【モデルプレス=2025/08/28】中日ドラゴンズの上林誠知(うえばやし・せいじ)選手がモデルプレスのインタビューに応じた。移籍2年目となった今季は「20本塁打・20盗塁」に迫る大活躍で、チームに欠かせない存在となったが、本人は「数字として満足いってる部分は全然ない」と冷静に、さらなる高みを見据えている。


2023年にアキレス腱断裂の大けがを負い、その影響もあってソフトバンクから戦力外通告。そんなどん底を乗り越えて復活を遂げるに至ったマインド、そして夢を叶える秘訣を聞いた。

◆上林誠知選手、心境変化で大復活も「まだまだ伸びしろもたくさん」

― シーズンも佳境。これまでを振り返って。

今年は野球人生の分岐点と自分の中で定めていました。昨年移籍して新しいチームに入ったんですがあんまり噛み合わず。ただ、30歳になったということもありますし、今年は自分の中で気持ちの部分で変えたことはありましたし、キャンプからずっと自分を信じてやってきて、それが結果として現れていると思います。だけど、数字として満足いってる部分は全然ないです。久しぶりにずっと出ていて、その割にはよくやってる方かなと。

― 怪我を乗り越え、さらなる成長が見えている?

大怪我をして苦労してきましたが、自分が復活して活躍している姿を見せたら、怪我をした人たちにも勇気を与えられると思ってます。自分の中でまだまだ全然可能性しか感じてない、まだまだ伸びしろもたくさんあると思っているんで、あと10年ぐらいできれば最高かなと。

― 「分岐点」に対して、どういう気持ちの変化がここまでの良い歩みに繋がっているのでしょうか?

今まではプライドが邪魔していた部分がたくさんありました。
基本的に完璧主義の部分があって自分に対して厳しすぎたので、そこはちょっと変えたところでもあります。あとは、今年に関しては気持ちの浮き沈みが少なく、すぐ切り替えられています。30歳というある意味大人の階段を上ったと思っているので、考え方も大人になってきたなって感じています。

◆ファンクラブは想いを伝える場に

― 今年は個人のファンクラブを開設。どんな意図があった?

ファンの皆さんからしたら、自分の普段のプレーや活動はニュースで知ると思うんですけど、実際どう思っているかっていうのは、そこから憶測するしかないと思うんです。そういった点で「自分はこう思っていました」と伝えられる場所があってもいいのかなと思い、ファンクラブを始めたというのもあります。

おそらくファンの皆さんは野球をしている姿しか知らないと思いますし、表情も変えないので
、謎が多いというか私生活が想像しにくいタイプの人間だと思うんです。なのでファンクラブでは、普段どういうことを考えているのかとか、こういう一面もあるんだよということを見せられればなと思っています。

― 他の選手とファンクラブの話をすることはある?

他の選手は(自分がファンクラブをやっていることを)知らない人が多いと思います。でも、SNSがこれだけ普及し、多様性の時代でもあるので、どんどん新しいことにチャレンジしていくのは人生においてすごく良いことだと思います。(ミーグラムでは)まだ野球選手が2人しかいないので、先駆者になって、今後こういう活動が広がっていけば良いなと思っています。

◆上林誠知選手の悲しみを乗り越えた方法

― モデルプレスの読者の中には今、さまざまな不安を抱えている読者がいます。
上林選手の「悲しみを乗り越えたエピソード」を教えてください。

自分の座右の銘は「運命を愛し、希望に生きる」という言葉です。高校時代の監督の好きな言葉で、自分も気に入っていて座右の銘にしています。自分に振りかかってきたことは全て受け入れて前向きに生きていこう、という意味だと思うのですが、自分はこの言葉に何回も救われてきました。

プロに入って今年で12年、前半の5年間は早い段階で良い思いをしたんですけど、後半5年間は地獄というか本当に苦しかったです。その中でも、とにかく自分を信じるということは常にやっていたことで、とにかく今起こっている出来事は全て自分が起こしてることだと全て受け入れて、自分を信じてやっていればいつかは絶対打開できるっていう気持ちでいました。

あとは『SLAM DUNK』の安西先生が言っていた「諦めたらそこで試合終了ですよ」、本当にその通りだと思います。諦めなければ絶対に光が待っているので、とにかく自分を信じることだと思います。

◆上林誠知選手の夢を叶える秘訣

― モデルプレス読者の中には、夢を追いかけている読者もたくさんいます。そんな読者に向けて上林選手の「夢を叶える秘訣」を教えてください。

自分は小学校の頃からプロ野球選手が夢だったんですけど、当時はただ漠然となりたいと思っていたんです。

が、中学1年生の時に読んだイチローさんの本には、イチローさんが小学生の時に書いた作文が載っていて「僕は365日中360日は激しい練習をしています」「これだけ練習しているんだから、絶対にプロ野球選手になれると思います」と。
そこで、「“プロ野球選手になりたい”じゃなくて“なる”って決めないとなれないんだ」と思い、そこから自分もぼんやりではなく、“プロ野球選手になる”と決めてやってきました。

例えば、水に沈められるとするじゃないですか。苦しいです。その時にはただただ空気を求めると思います。そういう気持ちが大事というか、必死に向かっていく姿勢があれば絶対にある程度の夢は叶うと思っています。

― ありがとうございました。

「運命を愛し、希望に生きる」――座右の銘を胸に、苦難の時代を乗り越えてきた上林選手。プロ入り12年目にしてなお、伸びしろしか感じていないという姿勢は、挑戦する者に勇気を与える。これからの10年で、どんな景色を見せてくれるのか。グラウンドに響く一打一打に、再生と希望の物語が刻まれていく。(modelpress編集部)

◆上林誠知(うえばやし・せいじ)選手プロフィール

1995年8月1日生まれ、埼玉県出身。2013年ドラフト4位でソフトバンクに入団。
2018年に22本塁打を記録するなど活躍。しかし、怪我に悩まされ、2023年オフにソフトバンクを戦力外に。2024年からは中日ドラゴンズに所属。2025年は、開幕からチームをけん引し、8年ぶり2度目のオールスターゲーム出場も果たした。

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