連載「レジ横コーヒーのおいしいヒミツ」Vol.2
お目当てのドリンクをレジで注文、カウンターで受け取る。コーヒーショップのよくある光景。

でもちょっと待った。せっかくなら、レジ横に鎮座している豆にも目を向けてみよう。そこにあるのは、各ショップが考えた“ベストなコーヒー豆”へのアプローチなのだから。

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“スタバ”の愛称で親しまれるスターバックス。いつもの一杯を注文するのもいいが、時にはレジ横のオリジナル豆を手に取るのも一興だ。そこには世界的コーヒーチェーンのこだわりと革新が詰まっている。

話を聞いたのは、スターバックスの又見英莉さん。コーヒーに深く精通した証である「ブラックエプロン」を纏う又見さんに、おすすめのオリジナル豆をセレクトしてもらった。

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すっきりとして軽やか。浅煎りの「スターバックス(R) ブロンド ロースト」

「オリジナル豆の種類は、焙煎の度合いによって3つに分けられます。浅煎りですっきりとした『ブロンド ロースト』、バランスのいい味わいの『ミディアム ロースト』、深煎りで力強い風味の『ダーク ロースト』。どなたのお口にも合うよう、幅広く展開しています」。

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最初に紹介してくれたのは、コロンビアをベースとした「スターバックス ライトノート ブレンド(R)」。イエローを基調としたパッケージは、ブロンド ローストの目印だ。


「煎ったナッツやミルクチョコレートを彷彿させる、甘い香りのコーヒーです。ほどよい酸味と、あとに続く軽やかなコクを楽しめます。ナッツの入った焼き菓子など、似た風味のお菓子とペアリングするとおいしさがより引き立ちますよ」。

万人に愛される「スターバックス(R) ミディアム ロースト」

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ブラウンのパッケージに統一されたミディアム ローストからは、2つの豆をセレクト。

まずは定番の「ハウス ブレンド」だ。


「1971年の創業時から愛され続ける、伝統的なブレンドです。こちらもコロンビアをベースとしており、絶妙なバランスの酸味とコクを楽しめます」。

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続いて「パイクプレイス(R) ロースト」。2010年日本での発売以来(アメリカでは2008年)、スターバックスの顔として君臨する人気のブレンドだ。


「スターバックス1号店の名前を冠したコーヒー豆です。

より多くの人に愛されるコーヒーを提供したいという思いから開発されました。コロンビアをベースにブラジルをブレンドし、滑らかですっきりとした口あたりに仕上げています」。

深い味わいで力強い。大人の男に捧ぐ「スターバックス(R) ダーク ロースト」

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濃い茶色のパッケージ、ダーク ローストからは「スマトラ」をチョイス。文字通りインドネシアのスマトラ島を産地とするコーヒーだ。


「どっしりとなめらかなコクのなかに、力強い香りを楽しめます。

酸味は少なく、深みのある味わいなので、ミルクと合わせる人にもおすすめです。バターやメープル、チーズを使ったお菓子など、重めのフードとペアリングするとお互いの風味も際立ちます」。

ダークチェリーを彷彿させる風味。期間限定「スターバックス(R) シングルオリジンシリーズサンドライド エチオピア シダモ(R)」

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さらに又見さんは、期間限定のイチオシのコーヒー豆も紹介してくれた。こちらの「スターバックス(R) シングルオリジンシリーズ サンドライド エチオピア シダモ(R)」は、ひとつの産地の豆を使った「シングルオリジンコーヒー」のシリーズ。どこから来たのだろう。

誰に、どんな風に育てられたのだろう。そんなストーリーに注目しながら味わいたい。


「ブラックチェリーやダークチョコレートのような、フルーティーな風味の豆ですね。加工の段階で、豆を覆う果実を除去してから天日干しする『水洗式』ではなく、果実を除去しない『乾燥式』で加工されています。これにより、果実の風味がコーヒー豆に残り、独特な味わいを生み出します」。

実はお手軽。豆本来の味を引き出す「プレス式」

さて、おすすめのコーヒー豆を教えてもらったら、やっぱり抽出の方法も工夫したい。定番のドリップ コーヒーもいいが、又見さんのおすすめは「コーヒープレス」だという。

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「コーヒープレスは、コーヒーの味を最大限に引き出すいれ方です。大きな特徴は、金属のフィルターを使っていること。ペーパーフィルターの場合、コーヒーの油分を吸収するため、すっきりとした味わいになります。一方で金属の場合、油分もすべて抽出され、豆本来の味わいを楽しめます」。


論より証拠。「実際にいれてみますね」と又見さん。


まずは器具をよく温めて、挽いたコーヒーの粉を入れる。お湯180mlに対し、豆の分量は10gが目安だ。


「豆の挽き具合は、抽出器具によって変えましょう。コーヒープレスは『粗挽き』、ドリップ コーヒーは『中細挽き』で挽いてください。また、コーヒーの抽出時間は、お湯に触れる豆の面積が大きいほど長くします。そのためコーヒープレスは、じっくりと時間をかけて抽出するのです」。

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そこに90℃から96℃のお湯を注ぎ、ヘラで混ぜる。お湯とコーヒー粉を満遍なく触れさせ、ムラをなくすのだ。ちなみに、お湯は浄水した水やミネラルウォーターなどの軟水を使おう。硬水だとミネラル分が多く、コーヒーの苦みも強調されてしまうとか。


待つこと4分。最後にゆっくりとプレスしたら……。

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難しい手順もなく、あっという間に出来上がり。

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「ドリップだと注ぎ方にコツも要りますが、コーヒープレスならどなたでも味を均一にできます。なんとなく“通のいれ方”というイメージがあるかもしれませんが、むしろ本格コーヒーへの入門にぴったりですよ」。


今回いれてくれたのは、スターバックス ライトノート ブレンド(R)。口に運ぶと、華やかさとともにコーヒープレス特有の重厚な味わいに魅了される。同時にいれてもらったドリップ コーヒーと比べると、口あたりの重みが違う気がする。コーヒーへの本格デビューをするなら、コーヒープレスはいい選択肢になりそうだ。


また、スターバックスといえばメニューに書かれていない“裏メニュー”が知られているが、こうしたコーヒープレスのサービスは、実は店内でも楽しめる。店頭に並んだ豆から気になるものを選び、「コーヒープレスで」とオーダーすればOKだ。お値段は一杯370円。「いきなり豆を買うのはちょっと」という人は、お試しに飲むのも手だろう。


最後に又見さんは、コーヒーをワンランクおいしくする“スターバックス流”の飲み方も教えてくれた。

迷ったらご一読! スタバのレジ横・コーヒー豆、極上の味に淹れるには?

「まずはカップを手で覆い、コーヒーの香りを楽しみます。液体を口に含むときは、そばを“すする”ように音を立てて、勢いよく飲んでみてください。スプレー状にコーヒーが広がり、舌全体で豊かな風味を味わえます」。


いつもスターバックスにお世話になっている人も多いことだろう。気になるオリジナル豆を見つけたら、気さくなバリスタたちに声をかけてみるといい。きっと最高の一杯に巡り会えるはずだ。

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