【科目】介護✕在宅介護 【テーマ】医療機関に望まれる工夫
【目次】- 課題となる病院の待ち時間の長さ
- オンラインカンファレンスで患者家族とのコミュニケーションを図る
- 電子メールで食事メニューを報告する
介護作家・メディア評論家・「よしてよせての会」代表の奥村シンゴです。
介護者なら一度は経験したことがある「医療関係者とのトラブル」。
そうした経験と取材に加え、「よしてよせての会」に寄せられた意見を基に、医療関係者に改善していただきたい点をご紹介します。
課題となる病院の待ち時間の長さ
厚生労働省は、『2020年受療行動調査』で病院の受療状況や満足度などを調査しました。その中で、患者や家族が病院に対して不満に思っている項目で一番多かったのは、「診察までの待ち時間」で23.9%でした。
次いで「食事の内容」が13.6%、「病室・浴室・トイレ」が6.5%、「医師との対話」6.0%、「医師による診察・治療内容」5.5%と続きます。
私の祖母の場合は、頻繁に便秘になり一週間で3~4回ほど近所の消化器内科を受診していましたが、医師に浣腸を1回してもらうのに半日程度かかる日が何度もありました。
また、一般的に薬をもらい行くためだけに病院へ行かないといけない場合も多くあります。そんな場合でも毎回時間がかかると、大きな負担になってしまいます。
訪問看護を利用したい所ですが、要介護度1だった祖母は、デイサービス・ショートステイ・福祉用具レンタルといった介護保険サービスの利用ですぐ上限いっぱいとなり訪問看護を利用できませんでした。
解決策はやはりオンライン診療の普及です。政府や医師会は、早急にオンライン診療を整備する仕組みづくりを急ぐべきでしょう。
オンラインカンファレンスで患者家族とのコミュニケーションを図る
新型コロナのオミクロン株が流行し、患者と家族がコミュニケーションを図るオンライン面会さえ制限されています。そのため、入院している患者の状態が何もわからず、普段以上に心配になる家族が大勢います。
そうした家族の不安を軽減するには、病院側もできるだけアプローチすることが大切ではないでしょうか。そこで、考えられるのは医師と家族がオンラインで面会するカンファレンスです。
私の母親は、精神疾患で昨年の夏から入院しています。しかし、病院側から私に連絡があるのは「急変」時か「検査異常」時のみです。
ほかの介護者からも病院側と患者・患者家族とお互いのコミュニケーションが不足しているという声を聞きます。
最低でも2ヵ月に1回、通信機器を利用してカンファレンスを実施すれば、新型コロナ対策もでき、家族も病院に行く必要がなく、一石二鳥です。
私の知人が働く病院では、昨年から毎月リモートカンファレンスに力を入れていて、アンケートを取って満足度を調べています。
しかも、なるべく患者本人と一緒に実施するらしく、素晴らしい試みだと思います。
患者家族からは、「面会制限が続く中で、本人の顔が見れるうえに治療経過まで詳しく聞けて安心しています」「リモートより対面の方が望ましいですが、それでも本人の症状が安定していてよかったです」などの声が聞かれているようです。
電子メールで食事メニューを報告する
病院から提供された食事のメニューをできれば毎週、難しければ月に1回は希望する患者や患者家族に電子メールで報告してほしいという声が「よしてよせての会」には多く寄せられます。
病院から、請求書と一緒に定期的にリハビリや身体状況がに関するレポートが送られてくることがありますが、患者の食事報告などはまずありません。
今は感染対策で患者の活動性が低下しています。
患者家族が「今日はどんなご飯を食べているか」「食事量は減っていないか」と気になるのは当然のことです。
病院によっては、患者家族から本人へお見舞いメールを募集しているところがあります。これを応用すれば良いかと思います。
医療現場のデジタル化が進展し、少しでも不安を軽減させるような取り組みが求められています。
こうした介護者と医療従事者のトラブルを未然に防ぐヒントは近著『おばあちゃんは、ぼくが介護します。