しまっていたスニーカーを久々に履こうと出したらソールがボロボロ……。「加水分解」は、スニーカー愛好家なら向き合わざるを得ない問題だ。
それを防ぐためには、一足ずつフィルムに包んで保管するのがベスト。そう、スニーカーショップなどで目にするアレである。
この保管方法、プロの技っぽいけど実は自宅でも簡単にできる。「キックスラップフィルム」さえあれば。
これを販売するのは、クリーニング専門店「スニーカーアトランダム」。以前、スニーカーの加水分解を防ぐ方法を聞いた、あのショップである。
加水分解については記事でも述べたとおりだが、簡単におさらいすると、化学物質と水が反応して分解を起こす現象だ。
スニーカーのソールによく使われるEVAやポリウレタン素材は水分に弱く、化学物質と反応してボロボロになったり剥がれたりする。雨水や汗だけでなく、空気中の水分も原因になるので、一度履いたスニーカーはもちろん、新品でも起こりうるのだ。
だからこそ、しばらく履かないスニーカーを長持ちさせるには、外気と遮断するのがいちばんいい。そこで冒頭で触れた「キックスラップフィルム」の出番である。
「初心者でも5分もあれば簡単にできますよ」と話すのは、スニーカーアトランダムのマネージャー・城所 匠さん。
スニーカーをラップで保存してみよう!
用意するのは、キックスラップフィルムとドライヤー、そしてセロハンテープだ。高温の熱風が出るヒートガンがあれば便利だが、家庭で行う場合はドライヤーでも十分である。
まず、袋状になっているラップの中にスニーカーを入れ、余った部分を何回か折り込んでセロハンテープで止めて密閉する。
ラップには空気穴が1カ所空いているので、そこから中の空気を両手で押し出すように抜く。
空気が抜けたら、ドライヤーの温風をラップを当てていこう。
「ドライヤーの風量は強にしましょう。まずはつま先から甲にかけて、それから両サイド、かかと、最後にソールという順に温風をあてると綺麗に仕上がると思います」。
熱を与えることでラップが縮み、スニーカーに密着する。
「1カ所に温風をあて続けると熱でフィルムが破れてしまうので、まんべんなく風をあてるようにするといいですよ」。
教えてもらったとおりにドライヤーをあてていくと、ご覧のとおり。
「スニーカーは、ラップで包む前にクリーニングをして埃や汚れを落としておいたほうがいいですね。靴の中の湿度を調整してくれる木製のシューキーパーをいれると、型崩れすることもなく、いい状態で保存できます」と城所さん。
ラップに包んで箱に入れておけば、長期保管しても安心だ。もちろんこのまま観賞用にしてもいい。
スニーカーの寿命は一般的に3~5年ともいわれ、加水分解は製造された瞬間から始まっている。
城所さん曰く、機能性やデザイン性に優れたハイテクスニーカーほど、加水分解しやすいEVAやポリウレタン素材を使っているので注意が必要とのこと。スニーカーにラップして、お気に入りの一足を新鮮なまま、長く履き続けよう!
[問い合わせ]
スニーカーアトランダム 高円寺
https://atrandom.shop
齋藤久美子=文