説
岡本光宏医師(おかもと小児科・アレルギー科院長。新生児から思春期の心の疾患まで幅広く診察している。3児の父)

▼記者
・横田舞(大阪府警クラブなどの担当を経て、現在WEB配信担当。5月に育休復帰し、1歳の女の子を育てる母親でもある。実は大学時代は化学を専攻した理系記者。ネット上にあふれる子育て情報の“エビデンス”が気になりながらも、よく『検索沼』にはまっている)

・岡山友美(事件や医療などの担当記者を経て、昨年からMBSのWEB配信を担当。2020年コロナ禍に長男を出産し、スマホを片手に“孤育て”を経験。神経質になりすぎた長男の育児を反省する一方、次男の育児についてはおおらかすぎるのでは?と悩んでいる)

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