名古屋でサーフショップ「ピッペンストア」を営むピッペンさんは、ゴルフの腕前も玄人だ。近頃は多いときで週3回程度ゴルフを楽しんでいるという。
「私、もともとはゴルフ側の人間なんですよ。ゴルフ好きの親父に仕込まれて、6歳でコースデビューしました」。
大会で好成績を収めるうちに、ゴルフの強豪校の高校からスカウトされた。
「全寮制で毎日ゴルフ漬け。平日は早朝と夕方にホールを回って練習し、週末はキャディ業務に精を出す。高校3年間で帰宅できたのは3日間だけでした」。
サーフィンに出会ったのは高校3年生の夏。
「湘南に住んでいる親戚のお兄さんがサーフボードを持って実家に遊びに来ていて。サーフィンに連れてってもらったら、あまりの楽しさに衝撃を受けました。その後、スポーツ推薦で大学に進んだのですが、サーフィンに忙しくなって、3年生の春に退部しました」。
以降はサーフィンひと筋。時間を見つけては海に通い、世界中にサーフトリップに出かけた。
店をオープンしてからは、プロの技術を研究するために、年に4回ほどダクトテープなどの主要な海外コンテストにも足を運んだ。
「ただ、自粛ムードで、思うように海にも入れなくなり……。そんなときに仕事仲間に誘われて、久しぶりにゴルフに出かけてみたんです」。
この日、ピッペンさんの目の前に新しいゴルフの世界が開けた。
「高校、大学の部活動でのゴルフは“戦い”でした。でも、再び私の前に現れたゴルフは、勝ち負けの関係ない楽しいスポーツに変わっていたんです。
プレーはもちろん、会話しながら緑の中を歩いたり、クラブハウスで食事したり、いろいろな楽しみがあります」。
ゴルフを再開した際、もうひとつ新しい発見があった。
「以前よりもゴルファーたちの服装が自由になっていたこと。コスプレ感の強いウェアはあまり好きではないので、自分の店で扱っているポロシャツやパンツを着ています。
自分が着たい服でコースを回れるのもゴルフに再びハマった理由のひとつです」。
ピッペンさんは今、サーフ&ターフのそれぞれをフルに楽しむための暮らし方を実践している。
「サーフトリップで通っていた宮崎で、海にもゴルフ場にもすぐ行ける家が見つかって、思い切って移住したんです。
今は月のうち20日間ほどを宮崎で過ごして、10日間ほどを店のある名古屋で過ごすデュアルライフを送っています」。
宮崎にいて、波があるときは、早朝1時間ほど海に入り、その後12時の店のオープンまで、仕事かゴルフをする。
「両方やっていていちばんイイのは、今日サーフィンをするか、ゴルフをするかをチョイスできること。これが最高に豊かなことなんですよ」。
Golfer Data
[ゴルフ歴] 小学生~大学3年生の春まで(コロナ禍をきっかけに再始動)
[ベストスコア] 74
[好きなゴルフ場] 宮崎レイクサイドカントリー
[得意なクラブ] 4番アイアン
Surfer Data
[サーフィン歴] 約24年
[ホームポイント] 伊良湖、宮崎
[好きなサーファー]ミッチ・アブシャー
[得意なテクニック]ハングテン
川西章紀、清水 亮、田代亮介、中田雄大、隈元公之=写真 押条良太=文 多摩川ゴルフ倶楽部=撮影協力