育児にも奮闘中のアナウンサーや記者が、子育てのリアルな疑問を深掘りする「ぼちぼち子育て」。今回のテーマは子育てをするために大切なポイントとなる「産後の夫婦関係②」です。

前回の記事では、産後に配偶者やパートナーへの愛情が下がってしまう現象の背景について学びました。

今回も臨床心理学が専門で、カップルの改善支援に取り組む立命館大学の三田村仰教授を迎え、こうした状況がエスカレートし、深刻な危機に陥ってしまう構造について学ぶとともに、危機を未然に防ぐ方法を考えます。

溝を深める悪循環「追及・撤退パターン」と「地蔵」化

離婚は予測できる?破局に向かう“別れの四重奏”を知って予防を...の画像はこちら >>

子どもの誕生をきっかけに夫婦関係が危機に陥る「産後危機(産後クライシス)」―。どのようにして引き起こされるものなのでしょうか。

三田村教授はまず、コミュニケーション不全に陥る構造について、「追及と撤退のパターンがある」と説明します。

追及する側を「矛」、撤退側を「盾」や「地蔵」になぞらえたうえで、次のように説明しました。

離婚は予測できる?破局に向かう“別れの四重奏”を知って予防を!カギを握る「夫婦の健康寿命」とは…『産後クライシス』実態を心理学の専門家に聞いてみた【ぼちぼち子育て・産後の夫婦関係②】
MBS

(三田村教授)
「矛が相手の心を開こうと刺しに行くのですが、地蔵の立場からすると、家に帰るたびに攻撃されるわけですから、非常に危険な状態に感じます。当然、自分が壊れてしまっては困るので、最強の盾を構えて、矛が一切刺さないようにガードします。そうすると、追う側は『なぜ刺さらないのか、もっと心を開け』と、さらに強く刺そうとするのです」

双方が「相手がそうするから自分もこうせざるを得ない」という悪循環に陥り、互いに心を閉ざした完全撤退(地蔵)の状態になると、そこからの再構築は極めて困難になると警告しました。

科学的にも実証…破局へ向かう「別れの四重奏」とは

離婚は予測できる?破局に向かう“別れの四重奏”を知って予防を!カギを握る「夫婦の健康寿命」とは…『産後クライシス』実態を心理学の専門家に聞いてみた【ぼちぼち子育て・産後の夫婦関係②】
MBS

一方、心理学の世界では、将来的に離婚に至るリスクを予測できるといいます。

手法は、夫婦間の折り合いがつかない問題についての議論を分析すること。その中で「別れの四重奏」と名付けた4つの行動を注意深く見ていくということです。

離婚は予測できる?破局に向かう“別れの四重奏”を知って予防を!カギを握る「夫婦の健康寿命」とは…『産後クライシス』実態を心理学の専門家に聞いてみた【ぼちぼち子育て・産後の夫婦関係②】
MBS

【別れの四重奏】
批判:「なんでこれができていないの?」といった人格否定を伴う追及
防衛:「こっちだって忙しい」とまともに取り合わない姿勢
軽蔑:相手を見下し、ため息やジェスチャー、からかうような態度を取ること
地蔵:完全に心を閉ざして無反応になる撤退状態

三田村教授によると、日常会話の中でこれら4つの行動が頻繁に見られるカップルは、数年後に破局に至る可能性が極めて高いということです。

良好なパートナーシップ育む『夫婦の健康寿命』とは?

離婚は予測できる?破局に向かう“別れの四重奏”を知って予防を!カギを握る「夫婦の健康寿命」とは…『産後クライシス』実態を心理学の専門家に聞いてみた【ぼちぼち子育て・産後の夫婦関係②】
MBS

友人など他の夫婦やカップルを見て、「いつも仲が良くていいな」と思ったことがある人もいるかもしれませんが、うまくいっている夫婦やカップルが特別な人格者というわけではありません。問題や衝突そのものは、どのような夫婦・カップルにも存在しているといいます。

三田村教授によると、差が生まれるのは「喧嘩の仕方」。互いの不満やイライラを安全に共有できる環境があるかどうかだということです。

離婚は予測できる?破局に向かう“別れの四重奏”を知って予防を!カギを握る「夫婦の健康寿命」とは…『産後クライシス』実態を心理学の専門家に聞いてみた【ぼちぼち子育て・産後の夫婦関係②】
MBS

では、どのようにすれば、長期的に良好なパートナーシップを維持できるのでしょうか。三田村教授は、「夫婦の健康寿命」という概念を提案し、日頃からのケアが大切だと話します。

(三田村教授)
「健康寿命を長期的に維持するためには、日々の運動や食事、歯磨きのように、毎日の適切なケアが不可欠です。しかし、結婚して忙しくなり、赤ちゃんのお世話やお金のことで手一杯になると、『あなたの話を聞いている暇はない』といった状態になり、パートナーシップがおざなりになってしまいます。これを防ぐためには、歯を磨いたり、時間を取ってストレッチをしたりするのと同じように、2人の関係性をどれだけ大切にし、価値を置くかという意識改革が求められているのです」

子育て中の多忙な時期だからこそ、互いに手間やコストをかけてでも対話の時間を確保し、第三者の専門機関やカウンセリングなども活用しながら、安全に本音を伝え合える関係性を築いていくことが求められているといえそうです。

MBSは皆さんの育児を応援する情報をお伝えします!

離婚は予測できる?破局に向かう“別れの四重奏”を知って予防を!カギを握る「夫婦の健康寿命」とは…『産後クライシス』実態を心理学の専門家に聞いてみた【ぼちぼち子育て・産後の夫婦関係②】

【ぼちぼち子育て】
核家族化や地域のつながりの希薄化によって、現代の子育ては「孤独」を感じやすいと言われています。
今回MBSでは、母親でもある2人の記者が子育てをするなかで、ふと感じた疑問や不安について情報発信する「ぼちぼち子育て」というコーナーを企画しました。
スマホを片手に“孤育て”をしているパパやママに少しでも役立つ情報を届けていきます。
悩んでいるのはあなただけではありません。肩の力を抜いて、一緒に「ぼちぼち」子育てをしていきましょう!

離婚は予測できる?破局に向かう“別れの四重奏”を知って予防を!カギを握る「夫婦の健康寿命」とは…『産後クライシス』実態を心理学の専門家に聞いてみた【ぼちぼち子育て・産後の夫婦関係②】

▼解説
三田村仰さん(立命館大学総合心理学部教授、臨床心理士、多くのカップルの関係改善に向けた取り組みを支援)

▼記者・アナウンサー
・大村浩士(MBSアナウンサーとしてスポーツ中継やMBSベースボールパークなどを担当。

子どもが生まれたばかりの新米パパでもある。育児と夫婦生活のリアルに直面中。果たして我が家は無事に“産後”を乗り越えられるのか――。)

・岡山友美(事件や医療などの担当記者を経て、昨年からMBSのWEB配信を担当。2020年コロナ禍に長男を出産し、スマホを片手に“孤育て”を経験。神経質になりすぎた長男の育児を反省する一方、次男の育児についてはおおらかすぎるのでは?と悩んでいる)

編集部おすすめ