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2021年4月9日、ネットメディアが2つの番組の終了を報じた。一つはNHKの『クローズアップ現代+』(Webメディア・「インファクト」編集長による)。
『クローズアップ現代』は、NHKには権力に対し軟弱だと批判される番組もある中、番組終了を明かした報道局員が、(以下「インファクト」より引用)「クローズアップ現代は数年前に週1回に減らすように指示があり、それを現場が押し返した経緯が有る。今回の廃止に政治の圧力が有ったかどうかはわからないが、安倍政権、菅政権がこの番組を潰したがっておりNHKの中でそれに呼応するグループが有るのは事実。これまで抗ってきた現場が力尽きたという感じだ」(以上引用)と述べるように、特に権力監視に対し、真正面から、ぶつかっていったNHKの報道を支えると稀有な存在だった。
キャスターの武田真一アナウンサーの降板・異動に関しても、政府のCOVID-19対策に関し、自民党の二階幹事長に「政府の対策は十分なのか。更に手を打つことがあるとすれば何が必要か」と質問し、不愉快にさせたことによる忖度人事・左遷ではないかという憶測も飛び交っていたほどである。
1993年に始まり、他局の報道局員や新聞記者からも評価されていた番組が、もし『権力の干渉(に忖度して?)』で終わるという話が、ほんとうだとしたら実に惜しい限りだ。
一方のTBS『あさチャン!』はどうか。
[参考]NHK独占!国会中継こそ最高のエンタメ番組だ
民放の情報番組が成功するかどうかは、2つの点にかかっている。一つは、当たり前だがメインキャスターの力量だ。もう一つは記者や、スタジオの解説フリップの制作に当たる番組スタッフの教育育成である。キャスターは最初から力量を持っている人物をキャスティングするのが早道だ。だが、そんな人はなかなかいないし、ギャラも高い。
スタッフ育成には丁寧に時間をかけたい。
民放は「民営公共」という矛盾を含んだ存在である。
だから、スタッフ側、局側から早々に声をかけて『番組をやめてあげる』という選択も成り立つ。出演者は番組が失敗しても次の番組へ、と思う人もいるかも知れない。だが、ゲストでちょっと出る番組ならまだしも、俳優が本業はこれしかないと思っているドラマで、芸人が主戦場の笑いの番組で、キャスターがメインとなって自在に進行する情報報道番組で失敗するのは致命傷となる。立ち上がれない大きな傷を負い、数字が取れない出演者との烙印を押される。だから、そうなる前に番組を休止してあげる。それが自分が信じた出演者への優しさである。
夏目三久メインキャスターの『あさチャン!』は、どうだったのだろう。
編成局にはマーケティングを修めた統計の専門家もいるはずだ。2年ほどもデータが積み重なれば、今流行りの統計手法を駆使して未来の推測はできたはずである。
いずれにしても後継、もしくは続行の番組には「超然としてすべての権力の外に立って」ほしい。