介護中に怒りを感じたら、あなたはどう対処していますか。
毎日が朝から夜まで介護に追われると、怒りの感情が芽生えるのは仕方のないことかもしれません。
この記事では、私が妻を介護中に知った怒りを抑える方法(アンガーマネジメント)について、自分用にアレンジした対処法を紹介します。
現在介護中の方、またはこれから介護を担う可能性のある方は、ぜひご一読ください。
介護中の怒りを抑える方法とは?
介護中の怒りを抑えるには、「アンガーマネジメント」という怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングが効果的です。
この心理トレーニングは怒らないようにするというわけではなく、怒りの感情があった場合は上手に怒り、必要のない怒りは抑制する方法を知るのが目的です。
まずは、怒りが起こるタイミングを知っておくことが、自分なりの対処法確立のために役立ちます。
怒りを引き起こすタイミング
介護ではちょっとした出来事やタイミングのずれによるストレスの積み重ねが、怒りを引き起こします。特に在宅介護は、夫婦で過ごす時間が多くなるため、今まで気づかなかったお互いの些細な言葉や行動が怒りの引き金になるのです。
ここでは、妻を介護する私の経験から、妻と夫が怒ってしまうタイミングを一例として紹介します。
妻が怒るタイミング
私が経験した3年間の介護で判明した妻が怒るタイミングを紹介します。
言葉が夫に伝わらない妻が発する言葉が私に伝わらないストレスです。
妻は脳出血の後遺症で言葉がうまく話せないため、聞き取るのに時間がかかる場合があります。その際に私が4回以上確認すると、妻の機嫌を損なう状態になります。
変化の少ない生活が苦痛になっている妻は寝たきりのため、変化の少ない生活が苦痛になっているようです。妻のベッドの傍らにテレビを置き、ビデオ観賞していますが、すぐに飽きてしまうのです。
動けない自分や同じことを繰り返し聞いてしまう私に対して、怒りを募らせることも多くありました。
夫が怒りを感じるタイミング
妻の介護中に私が怒りをよく感じるのは次のようなタイミングです。
妻がリハビリを嫌がる妻が日々のリハビリを嫌がることは、介護者の私にとってストレスになることが多かったです。
毎日のリハビリは少しずつでも継続することが大切ですが、効果を実感できない妻にとっては苦痛しかないようです。
痛みが少ないリハビリに努めていますが、諦めが早いので、妻がやる気のない日はストレスが溜まり、口調も荒くなってしまったこともありました。
妻の楽な姿勢が見つからない妻の楽な姿勢を見つけて維持できないと、妻の口調がきつくなり、言い争いになります。
昨日と同じ姿勢は通用せず、幾度体位変換しても気に入る姿勢が見つからないと妻の態度が急変するため、介護する私にとっては苦痛にもなりました。
「俺も一生懸命やっている」と言っても、妻は横を向いて怒るばかりだったのです。
体調に合わせた介護ができない言葉がうまく話せない妻の体調を細かく把握することは難しいです。そのため、体調に合わせた介護ができず不満を募らせてしまうケースもありました。
毎朝、必ず体温・血圧・SPO2を測っていますが、それだけでは妻の体調が分からない時もあります。
怒りに対して誤解されがちな考え方
感情は、生きている限り捨て去ることはできません。
特に怒りの感情は、相手にマイナスの影響を与えるだけで、決してプラスにはならないのです。
次に、怒りに対して誤解をされがちな考え方を紹介します。
妻に対する怒りは悪
妻に対する怒りは悪だと思い込み、平静を装って対応することは適切とは言えません。
寝たきりの妻が私に対抗する場合は、言葉か態度で表します。かといって、妻の苦情にすべて対応すれば、当たり前のように受け取られ、要求がエスカレートするため、気力の低下につながります。
怒りを発散すれば気持ちが収まる
怒りを相手に向けて発散すれば気持ちが収まるという考え方もありますが、怒りに任せて力ずくで相手を抑え込むことは、その場しのぎの対応でしかありません。
怒りだけでその場をしのぐ対応は、短期的なストレス解消法にはなりますが、長期的に見ればお互いに状況を悪化させるだけです。
怒りを発散するべき
怒りは溜め込まず相手に発散するべきという考え方もあるかもしれません。しかし、一度怒りが起きれば、今までの出来事を思い出し、より怒りの感情がパワーアップしてしまうこともあります。
怒りを発散し気持ちがすっきりしたとしても、相手には負の感情しか芽生えず、介護に非協力的になります。
夫婦であっても人間関係に亀裂が生じれば修復が困難になってしまうので、注意してください。
怒りに対する向き合い方
怒りに対する向き合い方を知るには、自分の怒りの基準や度合いを確認しておくことが大切です。
夫が妻の苦痛や悩みを聞くことと同様に、自分なりの怒りに対する向き合い方を身につければ、介護ストレスも軽減できます。
まずは、怒りのレベルを知っておきましょう。
怒りのレベルを知っておくことで、今の状態を客観視できるようになります。
- レベル0:穏やかな気持ち(ストレスなし)
- レベル1:不愉快な気持ちが継続(若干のイラつき程度)
- レベル2:少し腹が立つ程度(相手には爆発しない)
- レベル3:怒りが爆発寸前(一時的な怒り)
- レベル4:怒りが止まらない(暴言、憤怒)
加えて、怒りのタイプを知っておくことも必要です。
- 正義感が強いタイプ・・信念を曲げず、自他ともに厳しい
- 完璧主義タイプ・・・・白黒をはっきりさせる
- 自分本位タイプ・・・・リーダー的存在で責任感が強い
- 頑固タイプ・・・・・・一見穏やかだが、かたくなな所がある
- 慎重派タイプ・・・・・他人を信用せず、ストレスを溜め込みやすい
怒りのタイプを知っていれば、自分の怒りを抑える方法も意識できるためです。まずは自分の怒りの感情について、一度向き合ってみましょう。
怒りに対する対処法
私なりに怒りに対する対処法を考えました。
介護中のすべての方に当てはまる対処法ではないため、自分の行動を見つめ直す対処法の1つとしてください。
立場を反対にして考えてみる
私自身が妻に介護されているという、今の立場を反対にして考えてみることで怒りの感情が和らぎました。
妻は脳出血の後遺症が残り、寝たきりの生活は辛いことに間違いないでしょう。介護者は時には要介護者の立場になっている自分を想像すれば、少しは怒りが抑えられます。
自分なりのコントロール方法を身につける
介護では怒りはつきものと考え、日常の言葉遣いや行動を見直し、自分なりのコントロール方法を身につけることが大切です。
自分の怒りの感情について知り、状況に応じて組み合わせて考え、自分の怒りをコントロールする方法を実践してみましょう。
ただし、日々の怒りの状態は変わります。私の場合、自分の怒りレベルを感じながら話し方や口調を変え、妻の怒りレベルは表情や態度から判断しています。
イライラの元を絶つ、それでもダメなら・・・
妻のイライラの元を絶つことで、自分自身の怒りを生まないようにするのも方法の一つです。
私は介護の方法やタイミング、丁寧さを昨日と比べ、妻をイライラさせていないか確認しています。
しかし、喧嘩が増えてきた場合は、怒りはなかなか収まりません。
ストレスの発散方法をステップ毎に確立する
ストレスの発散方法をステップ毎に確立します。
私の場合は次の通りです。妻から怒りをぶつけられた場合の対応です。
- 介護に区切りがつけば、一度部屋から出る
- 枕に顔をうずめ、「バカヤロー」と叫ぶ
- 隣の部屋でウエイトトレーニングする
- 一度外に出る
- 深呼吸3回後、自分の顔を両手で軽くたたく
ここで大切なのが、妻に私の怒りの原因について気づかせ、距離を置いているという状況にあることを理解してもらうことです。
介護に怒りはつきもの、だからこそ解消できる方法を知っておこう
介護に怒りはつきものです。介護者も人間である以上、感情を抑えて日々を過ごすとストレスが溜まり、介護に行き詰ります。
だからこそ、あえて「だからこそ解消できる方法を知っておこう」と伝えたいです。
両親より長く一緒に生きてきた夫婦だからこそ、怒りをコントロールしながら介護を続けられるのです。アンガーマネジメントはトレーニングが必要ですが、介護に必ず役に立つ心理コントロール方法です。
在宅介護に悩んでいるという方は、ぜひ試してみてください。