【科目】介護✕ケアマネ  【テーマ】介護保険制度の仕組み

【目次】
  • 40歳以上から納める介護保険料
  • 要介護認定によって異なる支給限度額
  • 介護費用に関するさまざまな制度

ケアプランセンターはぴるす代表の大内田省治です。

介護は何の前触れもなく、突然やってきます。

私も母親を昨年看取りましたが、自分がケアマネージャーで良かったと感じています。

なぜなら、ケアマネージャーでなければ、介護保険制度や介護にかかる費用について何もわからなかったと思うからです。

今回は前提知識のない読者のために、介護保険制度と、介護費用について解説します。

40歳以上から納める介護保険料

まず、介護保険のサービスを利用するには、前提として介護保険料を納めている必要があります。

介護保険料は40歳以上から徴収が始まりますが、64歳までの方は「第2号被保険者」といって、給与支給のタイミングで社会保険料と一緒に天引きされます。

65歳以上の方は「第1号被保険者」といって、原則年金などから介護保険料が徴収されます。

年間の所得が18万円以上の方は「特別徴収」といって、年金などから天引きされますが、そうでない方は「普通徴収」といって、市区町村役場の窓口に保険料を納めに行く必要があります。

また、介護保険料も所得によって変わってきます。

例えば、生活保護受給者や老齢基礎年金しか収入のない方や、世帯として市民税非課税の方は保険料が減免されることがあります。

減免の基準については、各市町村が3年に1度策定する「市町村介護保険事業計画」で決まります。

要介護認定によって異なる支給限度額

それでは、介護保険サービスの利用手続きについて紹介します。

まず、要介護認定を受ける必要があります。これは誰でも申請可能で、本人・ご家族はもちろんのこと、地域の民生委員などでも申請することができます。

例えば、入院中の方であれば、病院の医療連携室にいるソーシャルワーカーやケアマネージャーが申請代行をすることがあります。

申請時には、介護保険被保険者証と要介護認定申請書が必要になります。本人・ご家族で申請されるときは、印鑑もご用意ください。

介護保険被保険者証については、65歳以上の方には自動的に交付されるようになっています。もし、保険証を失くした場合は再発行の申請書を別添すれば、要介護認定申請と再交付が同時にできますので、ご安心ください。

認定申請をすると、「認定調査」といって、身体の動きや認知機能など、74項目にわたる聞き取り調査が行われます。

それと同時に、各市町村介護保険窓口よりかかりつけ医に対して「主治医意見書」の様式が送付され、記入後に各市町村に送り返すといった手続きが取られます。

そのため、要介護認定の申請をする際は、まず主治医に相談しておくことが重要なポイントになります。

認定調査の結果と主治医意見書の結果を合わせて一次判定がなされ、それを基に介護認定審査会にて、二次判定が行われて最終的に要介護・要支援といった認定結果が届きます。

要介護・要支援には以下の7つの段階があり、それぞれの区分によって利用できる金額が異なります。

区分 心身の状態 支給限度額 利用者負担の目安 要支援1 社会的支援を部分的に必要とする状態 約50,320円 5,032円 要支援2 重い認知症などがなく、心身の状態も安定しており、社会的支援を必要とする状態 約105,310円 10,531円 要介護1 心身の状態が安定していないか、認知症などにより部分的な介護を必要とする状態 約167,650円 16,765円 要介護2 軽度の介護を必要とする状態 約197,050円 19,705円 要介護3 中度の介護を必要とする状態 約 270,480円 27,048円 要介護4 重度の介護を必要とする状態 約 309,380円 30,938円 要介護5 最重度の介護を必要とする状態 約362,170円 36,217円
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介護費用に関するさまざまな制度

基本的な負担額

介護保険のサービス利用料は、原則「1割負担」で利用できます。ただ、所得に応じて「2割負担」「3割負担」になる人もいます。

また、市町村によって地域単価率というものが定められており、東京や大阪といった都市部になると高くなり、地方になると低くなる傾向があります。

そのため、市町村によって介護保険の自己負担額が若干変化する場合があります。

介護費や医療費が高額になると軽減される制度

介護サービス費が高額になると、「高額介護サービス費」という制度で払い戻しが行われます。

具体的には、介護保険サービスを利用して、1ヵ月の利用者負担が世帯合計で一定の上限額を超えた場合、申請により超えた額を「高額介護サービス費」として支給する制度です。これも世帯所得に応じて支給額は異なり、世帯で複数のサービス利用者がいる場合でも、上限額の適用が異なります。

なお、福祉用具購入費や住宅改修費、施設での食費・居住費(滞在費)や日常生活費、介護保険給付以外のサービス(全額自己負担で利用した介護サービスなど)は高額介護(予防)サービス費の対象外となります。

上記のほかにも、以下のような制度があります。

高額医療合算介護(予防)サービス費 医療保険と介護保険の両方を利用し、1年間(8月から翌年7月までの期間)のそれぞれの自己負担額の合計額が、世帯の所得等に応じた一定の限度額を超えるとき、申請することで超えた金額が払い戻される制度です。
介護保険負担限度額認定制度 介護保険施設やショートステイ利用時の居住費・食費が安くなる制度です。生活保護受給者や老齢基礎年金受給者、市県民税非課税世帯などの年収が低い方が対象となり、「介護保険負担限度額認定証」を申請することで、居住費と食費が安くなります。 社会福祉法人による介護サービス利用者負担軽減制度 介護サービスの提供を行う社会福祉法人(当該事業を行う申し出を行ったものに限る)が、市民税非課税世帯の人のうち、収入や資産などが一定の要件を満たし、生計が困難な人に対して利用者負担の軽減を行う制度です。
介護にかかる費用はどのぐらい?介護保険制度の仕組みを知ろう
介護サービスの費用負担を軽減する制度

そのほか、市町村単位で「おむつ給付サービス」などお得に利用できる制度もあります。

実際に介護保険のサービスを利用するとなると、いろいろな不安が出てきます。そういったときは、地域のケアマネージャーに一度ご相談ください。

介護費用を減免できる制度を利用できれば、負担を軽減できるかもしれません。

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