「玄米と白米はどちらの方が栄養があるのか?」というのはよく議論されていますが、高齢者が主食として食べるには、はたしてどちらの方が良いのでしょうか? 今回は栄養成分や食べるための注意点などを考えてみたいと思います。
玄米と白米の栄養価について
皆さまは「玄米と白米はどちらが体に良いのか?」と聞かれたらどのように答えますか。なんとなく玄米の方が体に良いと思っている方が多いイメージなのですが、いかがでしょうか?
実際もイメージと反することはなく、全体的に玄米の方が栄養価が高く体には良いのではないかと考えられます。
玄米は繊維状のふすま部分や栄養価が高い胚芽の部分を含みますが、白米はこのふすま部分や胚芽を除去して、胚乳の部分だけを残した精米です。
炊きあがった玄米と白米の100g単位の栄養成分を確認してみましょう。
栄養素 玄米 白米 カロリー(kcal) 152 156 カリウム(mg) 95 29 マグネシウム(mg) 49 7 鉄(mg) 0.6 0.1 亜鉛(mg) 0.8 0.6 ビタミンB1(mg) 0.16 0.02 ナイアシン(mg) 2.9 0.2 ビタミンB6(mg) 0.21 0.02 養蚕(μg) 10 3 食物繊維(g) 1.4 0.3表内の栄養素が体の中でどのような働きをしているかを簡単に説明します。
エネルギー 人間の身体を動かすため(生命維持するため)に必要なものです カリウム 体内のミネラルで最も多いもので身体に入った余分なナトリウム(塩)を体から出し、高血圧の予防やむくみの改善などに働きます。 マグネシウム 生命維持のために大切なミネラルで筋肉の収縮や体温や血圧を調整します。たんぱく質の合成、血糖コントロールなどの補助因子として働いています。 鉄 成人の体内に3~5gが存在し、そのうち70%は赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビン存在し、残りの30%は肝臓や骨髄、筋肉などに貯蔵鉄としてあります。 亜鉛 200種類以上の酵素の構成成分として体内の重要な仕組みに関わっています。 ビタミンB1 糖質をエネルギーに変えたり、神経機能を正常に保つ役割を持っています。 ナイアシン 糖質や脂質、アルコールの代謝に働いています。 ビタミンB6 タンパク質の代謝に働き、神経伝達物質の合成を促します。 葉酸 細胞の新生をサポートしたり貧血予防に働きます。このほか、GI値(血糖値の上がるスピードを測る値)は低い方が良いとされていますが、玄米50・白米89と玄米の方が低いです。
以上のことからも玄米は白米と比較して体に良い食品だと考えられます。
食べるときの注意点
玄米には栄養価が高いという事がわかりましたが、食べる際の注意点もあります。
よく洗う
精製前の米の残留農薬の80%はヌカの部分にあると言われています。しっかり洗うことでヌカは落ちますが注意してください。
海藻や野菜と一緒に食べる
玄米に含まれるフィチン酸はカルシウムやリンなどのミネラル分の吸収を妨げることもあります。玄米食の際はカルシウムやミネラルが多い海藻や野菜も食べるような献立をおすすめします。
胃への負担がかかりやすい
玄米はセルロースという食物繊維の一種でできている硬い皮があります。そのため、しっかりと咀嚼しないと飲み込みにくいと感じる場合もあります。そのうえ、消化に時間がかかり胃への負担がかかりやすい食品になります。

玄米食の導入は1食から
これまでの内容から、栄養価でみれば玄米が良いのでは?と思われるでしょうか?高齢者は噛む力が弱くなったり、胃腸に疾患がある方もいます。
これまで玄米を日常的に食べていて特に問題がない方はそのままで良いですが、高齢になってからたくさんの栄養を摂ろうと思って玄米食にしようと思われている方は、以下のことを注意してください。
- 3食の食事を全部玄米にかえるのではなくまず、1食だけ変えてみる
- 白米と玄米を混ぜて炊いてみる
- 炊飯の際に水分を多めに入れ、4~5時間水につけて炊いてみるなどの工夫をすること
- 食べる際はよく噛みながら食べる事を意識する
以上の注意事項も考慮しながら、身体に負担のないような食生活を心がけてください。