要介護者が夜間にうまく眠ることができないというのは、よく耳にする相談内容です。
要介護者の睡眠が浅く頻繁に起きてしまうと、介護者にとって大きな負担になります。
その結果、介護者自身の睡眠不足や疲労感も増大し、ストレスが溜まりやすい状況になります。
また介護者が睡眠不足に陥ると、介護の質が低下してしまう可能性があります。
介護は、要介護者とのコミュニケーションや身体の介助などに気を配るため、集中力と体力が必要です。しかし、睡眠不足や疲労感がある場合、ミスが起きやすくなってしまいます。これは要介護者にとっても危険であり、転倒や怪我などのリスクが高まります。
そのような悪循環を防ぐためにも、要介護者が寝つけない理由やその対処法について解説いたします。
要介護者が寝つけない理由とその対処法
頻尿
要介護者が夜間に何度もトイレに行く必要がある場合、そのたびに目が覚めてしまい、睡眠が妨げられます。
頻尿を改善するためには、次のような対処法が有効だとされています。
- 就寝前に水分補給を控える
- 就寝前にトイレに行くよう促す
- 寝室にポータブルトイレなどを設置する
- 要介護者がトイレに行きやすい服装にする
- 尿意を感じたら早めにトイレに行くように要介護者に伝える
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に一時的に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群が発生すると、要介護者が寝つけなくなってしまいます。
睡眠時無呼吸症候群は、医師に相談し、適切な治療法を受けることが大切です。治療には、睡眠時に呼吸を支援するCPAPと呼ばれる装置が用いられることがあります。
疼痛(とうつう※痛みのこと)
痛みを軽減するために、医師に相談し、適切な薬物療法を受けましょう。薬物療法には、痛み止めや抗うつ剤などが用いられることがあります。
また、湿布やマッサージなどの代替療法を用いて、痛みを和らげることも有効です。
不安やストレス
不安やストレスは、要介護者が寝つけない原因にもなります。
対処法としては、日中に要介護者がリラックスできる環境をつくることがポイントです。
具体的には以下のようなことが考えられます。
- 要介護者の好きなことをする
- リラックスできる方法を見つける
- 要介護者と話をして、不安やストレスの原因を特定する
- リラックスできる音楽を聴く
- ゆっくりと深呼吸する

認知症
認知症は、睡眠障がいを引き起こすことがあります。
昼夜逆転 認知症の要介護者は、昼間に眠り、夜間は目が覚めてしまうことがあります。このため、夜間に眠りにつくことが難しくなります。 不安や緊張 認知症の要介護者は、不安や緊張感を感じやすく、寝つきが悪くなることがあります。 運動不足 認知症の要介護者は、運動量が不足し、体力が低下することがあります。このため、夜間に眠りにつくことが難しくなります。 症状の進行 認知症の要介護者は、症状が進行するにつれ、夜間に目が覚めやすくなります。また、寝つきが悪くなることがあります。具体的な対処法は以下の通りです。
- 要介護者に規則正しい生活リズムを維持するよう促す
- 昼間に適度な運動をする
- 就寝前にリラックスする時間を持たせる
- 夜間の明かりを調整する
- 医師と相談のうえ睡眠薬を使用する
睡眠にまつわる問題は本人だけでなく家族に関係する
今回は寝つきが悪い要介護者に対しての対応策をご紹介いたしました。
睡眠に障がいがあるといっても原因はさまざまです。上記に挙げたものがすべてとは限りません。
睡眠にまつわる問題は、本人だけではなく、介護者への負担にもなる可能性が高いので、かかりつけ医やケアマネージャーなどの身近な専門職に相談して、対策を考えることが大切です。