

猪野正哉さん●焚き火マイスター、日本焚き火協会会長。10代後半にファッション誌のモデルとしてキャリアをスタートし、30代半ばから「焚き火マイスター」を名乗り始める。ライター、モデルとしても活動しつつ、手軽で楽しい焚き火の普及に尽力している。著書に『焚き火の本(山と溪谷社刊)』。3月19日に2冊目『焚き火と道具(山と溪谷社刊)』を発売予定。
① 使う木の種類は「針葉樹」で!

細めの針葉樹を用意しよう。
「まずは材料選びから始めましょう。② 両手が使える基本姿勢で!

これが基本姿勢。手を離しても大丈夫。
続いて、削るときの基本姿勢を教わる。「手で持って削ってもいいのですが、動いてしまうと薄く均等に美しく削るのは難しい。私は膝と地面の間に木を挟んで固定して削っています」。片膝を立てる形で木を固定すると、手を離しても木は倒れない。つまり、両手を使うことができるようになる。「片手で削るのも間違いではありません。でも、両手で削ると安定したフォームで刃を動かせるので、より薄く、きれいに削ることができるんです」。③ 木の角を削り取るイメージで!

両手で刃を固定し、木の「角」をとるイメージで削る。
もうひとつのポイントは、木の「角」を削り取るイメージを持つこと。
下まで削ったら、最後にナイフの刃を少し立てる(写真右)と、次を削るときに出来上がったフェザーを誤って削り落としづらくなる。
慣れてくると、長くて薄い美しいフェザーを次々に作ることができるようになる。「上達には経験の数がものを言いますが、コツを頭に入れておくと上達スピードが上がります。あとは繰り返し練習あるのみです」。--{}--無駄を楽しんでこそ焚火は面白い

慣れれば、片手でも薄く長く、削れるようになる。
「焚き火の良いところは、余計なことを考えずに無心で楽しめることです。その点、フェザースティック作りも集中し始めると大人も無心で楽しめるので、焚き火との相性が良い遊びですね」。たしかに、教えられたポイントを踏まえてやってみると、削るごとに明らかに上達していく実感がある。これは面白い。キャンプ場に行くと、黙々と何本もフェザースティックを作り続けているキャンパーを見ることがあるが、実際にやってみるとその気持ちがよくわかる。
削りカスも着火剤代わりになるので捨てないで。
うまくいかずに、削り落としてしまったフェザー部分も焚き付けになるので、捨てずにまとめて着火に使うといい。「フェザーズティックはきれいに作れなくても、着火剤としては十分燃えてくれます。でも、美しく削ることができたほうがやっぱり気持ちがいい。ナイフ使いの練習にもなるし、一石二鳥です」。
着火はライターでもファイヤースターターでも。
「市販の着火剤やガスバーナーがあれば、フェザースティックなんてなくても簡単に火はつけられます。『これ、必要?』と言われてしまえばそれまで。でも、こうした無駄を楽しんでこそ、火への好奇心が沸き、さらに焚き火が面白くなると思います。理屈ばかり考えず、遊び心があるか、自分の気分が上がるかを大事に直感的に楽しんだっていいんです」。曰く、みんな同じやり方をする必要はないし、誰にでも当てはまる正解なんてないそう。道具を買い揃えるのは簡単だが、材料選びや削り方を工夫して、自分なりの正解を探してみよう。