コーレ株式会社が「2025年最新・企業の生成AI利用実態」に関する調査の結果を発表しました。生成AIがどのように利用されているかを探り、さらには「AIは既存の人間の職を奪うか」という点にも切り込んだ内容となっています。
【目次】
今回の調査は1,002人を対象とし、2024年12月27日(金)~12月28日(土)に実施されました。企業の管理職やマネージャー層などのビジネスリーダー(2名以上の企業に所属)であると答えたモニターから回答を得ています(モニター提供元:PRIZMAリサーチ)。回答者が勤めている企業は「プライム上場企業」も「未上場・非上場の中小企業」も多く、多岐にわたっています。
回答者が勤めている企業について「最も当てはまるもの」を尋ねる質問プライム上場企業34.8%未上場・非上場の中小企業30.7%スタンダード上場企業12.2%未上場・非上場の大規模企業11.4%グロース上場企業4.8%上記以外での上場企業3.6%未上場・非上場のスタートアップ企業2.5%
「どの部署で生成AIを利用していますか?(複数回答可)」という質問では、「システム開発・ITサポート」という回答が最も多く、38.2%でした。「デザイン」という答えは21.2%となっています。
一方で「どのような業務に生成AIを利用していますか?(複数回答可)」という質問では「文書作成」という回答が最も多く、47.7%です。注目すべきことに「設計・デザイン・画像・動画作成」という回答も30.3%ありました。
デザインの部署での生成AIの利用が21.2%にとどまっていることを踏まえると、生成AIを利用した「設計・デザイン・画像・動画作成」の業務が、「デザインの部署以外」でも行われていることが読み取れます。その割合は少なくとも9.1%(30.3マイナス21.2)には達すると考えることができ、個人的にはかなり高い印象を受けました。
そのメリットを金額に換算した場合、「トータルでどれくらいの効果を実感したか」を探る質問では「500万~1,000万円未満」との回答が最多で25.8%でした。次に多い回答は「100万~500万円未満」で20.6%となっています。金額が最も大きい「10億円以上」という項目にも4.2%が該当しています。この質問での回答者の母数は608人であるため、「10億円以上」と答えた人は約25.5人です。
さらに、「自分の管轄部門で今以上に生成AIを使いこなせるようになったら、人員を削減したいと思いますか?」という直接的な質問でも、「人員を削減したい(とてもそう思う/ややそう思う)」という回答がかなり多いことが読み取れます。
これら2つの質問・回答で、業種別のグラフが示されていますが、ここでの各業種の母数はあまりにも少なすぎるため「このグラフに業種ごとの傾向が示されている」と考えるのは、いささか性急すぎるでしょう。全体で見たときに「まったくそう思わない(まったく人員削減したいとは思わない)」という回答が、グラフのデータ上では608人中の約12人(11.984人)のみであることは注目に値すると思います。
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善悪の判断は抜きにして、筆者は個人的に、近年のデザインというジャンルは専門性が低下している、あるいは極端に二極化しているような印象を受けています。ポジティブに表現するならば「誰でも気軽にデザインにチャレンジできるようになった時代」ということであり、ネガティブに表現するならば「テキトーなデザインが巷に大量にあふれるようになった時代」です。
その理由の1つには、間違いなく「AI」の影響もあるでしょう。今回の調査は決してデザインという分野に特化したものではありませんでしたが、前述した筆者の個人的な思いの裏付けとなるような側面もあり、非常に興味深い内容でした。
念のため再度の繰り返しではありますが、そのような時代の流れが必ずしも「良いこと」「悪いこと」とは言い切れません。あくまでも「何らかの大きな変化の時代を迎えたのは間違いない」ということです。
●出典:コーレ株式会社 「2025年最新・企業の生成AIの利用実態」に関する調査
https://co-r-e.net/request/2025aiuseresearchdata/
コーレ株式会社
URL:https://co-r-e.net/
2025/01/27
【目次】
管理職・マネージャー層を対象とした調査
今回の調査を実施したコーレ株式会社は、「AIとビジネスをつなぐAIコネクティブカンパニー」を掲げる企業です。デザイナーとエンジニアが中心となってチームを構成し、生成AIを核とした事業を展開しています。もともとはデジタルマーケティングやデザインから始まった組織で、事業開発代理店(新規事業開発コンサルティング)を経て、現在のスタイルを確立しました。
回答者が勤めている企業について「最も当てはまるもの」を尋ねる質問プライム上場企業34.8%未上場・非上場の中小企業30.7%スタンダード上場企業12.2%未上場・非上場の大規模企業11.4%グロース上場企業4.8%上記以外での上場企業3.6%未上場・非上場のスタートアップ企業2.5%
デザインや画像・動画作成などでの利用率は30.3%
本調査では、まず「どの部署で生成AIを利用しているか」「どのような業務に生成AIを利用しているか」が探られていますが、非常に面白い結果となっています。これらの質問への回答者はアンケート対象の中でも「生成AIを業務で利用している」と答えた人たちで、その数は608人です。「どの部署で生成AIを利用していますか?(複数回答可)」という質問では、「システム開発・ITサポート」という回答が最も多く、38.2%でした。「デザイン」という答えは21.2%となっています。
一方で「どのような業務に生成AIを利用していますか?(複数回答可)」という質問では「文書作成」という回答が最も多く、47.7%です。注目すべきことに「設計・デザイン・画像・動画作成」という回答も30.3%ありました。

生成AIのメリットを金額に換算すると?
次に、業務に生成AIを導入することでのメリットと、その効果にまつわる項目を見ていきます。「生成AIを業務に導入してどのようなメリットがありましたか?(複数回答可)」という質問では、「業務の効率化(52.3%)」「品質や精度の向上(33.7%)」「人件費や運用コストの削減(30.4%)」といった回答が上位だったようです。そのメリットを金額に換算した場合、「トータルでどれくらいの効果を実感したか」を探る質問では「500万~1,000万円未満」との回答が最多で25.8%でした。次に多い回答は「100万~500万円未満」で20.6%となっています。金額が最も大きい「10億円以上」という項目にも4.2%が該当しています。この質問での回答者の母数は608人であるため、「10億円以上」と答えた人は約25.5人です。

人間はAIに仕事を奪われる? クリエイティブなら安泰?
これだけ高いメリットを感じている人が存在するならば、気になるのは「この先、人間の仕事はAIに奪われることになるのか?」という点でしょう。今回の調査では、生成AIを業務で利用していると回答した “管理層” の人たちが「AIでいいや(人間に頼まなくていいや)」と感じたことがかなり多い傾向も示されています。

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善悪の判断は抜きにして、筆者は個人的に、近年のデザインというジャンルは専門性が低下している、あるいは極端に二極化しているような印象を受けています。ポジティブに表現するならば「誰でも気軽にデザインにチャレンジできるようになった時代」ということであり、ネガティブに表現するならば「テキトーなデザインが巷に大量にあふれるようになった時代」です。
その理由の1つには、間違いなく「AI」の影響もあるでしょう。今回の調査は決してデザインという分野に特化したものではありませんでしたが、前述した筆者の個人的な思いの裏付けとなるような側面もあり、非常に興味深い内容でした。
念のため再度の繰り返しではありますが、そのような時代の流れが必ずしも「良いこと」「悪いこと」とは言い切れません。あくまでも「何らかの大きな変化の時代を迎えたのは間違いない」ということです。
●出典:コーレ株式会社 「2025年最新・企業の生成AIの利用実態」に関する調査
https://co-r-e.net/request/2025aiuseresearchdata/
コーレ株式会社
URL:https://co-r-e.net/
2025/01/27

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