▶︎すべての画像を見る確実にヴァンズからは海の薫りがする。それがなぜかと聞かれたらうまく言えないけれど、きっと多くのサーファーが履いていたからなんだろう。
ブランドの個性は、そのブランドだけがつくるものではない。むしろ、それを支える多くの人々によって存在感が確たるものとなることがほとんどだ。ヴァンズはまさにその典型。1966年にカリフォルニア州アナハイムでポール・ヴァン・ドーレンが設立した当初、このブランドは顧客の注文を受けてから製作する、オーダーメイドの靴工房だった。そのあとは既製品の展開も始まるが、当時のサーファーがオフに興じていたスケートボードでは利き足のすり減りが早く、片足でも購入ができたヴァンズのシューズは瞬く間に彼らの支持を得るにいたった。
--{}--スタンダード カリフォルニアの阿久戸秀高さんはヴァンズについてこう語る。「僕が初めてヴァンズを履いたのはサーフィンを始めた何年かあと、確か18歳のとき。海の向こうのサーファーが履いている姿を既に認識していたから、ヴァンズは憧れそのものでしたね。
海とヴァンズの縁をロジカルに考察することはいくらでもできるが、何といっても説得力があるのはその見た目だろう。履き込んでボロボロになり汚れたヴァルカナイズトソールも、日焼けと度重なる水洗いですっかり色あせたキャンバスも、とにかく海辺では絵になるものだ。その光景を一度見たなら、街にいたってヴァンズを見るだけで海を連想するのはごく自然なことなのではないだろうか。
感覚的なものだけれど、確かに感じるそれを長年ヴァンズを履き続けてきたスタンダード カリフォルニアの阿久戸秀高さんと考えてみた。
その頃から今も変わらない、頑丈でしっかりグリップするフラットなソールに、脱ぎ履きしやすいシンプルな設計。それが今日までスケートボーダーやサーファーとヴァンズとの蜜月を確たるものにしてきたのだ。ステイシー・ペラルタやトニー・アルバといったサーフ&スケートボードヒーローたちが履いていた鮮烈なビジュアルももちろん、それに拍車をかけたはず。
そこから30年以上が経って、今も履いている。ヴァンズはすっかり日常になりました。実際にカリフォルニアに出張に行くようになってからは、現地のサーファーが無地のオーセンティックを履いているのをしょっちゅう見ます。僕の中ではヴァンズが似合う人といえばジョエル・チューダー。今だに惹かれますし、彼のようなサーファーを見てきたからこそヴァンズ=海というイメージが確かにある。ここ最近の朝の習慣になっている犬の散歩とサーフィンももちろん、足元は基本ヴァンズ。
いろいろ履きたいのですが、脱ぎ履きがラクなので、スリッポンばかりです(笑)」。
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