※イメージ画像:『マンスリーよしもとPLUS 2012年3月号』ワニブックス

 およそ1,000人に1人程度しか売れっ子芸人になれないと言われているバラエティ界。現在、テレビで活躍している芸人やタレントたちは、賞レースで名を上げたり、ヒットギャグを世に送り出したり、自らブームの中心となり、そんな狭き門をくぐりぬけてきた猛者ばかりだ。

しかし、中にはなぜここまで第一線で活躍しているのか疑問に思うタレントがいるのも事実。特に一般の視聴者には、意味が分からないほどに不思議と活躍しているタレントというのが目に付くものだろう。そこで今回は、業界内で活躍する関係者たちも思わず首を捻ってしまうタレントについて話を聞いてみた。

 まず名前が挙がったのは、テンションの高い若手芸人の筆頭といえる巨大事務所のコンビだった。

吉村崇(33)と徳井健太(33)の平成ノブシコブシが売れているのは不思議です。大きな大会で実績があるわけでもありませんし、彼らの代名詞と呼べるギャグはありませんからね。

吉村の破天荒キャラもワキで音を鳴らす芸も中途半端な印象ですし、徳井に至っては飄々とした風貌と物怖じしない態度が独特ではありますが、それも大きなインパクトがあるものとは言えません。ちょうど彼らの出てきたタイミングが、若手芸人を売り出そうという業界全体の機運とマッチしたということなのではないでしょうか。運も才能のうちと言えば聞こえはいいですが…。しっかりとした芸を身につけなければ、今後出てくるに違いない新鮮な若手にアッサリと今の立場を奪われてしまうかもしれませんね」(バラエティ放送作家)

 また別の関係者は、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの人物の名を挙げる。

ビッグダディこと林下清志さん(49)ですね。いくらブレイク中とはいえ、はっきり言って僕の番組には呼びたくないですよ。

確かに彼の個性的な性格とこれまでの道のりは興味深いものなのかもしれませんが、特別な芸を持っているわけでもないですし、トークもイマイチで、しかもいちいち出番を作らなければ前に出てこないとなると…。もちろん、そんな素人感がウケているのでしょうが、そんな人をタレントとして起用しては、ほかのタレントさんたちに失礼ですよ。まあ、ビッグダディどうこうより、彼を起用している番組サイドに問題があるのかもしれませんね」(番組制作会社関係者)

 さらに、今年に入って新番組のレギュラーを3つも増やし、そのうち2つが冠番組という売れっ子の名前も挙がる。

「まさかここまで林修(48)さんが活躍するとは思いませんでしたね。一過性のものだとばかり考えていました。あの、妙に鼻につく喋りはテレビに向いてないと思ったんですが…。

バラエティに教養という側面をプラスした功績は大きかったのかもしれませんね。かといって、これほど彼が活躍するのは不思議ですよ。これまでにも文化人系のタレントさんは多くいましたし、林さんがその中でも抜群に個性的で面白いかといったら、そんなことはありませんからね。もっとスポットを浴びてもいい人はいるはずです。それでも売れているのは、本人のヤル気とやっぱり事務所の力が大きいからでしょうね。得てして文化人系のタレントさんはテレビに対してどこか斜に構えるところがありますが、林さんからはそういった印象を感じませんから。
それがここまで彼が売れた理由だと思います」(業界関係者)

 頭では売れている理由を理解しているが、なぜ売れているのか釈然としない思いを抱いている関係者たち。もちろん、これらの意見は彼らの個人的なものだが、関係者たちからも首を捻られるタレントたちの未来は果たして明るいのだろうか。そもそもタレントを目指していたわけでもなく、ひょんなことからタレント活動をしているビッグダディや林はともかく、芸人である平成ノブシコブシには、耳の痛い話だろう。どうにか奮起して、誰もが納得する芸人に成長してほしい。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/)
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)