「知ってホッとする冬服大全」とは……   

日本のトップクライマー・辰野 勇が1975年に創業した総合アウトドアメーカー「モンベル」。“FUNCTION IS BEAUTY”(機能美)、“Light&Fast”(軽量と迅速)というものづくりのコンセプトは、商品の細部から伝わってくる。

コスパ最高な「モンベル」のダウン。軽量ダウンの先駆者の最新は...の画像はこちら >>

プレスの長井洋高さんは言う。

「モンベルのものづくりは、辰野本人の国内外での豊富な登攀経験をもとに『自分たちの手で、自分たちの欲しい山道具をつくろう』という想いから始まりました。

ダウンウェアは’80年代にファッション業界でも普及し始めましたが、モンベルでは当時、化学繊維の中綿ウェアに注力していて、ダウンウェアの製造を始めたのは’90年代に入ってからです」。

その後、“Light&Fast”を追求する姿勢が超軽量ダウンの名を続々生み出すことになる。


軽量ダウンのパイオニア、モンベル

「モンベルが2001年に発売した『U.Lダウンインナージャケット』は、当時の高品質ダウン、極薄シェルを使用し、重量195グラムと超軽量なダウンジャケットでした。

それまでモコモコでゴツいイメージがあったダウンの常識を覆し、コンパクトに折りたたんで携行できることで、多くの登山者に支持されたんです」。

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モンベルの各店では、ダウンベストを着たベアのディスプレイが出迎えてくれる。

「今でこそ、スーツやジャケットの下に薄いダウンを着るスタイルが主流ですが、これも2011年にモンベルが発売した丸首の『U.Lダウンラウンドネックジャケット』が先駆けになっていると思います。

軽量化を追求し、さらにアウターの襟元と干渉しない丸首タイプであれば中間着として着用しやすい、というアイデアで生まれました」。

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「U.Lダウン ラウンドネックジャケット」1万1880円/モンベル 06-6536-5740

今でいう「バズる」アイテムとなったモンベルのインナーダウンは当時、初秋には買っておかないと入手できないほど爆発的に売れ、今でもモンベルのロングセラーとなっている。

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同じ1グラムでもフィルパワーの差でかさの高さがこれだけ違う。蓄える空気が多いほど保温性も高い。

「モンベルが軽量コンパクトなダウンジャケットを生み出している理由は品質にあります。ダウンの品質はフィルパワーという単位で表示され、一般的には550~700フィルパワーが良質と言われていますが、モンベルのダウンジャケットは800~1000フィルパワーの高品質なものを使用しています。

少ない体積で高い保温力を発揮できるので、同じ暖かさのダウンジャケットを作ろうとした場合でもフィルパワーの高いダウンを使用することで、極めて軽量なものを作ることができます。さらに、生地には肉眼では見えないほどの細い糸を最先端技術で織り上げた極薄シェル素材を使用することで、さらなる軽量コンパクト性を実現しています」。

これまで数々の軽量ダウンジャケットを生み出してきたモンベル。最近では他の追随を許さない超軽量ダウンジャケット売り出している。

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1000フィルパワーを誇る「プラズマ1000 ダウンジャケット」2万7940円/モンベル 06-6536-5740

「このプラズマ1000 ダウンジャケットは、超軽量と耐久性を両立させた極薄シェル素材に1000フィルパワーのダウンを封入しました。モンベルの真骨頂である“Light&Fast”が実感できる、まさに究極の一着です」。

さらに驚くのは、そのコストパフォーマンスである。

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1000フィルパワーのラインナップのなかでも「プラズマ1000 ダウンジャケット」は2万円台で、優れた防水透湿性素材を備えた「イグニスダウンパーカ」も3万円台。

高い保湿性と軽量・コンパクトを両立した「プラズマ アルパイン ダウンパーカ」でも4万円台に設定されている。

このクオリティに対するコストパフォーマンスは、間違いなく稀有な存在である。


「スタッフが商品企画を提案できる」という強み

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この独特なキルティングパターンもモンベルの真骨頂。

「モンベル特有の構造も大きな強みのひとつです。例えばプラズマ1000 ダウンジャケットには、冷気が侵入する『コールドスポット』となる縫い目を大幅に減らすキルティングパターンを採用していて、保湿性と軽量性をさらに高めています」。

さらに、長井さんは次のように続ける。

「モンベルは『シングルキルト構造』『ボックス構造』『三枚差し構造』という3つの縫製技術を用途によって使い分けているんです。

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出典:モンベル

例えば、表地と裏地をつぶして縫う『シングルキルト』は、ダウンの偏りを防いで保温効果、軽量・コンパクト性を高めます。

『ボックス構造』は、ダウンのロフト(かさ)を活かし、ダウンの保湿性能を最大限に引き出す構造で縫製する技術。『三枚差し構造』は、ボックス構造に表地をもう1枚加えた3枚の生地で、温まった空気を逃しません」。

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冬季アクティビティから普段使いまで、用途合わせて選べる豊富なラインナップも魅力だ。

数多くのヒット商品を生み出してきた背景には、モンベル独自の「全スタッフが商品企画を提案できる仕組み」がある。

「実際にスタッフのアイデアを商品化して、ヒットしたものも数多くあります。僕らスタッフもみんなアウトドア好きなので、商品を実際にフィールドで使ってフィードバックするのも日常茶飯事。

そういう『自分たちの欲しいものをつくる』という考え方も間違いなくモンベルの強みですね」。

「知ってホッとする冬服大全」とは……
知った気でいたけれど、実はそこまで知らなかった冬服のコト。そこで、各ブランドやショップへ取材を敢行。冬服知識の不足分を補うビタミン剤として活用してもらえたらこれ幸い。
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伊藤恵一=写真 菊地 亮=取材 ぎぎまき=文