数年前のブルーダイヤルの大流行から、今は爆発的なグリーンダイヤルブームの真っ只中。
そんな昨今のカラーダイヤル人気のワケを裏打ちする、オーデマ ピゲ、カルティエ、オメガ、3つの名門イチ押しモデルを紹介しよう。
ブルーダイヤルの開拓者による新定番
今では完全に定着化した人気のブルーダイヤル。高級時計の世界で見るようになったのはおよそ1970年代頃からであり、1972年に発表されたオーデマ ピゲの「ロイヤル オーク」のファーストモデルはその代表例のひとつだ。

稀代のウォッチデザイナー、ジェラルド・ジェンタが当時ではありえなかったステンレススチール製の高級スポーツウォッチのために選んだダイヤルカラーは、ホワイトでもなく、ブラックでもなく、深みのあるブルーであった。
この選択が正しかったことは歴史が証明している。

そして、2019年に発表された26年ぶりの新コレクション「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」でも、ロイヤル オークから受け継がれたブルーダイヤルの伝統が息づいている。

ここで選んだのは、18Kホワイトゴールドケースとサンバースト模様のスモークブルーラッカーダイヤルを組み合わせた最新作の3針とクロノグラフだ。
新しくテキスタイル調のブラックラバーのストラップを採用するなど、カジュアルなファッションにも合うデザインに仕上げた外装には、オーデマ ピゲらしい革新性が感じられる。
カルティエ「タンク」ならではの色使い
2021年は各社から多くのカラーダイヤルが発表されたが、レッド、ブルー、グリーンの3色で展開するカルティエの「タンク マスト」は抜群の存在感を示し、完売店が続出するほどのヒットとなっている。

1977年に登場し、多彩なバリエーションで展開された「レ マスト ドゥ カルティエ」 の影響を色濃く受け継ぐこのコレクションは、「タンク」の象徴であるローマンインデックスなどを取り除いた大胆なダイヤルデザインも特徴だ。


かの有名なアンディ・ウォーホルが残した「『タンク』を身につけるのは時間を見るためではない。実際に、巻き上げたことすらない。『タンク』を身に着けるのは、身につけなければならない時計だからだ」という言葉は、「タンク」ウォッチの本質を的確に捉えている。
“色を纏う”ことは気分を高揚させたり、個性を表すうえで大切なポイントで、優雅な時を刻む2針のカラーダイヤルは価格以上の価値がある。
圧倒的に使いやすいブラウンの「シーマスター」
鮮やかなカラーダイヤルが多くリリースされている一方、渋みのあるブラウンもじわじわと人気に。

独特なダークブラウンのダイヤルは、オメガが独自に開発した37%のゴールドを含有する特別な合金“ブロンズゴールド”のベゼルやケースはもちろん、同系色のレザーストラップによく馴染む。
悪目立ちとは無縁のブラウンダイヤル×ブロンズ製ケースのスポーツウォッチは、言うに及ばずカジュアルで無類の強さを発揮する。
デニムのように経年変化も楽しめるので末永い付き合いになりそうだ。
戸叶庸之=文