海外車メーカーによるバンは、国産以上の歴史とバリエーションが存在するが、その多くは日本に入ってきていない。
しかし、過去に正規輸入されていた海外メーカーのバンだけを見ても、やっぱりあるんだなぁ、魅力的なバンたちが。
■生粋のアメリカンスタイル「シボレー エクスプレス」
全長5.6m超、全幅と全高はどちらも2m越えというフルサイズバン、シボレーのエクスプレス。
2003年に登場したモデルは今もアメリカでは現役だ。日本にも2004年から三井物産オートモーティブによって輸入されていたが、同社がGMジャパンに業務を移管した2012年にエクスプレスの販売も終了してしまった。
輸入されていたエクスプレスは、5.3LのV8エンジンを搭載した3列シート8人乗り。“フルサイズ”バンゆえ、8人乗ってもラゲージはたっぷり余裕がある。
何しろ本国の2021年モデルには4列シート・12人乗りもあるくらいだ。さらに全長約6.2mの5列シート・15人乗りなんてモデルもある。
一方フルサイズバンゆえ、日本で取り回すには技術がいるけれど、仲間とワイワイしながらキャンプへ行くには最高の一台かも!?
新車時車両本体価格は441万~472.5万円だったが、10年以上経った今でも中古車の平均価格は275万円と人気が高い。
■スズキも販売したミニバン代表「シボレー アストロ」
「エクスプレスはさすがに大きすぎる」ならアストロはどうだろう。日本ではエクスプレスよりずっと早い1993年から輸入されていたため、中古車の台数も多い。
全長約4.8m、全幅約2mと本国ではフルサイズバンの下となるミニバン扱いだが、日本ではトヨタのアルファードに近いサイズだ。
4.3LのV6エンジンが搭載され、7~8人乗り。当初は三井物産オートモーティブやヤナセが輸入していたが、その後GMジャパンが引き継ぎ、さらに当時GMグループに属していたスズキから2005年まで販売されていた。
新車時車両本体価格は約330万~380万円だったが、現在の中古車平均価格は約90万円だ。
■改めてセンス良し「メルセデス・ベンツ スプリンター」
メルセデス・ベンツの商用バンであるスプリンターも、かつては当時のダイムラー・クライスラー日本によって1996年から2006年まで正規輸入されていた。
ただしトヨタに同名のセダンがあったため、日本では「トランスポーターT1N」という名に変えられて販売されていた。
当時はいかにも“商用車”っぽい印象だったが、今見ると直線基調のすっきりとしたデザインが新鮮で、フロントのスリーポインテッドスターがカッコいい。
全長は約4.9~6.6mで、2.2Lディーゼルと2.7Lディーゼルエンジン搭載モデル、標準ルーフとハイルーフモデルなどがあった。
基本は前席のみで後部は荷室だから、海や山のギアをたっぷり積める。また中古車を見ると2列目シートを備えた5人乗りモデルなどもあり、バリエーションが豊富。
新車時車両本体価格は約400万~500万円だったが、中古車平均価格は現在約200万円となっている。
■快適さも考慮するなら「フォルクスワーゲン T4」
ワーゲンバスの流れを汲むT4は、本国では1990年から2003年まで活躍していた商用バンだ。
日本では1994年から1996年までとわずかな期間だが、ヤナセによって正規輸入され、「ヴァナゴン」という名で販売されていた。丸みのあるワーゲンバスのようなかわいさはないが、パキッとした直線基調は実に男前。
2.5Lのガソリンエンジンを搭載し、3列シートを備えた2+2+3の7人乗りモデル。全長約4.7m、全幅約1.8m、全高約2mと日本で乗るにはちょうど良いサイズで、荷物も結構積める。
2列目と3列目シートは各席にアームレストが備わるなど、大人一人ずつしっかり区分けされていて、カーブの際にお尻ごとスライドしちゃう、なんてこともない。
新車時車両本体価格は390万円で、中古車平均価格は現在約100万円。手頃な価格も所有心をくすぐるのでは?
籠島康弘=文
※中古車平均価格は編集部調べ