「検証! 雨に“勝つ”靴」とは……
タウンユースにもってこいな見た目でありながら、雨水をモノともしないポテンシャルを秘める……そんなスニーカーなら、たとえ雨が降っても心は晴れ晴れ。雨よ、どーんとかかってこい!
①往年のデザインが今になってハマる!
「フライロック」シリーズはまさにイノヴェイトの“顔”。2000年に入って間もなく誕生した一足だ。
イノヴェイトのトレランシューズに、初めてゴアテックスを搭載したのもこのシリーズで、搭載してもなお重さは345g(27cmの場合)。ほぼ缶ジュース1本分ほどの軽さとあって、“岩を飛ぶように走れる”という触れ込みで多くの耳目を集めた。
2019年、デサントが「NEW VINTAGE」シリーズをスタートさせるにあたり、シューズ分野に精通する有能なマーケッターたちと意見を交わしたそうだが、彼らが口々に発したのが「フライロック」シリーズの美点。そして程なくして復刻が決定したのだという。

そのソールや丸太シューレースから山靴であることを実感するが、往年のデザインを程よく取り入れた姿からはカジュアルスニーカーとしての一端も感じさせる。
例えばホワイトの一足は、それがトレラン用とは見当がつかないほどにクリーンで、セットアップの足元にハマりそうだ。そのうえ、ゴアテックスを実装しているため水に強く、アッパーのコーデュラナイロン生地は屈強。快適さと耐久性を兼ね、街の空気にも足並みをそろえられる。
この一足に、もはや死角は見当たらない。
②クラシカルな山靴に街との親和性を見る

街へとすっかり浸透したためか、その背景に目を向けることなく愛用する人も珍しくない。
ホカ オネオネはもともとトレイルランニングのシューズブランドである。ブランド名を聞いて真っ先に思いつくのは、その特徴的な厚底ソールだろうが、より負荷のかかりやすいくだり坂を楽に走ることで、トレイルランニングをより楽しいものにしている。

こちらはそれらのノウハウを活用したトレッキングシューズ。
ハイカットのカハ GTXをベースにローカットで仕上げた新作で、山中でもモノともしない優れた機能性とオリジナルのシルエットをそのままに、山っぽさは幾分か削ぎ落としたオール黒の都会的な一足となっている。
しかも、独自のソール形状、VibramMegagripトラクション、フットロックダウンのための靴ひも調整システムなど、ホカの技術の粋を結集し、心地よい歩行をいつでも提供してくれるのだ。
③ウィンタースポーツの雄が見せる夏の表情

サロモンといえば、フランスを代表するアウトドアブランドで、長らく世界のウィンタースポーツシーンを牽引する存在。新たな一面が世に知れ渡るのは2000年に入った頃である。
山岳地帯や砂漠などを走破するレイドレース用にシューズを開発し、冬用アパレルの参入も果たした。

そんなサロモンには、トレイルランナーやハイカーから根強く愛されるモデルがある。XA PRO 3Dだ。
XAという名前の由来は「クロスアドベンチャー」で、トレイルランニングがまだメインストリームスポーツになる前に、アドベンチャーレースを走破するために作り出された。それが今では第8世代モデルまで登場し、街へも深く浸透。その最新がゴアテックスを搭載したこちら。
圧着式のアッパーやタン上部をメッシュで覆うなど、軽量化と快適さの両立を狙った意匠は数知れず。最先端の機能を搭載しつつもこのルックスは、もはや山限定にしておくにはもったいない。
どれもが往年のモデルを背景にしているため、ほんのりとローテク風味が香り立つ。ただ、いざ中身を見てみるとアクティブシーンをベースにしたモノ作りを展開する各社だけに、機能は最先端ですこぶる快適だ。
そのうえ、カラーアレンジなどで街との親密具合を高めたとあっては、これほど頼りになる3足はない。
「検証! 雨に“勝つ”靴」とは……
各社が「防水靴」をリリースしているが、いくら「スゴいんです」と言われても、実際に履いてみなけりゃ真偽のほどはわからない。じゃあ、実際に試させてもらいましょう。新作の防水靴vs.2021年梅雨、ファイッ!
上に戻る
菊地 亮=文